2024F1ニューマシン&ドライバー紹介 レッドブルの牙城を崩すのはどこか?
2024シーズンF1参戦10チーム ニューマシン&ドライバー紹介(前編)
2024シーズンのF1選手権シリーズは、3月2日にバーレーンで開幕。史上最多24戦のカレンダーが組まれ、日本GPは4月上旬の第4戦に予定されている。
新シーズンに向けて、2月初旬から続々と各チームのニューマシンが発表された。バーレーンで行なわれた開幕前テストではサーキットを走る姿がお披露目となり、大きな注目を集めている。今年はどんな特徴があるのか、全10チームのうち、昨年の上位5チームの2024年版マシンを紹介する。
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レッドブルRB20 photo by BOOZY
【レッドブル】
2023年のレッドブルは「22戦中21勝」という圧倒的な強さを見せた。マックス・フェルスタッペンは、ほとんどのレースで他を寄せつけない走りで計19勝を記録して3年連続でワールドチャンピオンを獲得。今年はルイス・ハミルトン(2017年〜2020年)以来となる4年連続チャンピオンを目指す。
チームメイトは昨年と変更なくセルジオ・ペレス。昨シーズンは序盤に2勝をマークしたが、後半は精彩を欠く場面もあった。2024年シーズンはどんな走りを見せるのか注目だ。
今季のマシン『RB20』は、サイド部分をさらにブラッシュアップするなど、ほかのチームとは異なるボディ形状を採用している部分がいくつか見られる。パワーユニットは今年もホンダ(HRC)が開発したものを「レッドブルパワートレインズ」として採用。今年もマシンには『HONDA』のロゴが刻まれる。今シーズンもレースをリードしていく存在になりそうだ。
懸念があるとすれば、レッドブルのチーム代表として長年携わってきたクリスチャン・ホーナーがチーム従業員に対して不適切な行為を行なったとして、告発を受けて現在も調査が進められていること。現時点で代表職に関する大きな発表はないが、この騒動が開幕戦以降も続くことになれば、チーム全体の士気に関わってくるだろう。
今年のレッドブルは、レース以外の点でも目が離せない。
<No.1/マックス・フェルスタッペン>
1997年9月30日生まれ(26歳)。オランダ国籍。F1経歴=トロロッソ(2015〜2016)→レッドブル(2016〜)。優勝=54回。2023年ドライバーズランキング1位。
<No.11/セルジオ・ペレス>
1990年1月26日生まれ(34歳)。メキシコ国籍。F1経歴=ザウバー(2011〜2012)→マクラーレン(2013)→フォースインディア(2014〜2018)→レーシングポイント(2018〜2020)→レッドブル(2021〜)。優勝=6回。2023年ドライバーズランキング2位。
メルセデスW15 photo by BOOZY
【メルセデスAMG】
2014年から2021年まで、メルセデスAMG は8年連続でコンストラクターズチャンピオンを獲得してきた。だが、昨年はレッドブルの快進撃の前に屈し、2011年以来となるシーズン未勝利に終わった。
その敗北を受けて、今季のマシン『W15』では全面的に構造を見直し、昨年うまくいかなかった部分も含めて手を加えてきた。その変更は外観を見ても明らかで、フロントウイングやサイドポンツーンの形状を見ると、昨年と比べて大きく変わった印象を受ける。
また、昨年は黒をベースにしたカラーリングだったが、今年はフロント部分を中心にシルバーのデザインを取り入れた。特にマシンを正面から見た姿は、かつて「シルバーアロー」と呼ばれていた頃を彷彿とさせるカラーリングとなっている。
そして、開幕前にはメルセデスAMG陣営にとって、とてつもなく大きなニュースが発表された。2007年のF1デビュー以降、メルセデスのパワーユニットで戦い続けてきたルイス・ハミルトンが、2025年にフェラーリへ移籍することが決まったのだ。マクラーレンとメルセデスAMGで合計7度のチャンピオンを獲得してきたハミルトンがこの1年をどのように締めくくるのか。
一方、メルセデスAMGでのレギュラードライバー3年目となるジョージ・ラッセルにも、今季はさらなる期待が寄せられている。昨年は3位(第8戦スペインGP、第23戦アブダビGP)が最高位で終わっているだけに、ニューマシンとともに飛躍することができるか、楽しみなところだ。
<No.63/ジョージ・ラッセル>
1998年2月15日生まれ(26歳)。イギリス国籍。F1経歴=ウイリアムズ(2019〜2020)→メルセデスAMG(2020)→ウイリアムズ(2021)→メルセデスAMG(2022〜)。優勝=1回。2023年ドライバーズランキング8位。
<No.44/ルイス・ハミルトン>
1985年1月7日生まれ(39歳)。イギリス国籍。F1経歴=マクラーレン(2007〜2012)→メルセデスAMG(2013〜)。優勝=103回。2023年ドライバーズランキング3位。
フェラーリSF-24 photo by BOOZY
【フェラーリ】
レッドブルが22戦21勝と圧倒的な強さを見せた2023シーズン、第16戦シンガポールGPでレッドブルに勝利したのがフェラーリだった。予選ではレッドブル勢をしのぐことも少なくなく、スプリントレースを含めると5度のポールポジションを記録した。
今シーズンのマシン『SF-24』は、フロントノーズが前年より太くなった印象。そのほか、フロントウイング周りやサイドポンツーンの形状が見直されている。また、カラーリングにはフェラーリのトレードカラーである赤をベースに白と黄色のラインが入っているのも特徴だ。
2024年もドライバー体制は変わらずシャルル・ルクレールと、昨年シンガポールGPで優勝を飾ったカルロス・サインツの布陣となる。しかし、開幕前にもかかわらず2025年からルイス・ハミルトンがフェラーリに加入することが発表され、サインツが今年いっぱいでチームを離脱することが決定した。
苦戦を強いられながらもトップ奪還のために戦い続けるフェラーリ。ルクレール&サインツ体制での集大成の1年となりそうだ。
<No.16/シャルル・ルクレール>
1997年10月16日生まれ(26歳)。モナコ国籍。F1経歴=ザウバー(2018)→フェラーリ(2019〜)。優勝=5回。2023年ドライバーズランキング5位。
<No.55/カルロス・サインツ>
1994年9月1日生まれ(29歳)。スペイン国籍。F1経歴=トロロッソ(2015〜2017)→ルノー(2017〜2018)→マクラーレン(2019〜2020)→フェラーリ(2021〜)。優勝=2回。2023年ドライバーズランキング7位。
マクラーレンMCL38 photo by BOOZY
【マクラーレン】
イギリスの名門マクラーレンは昨年、前半戦こそ苦労したものの、第11戦イギリスGPでの2位表彰台を皮切りに上り調子となり、第17戦日本GPではダブル表彰台を獲得。さらに、この年デビューしたオスカー・ピアストリが第18戦カタールGPのスプリントレースで1位を獲得するなど、F1シーンを大いに盛り上げた。
今シーズンのマシン『MCL38』は、先にカラーリングを先行発表し、その後にマシンの本体画像が公開された。チームとしては昨年後半の勢いを今季もそのままつなげていきたい狙いが強く、初お披露目されたマシンの姿も最終形態ではないとのこと。おそらく開幕戦では、今とは少し違った部分も見られそうだ。
カラーリングに関しては、オレンジと黒の2色ベースとなった。昨年と比べると黒い部分が増えた感じで、カラーリングから受ける印象も昨年とは異なっている。
ドライバーは、ランド・ノリスとピアストリのコンビで変わらず。昨年後半の活躍は目覚ましいものがあっただけに、今季は上位のライバルチームを脅かす存在になるかもしれない。
そして、マクラーレンに関してはもうひとつトピックがある。日本人ドライバーの平川亮がリザーブドライバーに就任し、チームに帯同することはもちろん、マシン開発に携わることとなった。すでにシミュレーターや実車でのテスト走行も担当している。世界耐久選手権(WEC)やスーパーフォーミュラで培った経験を発揮すれば、平川にも新たな可能性が生まれてきそうだ。
<No.81/オスカー・ピアストリ>
2001年4月6日生まれ(22歳)。オーストラリア国籍。F1経歴=マクラーレン(2023〜)。最高位=2位。2023年ドライバーズランキング9位。
<No.4/ランド・ノリス>
1999年11月13日生まれ(24歳)。イギリス国籍。F1経歴=マクラーレン(2019〜)。最高位=2位。2023年ドライバーズランキング6位。
アストンマーティンAMR24 photo by BOOZY
【アストンマーティン】
2026年からホンダがパワーユニットを供給することが決まっているアストンマーティン。昨年は大ベテランのフェルナンド・アロンソが開幕3戦連続で3位に入るなど、8度の表彰台を獲得した。
今シーズンもアロンソとランス・ストロールで戦うアストンマーティンは、2月12日に新マシン『AMR24』を発表。カラーリングは昨年と同様にブリティッシュグリーンを基調としており、見た目では大きな変化がなさそうに見える。フロントウイングやサイドポンツーンも、他チームと似たような形状になっている印象だ。
とはいえ、さらに上位を目指すべく、すべての部分において進化をさせてきているとのこと。世界の各サーキットを転戦するなかで、どこへ行っても高いパフォーマンスを発揮できるような「オールラウンダー」を目指すことが、今季のテーマとなっている。
新マシンを発表した当日には、さっそくシェイクダウン走行も済ませ、着々と準備を進めている。昨年は22ポイント差でマクラーレンとのコンストラクターズランキング4位争いに敗れる形となったが、今季はどこまでライバルを脅かす存在になるのか、楽しみなところだ。
<No.18/ランス・ストロール>
1998年10月29日生まれ(25歳)。カナダ国籍。F1経歴=ウイリアムズ(2017〜2018)→レーシングポイント(2019〜2020)→アストンマーティン(2021〜)。最高位=3位。2023年ドライバーズランキング10位。
<No.14/フェルナンド・アロンソ>
1981年7月29日生まれ(42歳)。スペイン国籍。F1経歴=ミナルディ(2001)→ルノー(2003〜2006)→マクラーレン(2007)→ルノー(2008〜2009)→フェラーリ(2010〜2014)→マクラーレン(2015〜2018)→アルピーヌ(2021〜2022)→アストンマーティン(2023〜)。優勝=32回。2023年ドライバーズランキング4位。
(後編につづく)
◆F1ニューマシン&ドライバー紹介・後編>>「角田裕毅はビザ・キャッシュアップRBで正念場の1年」