●素直に「分からないです」と言えるように

BS松竹東急オンデマンドの番組『お酢きびと』(毎週金曜18:00更新 ※同局公式YouTubeで1週遅れ配信)に出演する元SKE48の須田亜香里。“酸っぱい”をこよなく愛する「お酢きびと」となり、お酢にこだわる飲食店でその料理を堪能しながら、知識も学んでいる。

そんな須田に、ロケを終えたところでインタビュー。自身とお酢の関わりや、食リポでの意識、さらにはグループ卒業から1年を振り返っての実感など、話を聞いた――。

須田亜香里

○チャンカワイに学んだ食リポ術

――訪れたお店のオーナーに食リポを絶賛されていましたね。

食リポって焦ってしまうので、食べ終わってカメラが止まってから「ゆずが効いてておいしかったです」みたいなコメントが思いついちゃったりして、悔しい思いしかしたことがなかったので、そんなに得意ではなかったんです。でも、いろんな方と共演させてもらって学んだこともあると思います。名古屋でチャンカワイさんと同じ曜日でレギュラーをやらせてもらってる番組があって、ロケやスタジオで一緒に食リポをすることがあるので、チャンさんを見て、食べた後の間や言葉のレパートリーなどを吸収しているのかもしれないです。普段から五感を大切に食事することも心がけているので、そういう部分も、もしかしたら生きたのかもしれないですね。

――ものすごく科学的に分析して、緻密な理論で料理を作っているお店もありました。

自分が理屈っぽい性格なので、オーナーさんのお話を聞いて楽しいなと思うこともできたし、ただ美味しいと思って食べてるだけじゃまだまだ足りないんだなとも思いました。美味しいのために、ここまで突き詰めている人もいるんだと思ったら、すごく楽しい時間でした。

――おしゃべりのプロではないお店の人からお話を引き出すのは、やはりアイドル時代の握手会の経験も生きていますか?

だとうれしいですね(笑)。でも、専門的な知識とか用語が多い方だとそう簡単についていけないので、まだまだ勉強が足りないなと思ってしまいます。ただ、ロケでいろんな方にお話を伺うようになって、知らないことを素直に「知らない」と言えることも、芸能の仕事では強みだなと思って。

――視聴者の代弁者ですもんね。

「こんなことも知らないの?」ってバカにされることもきっとあると思うし、今日もワインの名前がよく分からなくて聞き直しちゃいましたけど、素直に「分からないです」とリアクションできるようになったのは、ここ数年ですね。



○体の柔らかさはお酢のおかげ!?

――お酢にこだわる様々なお店を巡って、家で取り入れようと思ったものはありますか?

例えば、リンゴ酢って味が付いてるから料理に取り入れるのは難しいのかなと思って、家には普通のお酢しか置いてなかったんです。でも、ピクルス1つ作るにしても、リンゴ酢でもいいし、米酢でもいいし、ワインビネガーやシャンパンビネガーまであって、いろいろ挑戦できるんだと知りました。家でおしゃれな付け合わせを作りたいなと思ったときにお酢があれば何とかなると思ってたんですけど、お酢の選び方を変えるだけで今までのレパートリーが幅を広げられると思って、これから楽しみになりました。

――生活が豊かになりますよね。

はい。料理がすごく得意かと言われたら、そうではないんですけど(笑)。でも、食材を知ることで興味を持って料理をする頻度が高くなったら、豊かになると思います。

――料理以外でも、生活でお酢との関わりはありますか?

10年ぐらい前から、疲れが溜まったり、気合いを入れたいときに、コンビニでパックのお酢のドリンクを飲むようになったんです。ガッツリ食べたら頭が回らなくなりそうだけど、お腹空いてるから何か体に入れなきゃというときがあるじゃないですか。芸能のお仕事を始めて体や肌に気を遣った生活をしなきゃと思ったときに、空腹で一口目に入れるものはすごく大事だなと思っていたのもあるし、20代前半で肌荒れにすごく悩んでいて、肌にいいものをひと通り試したら、お酢が自分にしっくり感じがあったので、それからお酢を飲む習慣が続いています。

――先日、出版されたフォトエッセイ『がんこ』でも美しい肌を披露されていますが、お酢のおかげでしょうか?

そうですね(笑)。よく、「体を柔らかくするにはお酢を飲め」みたいなことを言われるじゃないですか。自分は体がすごく柔らかいので、お酢がもたらしてくれたのかもしれない軟体ポーズがフォトエッセイでも出てきます(笑)

――訪れたお店のオーナーが、お酢は“主張するけど縁の下の力持ちでもある”というお話をされていましたが、共感する部分はありますか?

私は自分が目立ちたい人なので(笑)、お酢を見てると奥ゆかしい活躍の仕方ができる人になりたいなと思いますね。目立つことが大事だと思う時期もあったけど、今はその場にいてくれて良かったと思われたり、誰かに安心してもらえる存在になれるかが、人間関係でも仕事でも大きいと実感しているので、そんな活躍をしたいです。だから、お酢を見習いたいですね(笑)

――そんな今回の番組の見どころは、いかがでしょうか?

お酢って何となく体にいいんだろうなとか、食事が美味しくなるよねとか、本当にさりげなく皆さんのそばにあるかもしれないですが、改めてお酢の存在が愛おしく思えて、欲しいと思える存在になる時間をお届けできると思います。私もこの番組を通してお酢の魅力を学んでいきたいと思うので、皆さんも一緒に知っていただければ。そして、きっとお腹が空くと思います(笑)

●いろんなところで「面白い」と思ってもらえる人材に



――SKE48を卒業されて1年になりますが、ここまでを振り返っていかがでしょうか?

休みの日の使い方が変わりましたね。今まではメンバーがたくさんいる楽屋にいたので、その分プライベートは1人で過ごす時間が多かったんです。でも、今は現場で1人の名前で扱われることが多い分、休日は誰かに会おうと思ったりするんですけど、そういう時間の使い方に慣れるまで、少し戸惑いました。人に会わないと、自分の頭の中にある言葉の数がアップデートされていかないって最近すごく思うので、だからこそ人と会う時間を増やさないと、自分も豊かにならないと思って。今まではメンバーが自然とそういう刺激をくれていたんだと気づかされました。

――名古屋と東京の2拠点生活ということですが、大変ではないですか?

新幹線に乗る1時間半が自分の中で足りないものを補う時間になってるんです。次の仕事を準備する時間にしてもいいし、ボーッとして寝てもいいし。私、学生時代からすごく効率が悪い人間だったんですけど、新幹線の移動があるほうが、今何をしなきゃいけないんだって効率的に考えられるようになったんですよ。「新幹線であれやればいいから、家に帰ったらあれやろう」とか、逆算して考えるようになりました。もし東京だけでお仕事してて、次の仕事まで1時間空いてカフェを探してる時間よりも、濃い時間が過ごせているような気がします。

――お仕事では、ジャンル別け隔てなく活躍されている印象があります。

今までも、アイドルなのにバラエティでドロドロになるとか、本を書かせてもらうとか、お芝居やコメンテーターのお仕事など、1週間の中でもいろんなことしてるなと思いながら生きてきたんですけど、卒業しても全部やりたいから、肩書きが「タレント」になったんです。どれかに絞らず、全部やれる今がすごく幸せで楽しくて刺激があるので、いろんなことを任せてもらえて、いろんなところで「面白い」と思ってもらえる人材になれるように頑張りたいと思って。この1年、いろんなお仕事をさせてもらって、ますます絞らずいっぱいやりたいなと思いました。

――いろんなジャンルに取り組むことによって、プラスになることはありますか?

自分に飽きないところがすごく好きですね。私、毎日同じことができなくて、毎日違うことをするからこそ、脳みそをその都度切り替えて新しい自分として新鮮に楽しめるんです。1日のうちにお芝居やって、バラエティやって、原稿書いたりするとさすがにパンクするので、塩梅は難しいなと思うんですけど、訓練すれば何とかなるかなと思うので、どこまで広げられるか頑張ってみたいです。アイドル時代もいろんなことをやってきたからこそ、キャパが広がったと思うので。

――その中でも、将来的にずっとやっていきたいお仕事は何でしょうか?

なくならないでほしいのはラジオですね。生放送が好きで、リスナーさんとリアルタイムで番組の流れを作っていける感じが、他のお仕事にはない唯一無二感なんです。何が起きるか分からない感じや、自分ひとりじゃ生み出せないものができたというのを、生放送が終わった後に感じられる場で、それがすごく好きですね。特に深夜は、みんなが自由になった時間にわざわざ自分につながってくれる人がいるんだという感動もあるし、好きなお仕事です。







●須田亜香里1991年生まれ、愛知県出身。09年11月にSKE48第3期生としてメンバーに加入。SKE48チームEリーダーを務めた。16年・17年の選抜総選挙では2年連続「神セブン」に選ばれ、18年には2位の座を獲得。握手会での神対応が話題で「握手会の女王」とも呼ばれていた。持ち前のトーク力でバラエティやワイドショーに出演。SKE48を22年秋に卒業し、現在はラジオや新聞連載など、多方面で活躍中。