阿部巨人が強い!GT初戦で見えた「狙い」「置いていかれる選手の指標」とは

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秋広は昨年10本塁打をマーク、今季飛躍が期待されている1人だ(C)KentaHARADA/CoCoKARAnext

 巨人が鮮やかな先制パンチを放った。2月23日に行われた阪神とのオープン戦初戦。初回の集中打で7点を奪うと、7回にも2点を奪い、9−4と完勝。開幕戦でぶつかる相手に対して、強烈な印象を植え付けることに成功した。

【動画】松原聖弥がオープン戦初回から7点目のタイムリーをマーク

 圧巻の先制攻撃だった。相手先発は巨人キラーで知られる左腕、伊藤将司。初回、1番に入った松原聖弥が中前打で塁に出ると、この日2番に入ったオコエ瑠偉が追い込まれてから4球ファウルで粘った末に四球をもぎ取る。さらに3番に入った門脇誠が初球にしっかり犠打を決めて、一死二、三塁の形を作ると主砲、岡本和真の右前適時打で理想的な形で先制点を奪った。この回は相手失策もからみ7安打、7得点と爆発。1番の松原は打者1巡した第2打席でも左前適時打で7点目を奪うなど、この日は5打数3安打1打点と存在感を示した。

 阿部慎之助監督がナインたちに植え付けようとしている意識が随所に感じられる試合ともなった。昨年は12球団1のチーム本塁打、チーム打率を誇りながら、2年連続の4位と低迷。打線は水ものといわれるように、一発頼みではなく、真に強固な打線となるために、選手たちには「自己犠牲」の精神を求めている。

 象徴的だったのは初回のオコエの打席にもある。先頭の松原が中前打で出塁すると追い込まれながらも4球ファウルで粘り、しっかり四球をもぎ取る。流れを作り、この回の集中打に結び付けた。ほかの打者もセンターから逆方向への意識を持ち、「つなぎの野球」を展開。試合展開を読み取り、犠打や走塁もしっかり行うことで、締まったゲーム内容となった。

 一方で指揮官がナインに求めるものが明確である以上、応えられない選手に向ける目も厳しさを増す。この日「8番・左翼」で先発出場した秋広優人は初回の第1打席で適時二塁打をマーク、しかし3回の第2打席、一死無走者で迎えた場面では初球を簡単に打ち上げてしまったことで、試合後、指揮官から厳しい目を向けられた。

 直前に阪神主軸の佐藤輝明に2ランを浴びた直後の回、こういったときこそ淡泊に終わらずにやり返す姿勢が大事となるが、応えられず。秋広はその後も二ゴロ、7回二死満塁の好機でも三振に倒れた。

 昨年10本塁打をマークとブレイク、背番号55を背負い大きな期待を背負う逸材だが、指揮官はまだレギュラーとは認めていないと叱咤を送っている。厳しい姿勢も期待の現れ、定位置の左翼を丸佳浩らと争う立場、今後もチーム意図に沿ったパフォーマンスが求められそうだ。

 いずれにせよこの日の試合は、坂本勇人、丸らベテラン不在で若手主体の中でそれぞれの選手がしっかり役割を果たせたことが光った。

 まさにチームスローガン通り「新風」吹き荒れるシーズンを迎えられるか、今後のオープン戦の戦いぶりも楽しみとなりそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]