六角形のタイルをつなぎ合わせたマップを舞台にイギリス・フランス・中国などさまざまな国の文明同士が戦略を駆使して争う「シヴィライゼーション」シリーズのような4Xゲームに、カードを集めてデッキを構築する「デッキビルド」を組み合わせたゲーム「Hexarchy」が2023年10月19日にリリースされました。4Xゲームにデッキビルドを組み合わせるとどんなゲームになるのかめちゃくちゃ気になったので、実際にプレイしてみました。

Steam:Hexarchy

https://store.steampowered.com/app/1356810/Hexarchy/

Hexarchyを起動。1人で遊べる「シングルプレイ」のほか、オンラインで身内の友人や見知らぬ他人とプレイできる「オンラインプレイ」が用意されています。今回は1人で遊んでみるため、「シングルプレイヤー」を選択。なお、Hexarchyは日本語に翻訳されているので、英語が苦手だという人でも問題なくプレイできます。



「シングルバトル」を選択。4Xゲームやデッキビルドのゲームをプレイしたことがない人は、ルールだけではなくシステムを1から説明してくれる「初めてのキャンペーン」をまずプレイするのがおすすめです。



文明は全部で10種類で、ゲームスタート時はギリシャ・エジプト・ローマ・イングランド・アステカ・ペルシアの6文明から選択可能。プレイを重ねていくと経験値に応じてロシア・フランス・中国・アラビアが解放されます。今回は文明を「ランダム」に設定しました。さらにゲーム設定を決めたら「開始」をクリック。



今回はフランスでプレイされました。シヴィライゼーションのような4Xゲームはターンごとに自分の好きな行動を選択して進めますが、このHexarchyでは「手札として配られたカードの中から行動を選択する」というのが肝。



まずは文明の起点となる首都を建設するべく、手札のカードから「首都創設」をクリック。



首都を建築したいマスを選択。首都を中心に周囲6マスを自陣にして産出される資源を毎ターンゲットできます。都合のいいポイントには白い矢印がふよふよと浮いて「おすすめ」と表示されるので、慣れていない人は参考にするのがおすすめ。



「パリ」が創設されました。



先述の通り、自分のターンで行動するためにはその都度カードを選択する必要があります。ただし、カードの左上にはコストが定められており、このコストを支払わなければ行動を選択することができません。例えば以下の「木材加工術」の左上には。ハンマーのアイコンと「2」いう数字が書かれています。このハンマーが行動するための基本コストで、手持ちのハンマーは画面右に表示されています。今回はハンマーを4持っているので、このうち2を消費することで「木材加工術」を使うことができます。



「木材加工術」は研究のカードで、使用することで新たなカードがデッキに追加されます。つまり、研究のカードをプレイすると、今後の行動の選択肢が増えるというわけ。



デッキの枚数は画面左側に表示されています。上段が捨て札の枚数で、下段が山札の枚数。「デッキの枚数が増えれば増えるほど狙っているカードが出てくる確率は下がってしまう」というデッキビルドゲームの要素がゲームシステムの柱となっています。



そこで、ゲームが進んできてデッキ枚数が膨らんできたら、不要なカードを廃棄することも重要。例えばゲームが進んで、初期軍事ユニットの「戦士」は不要なカードになります。そこで、「戦士」のカードを画面左にあるゴミ箱アイコンにドラッグします。



カードを廃棄すると、デッキ枚数を減らすことができる上に、ハンマーをゲットでき、各ターンの初回廃棄の時だけハンマー多め&資源「科学」も1個もらえてオトクになります。そのため、不要になったカードはすぐに廃棄していきデッキを「圧縮」していくことが非常に重要。廃棄せずどんどんカードを増やしていくと警告が出ますが、逆に1枚も捨てずどんどん1ターンで引ける枚数を増やして山ほど重ねていく「タワー」戦略も簡単に狙えます。



都市ができると人が住み、人が増えると「食糧」や幸福度を支える「贅沢品」が必要になります。また、建物を建築したり新しい技術を研究したりするためには石材や木材といった資源も必要になります。資源を毎ターンゲットするには、領土内に施設を作成する必要があります。以下は、食糧をゲットできる施設「牧場」のカードを選択しているところ。



領土内で動物の群れがいるマスをクリックすると、牧場が作られました。これで毎ターン食糧として牛を追加でゲットできるようになります。人口が増えると都市が大きくなり、それにしたがって必要になる食糧も増えていくので、自国を強化して大きくしていくためにはどうしても食糧が必要になります。



集めた資源は画面左下に表示されます。使い切れなかった資源は次のターンに持ち越されますが、持ち越せる量には上限が定められています。以下の場合だと、食糧11+大理石1=合計12の資源を持っていますが、宝箱アイコンにある通り、最大7つまでしか資源を持ち越すことはできません。そのため、余剰分は「交易」で売ってゴールドに変えたり、各都市にふるまったりする必要があります。



なお、資源があまったままでターンを終えると、あらかじめ下部アイコンでアクティブに設定した方針に従い、余剰分が自動でゴールドに変換されるか、各都市に自動配分されます。



国の領土を一気に大きく広げるためには都市を作る必要があり、新しい都市を増やすためには「開拓者」が必要。「開拓者」のカードを選択し、都市をクリックすると、その都市に開拓者が誕生します。



新しい都市を作りたい場所に開拓者を動かして、都市を建設します。



首都パリの南東に「リヨン」が完成。



そして、パリの北東を見ると、パリとオルレアンの間にある未占領のマスに敵国の開拓者がやってきていました。



目の前を飛ぶハエはたたき落とさねばならぬ、というわけでパリから「戦士」を派遣。この戦士で敵国の開拓者をぶっ倒します。ユニットの移動や行動はカードを使うことなく毎ターン行うことができます。



しかしなぜこんなところに敵国の開拓者が?と思ってマップを見ると、なんとパリのすぐ近くでローマ(紫)と中国(ピンク)がいがみあっているのを発見。



どうやら中国の方が強いようで、ローマ兵が中国の兵士に蹴散らされていました。こちらに侵略されて首都を落とされるのは非常に困ります。



パリと敵国領土は海を挟んでおり、幅1マスの道でつながっています。そこで、この幅1マスの道に「砦(とりで)」を構えます。



砦を構えれば、軍事ユニットの防御力がアップするので、よほどの戦力差がなければすぐに陥落してしまうということはないと予想。作った砦にはちょうど遠隔攻撃が可能な「弓兵」をスタンバイさせています。



北方の守りを固めた上で、さらに自国領土内に「世界の不思議」である「万里の長城」を建築します。「世界の不思議」はいわゆる世界遺産で、建築すると資源や勝利点のボーナスがもらえるほか、特別な効果を発揮します。



「万里の長城」は自国領土内における敵ユニットの移動コストを増加させる効果があるので、防御に備えるにはぴったりというわけです。



すると、さっそく中国の「戦士」ユニットが北方の砦に攻撃をしかけてきました。



しかし、防御力を高めているので弓兵へのダメージは少なく、むしろ反撃によって戦士ユニットは全滅。



北方の守りは問題ないということで、南方へ領土を伸ばしていきます。しかし、そこにはやはり中国の領土が広がっていました。



しかし、研究を重ねていたことで、生産できる軍事ユニットのレベルが少しずつ上がっています。



これは契機とばかりに、パリ南部にある都市トゥールから、すぐ近くにある西安へ兵を送りこんでみます。しかも、西安を守る軍事ユニットはいない模様。



近接戦闘特化の斧兵を派遣したところ、あっさり西安を占拠することに成功しました。



Hexarchyはゲームのターン数が決まっているので、文明の進化具合とは関係なく、ターンがなくなるとゲーム終了。ゲームが終わりに近づくと、画面に「ゲームの終了が近づいています」というアナウンスが表示されます。



ゲーム終盤から中国を倒しにかかるのはかなり難しいと判断し、少しでも勝利点を上げるため、勝利点をもらえるような施設や世界の不思議を建設します。



そしてターンが来てゲーム終了。結果は103点も勝利点を集め、圧倒的大差をつけて1位に輝きました。プレイ時間はおよそ50分ほどでした。



シヴィライゼーションシリーズのような4Xゲームは、さまざまなパラメーターや状況を見ながらいろんな行動を選択する必要があります。しかし、4Xゲームに慣れていない人は、できることが多すぎて何をすればいいのかわからないという状態に陥りがち。しかし、Hexarchyはカードで行動の選択肢を提示されるので、4Xゲームに慣れていない人でも「今何ができるか」というのがわかりやすくなっています。カードデッキの構成によって各文明もちゃんと特徴付けられているので、文明ごとにプレイスタイルが変わるのもポイント。

また、全体のターン数が決まっているので、サクッと1時間程度で遊ぶことができるというのも大きな特徴です。「シヴィライゼーション」シリーズはその中毒性のあまり「電子ドラッグ」と称されることもあるのですが、Hexarchyは4Xゲームの面白さはそのままに、ちゃんとゲームに区切りが設けられるので、「気がつくともう半日遊び続けていた」ということは起こりません。もちろんゲームプレイ時にゲームの長さを設定することで調整はできるので、もっと腰を据えて遊んでみたいという人も安心してプレイできます。

なかなか上手に勝てないことが多い……という初心者プレイヤーのための毎日1時間ずつプレイしている編集長がたどり着いた各文明の常勝戦略における基本事項。これで初心者を脱出できるはず!

カードの持ち越しは必須

どのようなカードでも空きがあれば何枚でも次ターンに持ち越し可能。ただし持ち越した枚数分だけ新たに引かれるカード枚数が減るので、手札の枚数は常に一定。特に序盤の1ターンは重要なので「次はコレを建てたい」とか明確な目標がある場合、ほかの資源を捨ててカードを持ち越すべき。



持ち越し枚数を増やし、資源を手元にできるだけたくさん確保し続けるためにも「倉庫」は序盤の要。あらゆる都市に倉庫を建造していき、思い通りの順番でカードを出せるように整えましょう。



「この国、最高!」戦略

幸福度が最大になっている都市へさらに贅沢品を投下すると、何%の確率で「この国、最高!」が発動するかが見えるようになります。「この国、最高!」が1回発動するごとに勝利点が1点もらえるので、贅沢品が余りまくっている場合や交易で贅沢品を安くたくさん買える場合、「この国、最高!」を発動させまくるべき。特に都市をいっぱい建造している場合とか、敵国を攻めまくって都市がいっぱいある場合、「この国、最高!」戦略で勝利点を稼ぐのが容易です。



「交易」で安く資源を確保する

必要なときに必要な資源がいつも手元にあるというのがベストですが、「交易」で同じ事が可能。「港」を建造すると交易で毎ターン、安く資源がいくつか必ず置いてある状態にできるので手元のカードを有効活用しやすくなり、なおかつ都市も確実に成長させることが可能になります。超オススメ。



「世界の不思議」を優先する

特に「パルテノン神殿」の「次の3枚のカードを見る」というのが強力。



左下のような感じでデッキが見えるようになります。Hexarchyにおいては2ゴールド払うとカードを引くことができるので、ゴールドもハンマーも余りがちの場合、「交易で資源を買って都市を育てるべきか、それともカードを引いて何か増やすか」というせめぎ合いが発生しますが、次のカードがわかると戦略を立てやすくなります。



各都市間で補給路に「道路」建設

右上のアイコンから各都市の間、各軍事ユニットの間で、維持コストがどれぐらいかかっているのかが見えます。この維持コストを簡単に減らすのが「道路」建設で各都市間を結ぶこと。文明によっては「このユニットが移動するだけで道路建築」「道路の上を移動する度に生産増加」とかいうぶっ壊れもあるので、自分の文明の組み合わせに応じて効果的に道路を作るのがグッド。ハンマーがいくらあっても足りないので、石材があるとウレシイ。なので、石材を産出できる鉱山を確保するのは非常に重要。





文化侵略はやるべき

右上のアイコンから「文化度の状況」を見ると、あとどれぐらいで国境を拡張できるかがわかります。自国の文化の度合いを上げると、各ターンごとに自動的に領土が拡張され、その分だけハンマーなどがドンドン増えていきます。「海の上とか離れ小島とか移動できないのに何の意味があるのか」というのは、文化度で領土を広げるのに有利だから。特に文明によっては「海の側に領土が広がりやすい」というのもあり、海を背にして都市を造る方が実は後々のターンで有利になるというケースがあります。文化度が相手国よりも圧倒的に高ければ占領することなくじわじわと相手領土を削って弱体化させることができるので、国土が広大になっていく後半は文化度で勝っていると極めて有利です。



文化侵略の第一歩は「図書館」です。すべての都市に図書館を建てるとかなり有利。科学は生み出すわ、文化度は増えるわと、まさに富国強兵の要と言えましょう。



「資源」は常時表示でOK

軍事系ユニットを移動させてヘックスを占領したり、都市を建造する際に必ず必要となる情報が「ここから何の資源をゲットできるのか?」という情報。自分の文明特有のカードで何かの資源が必須の場合、とにかく最優先で該当する資源を確保すべき。例えば「馬」が必要なカードがあるのであれば、交易で買うのではなく自国内で毎ターン生産できれば一気に有利な局面を作り出せますし、余った馬を交易で売ればお金も増え、増えたお金で足りない資源を買って都市に配分しまくって成長を加速させて勝利点を増やすというドミノ倒し的な連鎖反応が可能です。





「先遣隊」で都市建設を妨害

「敵国を滅ぼしてやる!」という明確な殺意を抱いていない限り、Hexarchyでの目標は勝利点の確保が最優先。逆に言えば勝利点につながる行動を相手にさせないのが重要。都市の建設を邪魔するのに有効なのが「先遣隊」で、敵国の開拓者が都市を建設しそうな場所へ先回りさせてウロウロさせておけば、都市の建設ができず、なおかつこっちは資源を補給でき、相手のターン数=時間をドンドン無駄に消耗させることができます。敵国の都市は一度建設されると、陥落させて占領するためにはかなりのターン数が必要になってくるので、こちらの準備が整う前で足を引っ張りまくりましょう。



「小屋」を優先的に確保

マップを見ていると「?」というアイコンがある場所を見つけることがあります。どのユニットでも良いので移動させれば資源をボコボコゲットできるので、移動力がめちゃくちゃ高いユニットとか先遣隊を走らせて確保するとかなり有利。特に序盤開始時に自国領土の近くにある場合はかなりブーストできます。



「聖地」は絶対に確保

勝利点になるだけでなく、聖地を占領すると周囲のへクスも一気に占領可能。カードの効果でも聖地があると勝利点が増えるというのもあるので、持っておいて損はありませんというか絶対に確保すべき。特に最初の首都建設時に聖地を巻き込むことができると一気に領土が広がった状態でスタートできます。領土が多いと文化侵略で領土を広げやすくなり、領土が多いと資源を産出するへクスにも手が届きやすくなるので超重要。



以下のような感じで最初の1ターン目でこんなに広大な領土になります。



「要塞化」して立てこもる

領土が大きくなりすぎるとあちこちで敵国と接するので文字通り、世界を敵に回して戦い続ける羽目になります。軍事ユニットは作っても勝利点が増えるわけではないので、世界戦争に突入した場合は敵国の都市占領で点数を稼ぐというとんでもない方針になりがち。そうならないようにするためにも、自国の周囲で「ここを塞げば侵攻されずに済む」という通路のようなヘックスを発見した場合、最優先で軍事ユニットを送り込んで「要塞化」を発動しましょう。同じヘックスにいくつも軍事ユニットを重ねて設置できるので、「砦」がなくてもガチガチにできます。



「首都」に市民を移動させる

建築物の中に「首都に市民がいると……」みたいなフレーズが発動条件として書かれている場合、余っている市民を首都まで引きずって移動させることで効果をゲットできるようになります。特に首都でどんどん建造物が増えていって効果をいくつも重ねることができるようにすると市民を1名移動させるだけで圧倒的にラクできる場合もあるので、とにかく最低でも1名は首都にはりつけておき、どんどん首都を強化するのがグッドです。



資源確保に迷ったら「科学」

カードを燃やして破棄すると各ターンの初回ではハンマー2個に加えて「科学」がもらえます。この事実から見てもわかるように「科学」はあればあるほど良い。理由は明確で技術を発展させるためにハンマーを使わず「科学」で代用できるため。Hexarchyにおいて敵国よりも技術が進んでいるとあらゆる側面で有利になるため、右上のアイコンから技術のツリーを見て「このカードを目指そう」と決めたら、最短のターン数で技術確保するためにも「科学」はいっぱい持つべき。余ったとしても「交易」でお金に変えることもできるので、いっぱいあって困ることは全くありません。



こんな感じでハンマーではなく「科学」を使えるわけですね。特に後半になると「科学」があればあるほど一気に加速できます。技術を進ませて余ったカードを燃やしてハンマーと科学に変えて……という感じです。



HexarchyはSteamで販売されており、税込2300円で購入可能です。