「子どもの夜尿症(おねしょ)」病院を受診するタイミングはいつ? 目安やおねしょの定義を解説
子どもがおねしょを卒業できず困っているという親御さんは多いと思います。実は、「おねしょは治療できる」ということをご存知でしょうか。何歳までおねしょが続いたら受診を考えたほうがいいのか、「Sunnyキッズクリニック」の若林先生に伺いました。
≫子どもが病気のときに面倒をみてくれる「病児保育」ってどんな制度なの? 利用条件や流れを解説監修医師:
若林 大樹(Sunnyキッズクリニック)
慶應義塾大学医学部・医学研究科卒業。各基幹病院の小児科勤務や慶應義塾大学病院小児科助教を務めた後の2020年、埼玉県川口市に「Sunnyキッズクリニック」開院。子育てサポートという観点から、小児医療を地域に提供している。日本小児科学会認定専門医。日本小児アレルギー学会、日本周産期・新生児医学会の各会員。
編集部
おねしょの卒業に年齢的な基準はあるのですか?
若林先生
はい。日本泌尿器科学会では、「(1)5歳以上で、(2)1か月に1回以上の頻度で夜間睡眠中の尿失禁を認めるものが、(3)3か月以上続く」症状を夜尿症と定義しています。ただし、そのことでご本人や保護者が悩んでいるなら“夜尿症”といっていいと思います。必要に応じて「お薬」で止めて、お子さんの自己肯定感を確立していきましょう。
参照:日本泌尿器科学会 『おねしょ』(夜尿症)が治らない
https://www.urol.or.jp/public/symptom/09.html
編集部
年齢で一律に線引きされるものではなく、「困っているかどうか」で決まるのですか?
若林先生
夜尿症はほかの病気と異なり、いずれ治ります。ですから、治療の必要性が個々に異なりますよね。ご家族の誰もが困っていなかったら、「自然な卒業を待つ」考え方もありです。他方でお困りなら、夜尿症外来などをご活用ください。その際、小学校へ上がるタイミングが1つの目安になるでしょうか。移動教室などの“お泊まりイベント”があると、実際に困ると思います。お子さんが自己否定に陥らないよう、見守ってあげる必要もあるでしょう。
編集部
おねしょって、治療で止められるのですね?
若林先生
はい。お子さんのおねしょの原因は、「寝ている間、あまりオシッコをつくらないようにしよう」とするホルモンの不足です。そこで、お薬でこのホルモンを補ってあげます。もちろん、寝る前の水分摂取を控えるといった生活習慣の改善も有効です。尿は数時間かけてつくられるので、お子さんの就寝時間を前提にすると、夕方以降の水分摂取量が問われます。
編集部
周囲の「気持ち次第」ということになると、受診のタイミングが難しそうです。
若林先生
前述の「(2)1か月に1回以上の頻度や(3)3か月以上の継続期間」が広がってきたら、“治りはじめている”ということです。治ってきている気配があるのなら、無理に治療する必要はありません。その意味で、日本泌尿器科学会の定義は「目安」です。また、治ってきているとしても、困っているのであれば受診動機になります。