E.l.f.コスメティクス(E.l.f. Cosmetics)とE.l.f.スキン(E.l.f. Skin)は、両ブランドが知られるようになった「大勝負に出る」アプローチを使って、Roblox(ロブロックス)に進出している。

E.l.f.、店を経営するゲームでRoblox進出



E.l.f.は「E.l.f.アップ(E.l.f. UP)」というゲームでRobloxに参入した。実業テーマのオープンワールドを舞台に、ユーザーはショップを運営してRobloxの仮想通貨であるロバックス(Robux)を稼いで、起業をプレイする。ゲームの開始時にユーザーはE.l.f.コスメティクスに関連した4つのショップから選択する。ショップには、同社のマスカラにちなんで名付けられた「ビッグムード(Big Mood)」レコーディングスタジオや、化粧下地にちなんで名付けられたクライミングジム兼テックスタートアップの「パワーグリップ(Power Grip)」などがある。E.l.f.はコミュニティからのフィードバックを得て、このエバーグリーンのゲームを進化させていくという。

E.l.f.のミッションを推進するRobloxの活用



Robloxでは、クリエイターは、9歳以上、または13歳以上のあらゆる年齢層に推奨されるエクスペリエンスを作成することができる。推奨はアクティビティの内容と複雑さに基づいている。E.l.f.コスメティクスのRobloxエクスペリエンスはあらゆる人を対象としているが、Robloxユーザーの22%は17〜24歳、55%が13歳以上だ。11月8日に発表されたRobloxの最新収益報告書によると、1日あたりのアクティブユーザーは7020万人だという。

「これは、人々が何度も関与して、他人にも参加を勧めたくなるような関係を構築し、軌道を作り出すためだ」と述べるのは、E.l.f.ビューティ(E.l.f. Beauty)のCMO、コーリー・マーチソット氏だ。「E.l.f.を知らない人にもすぐにファンになってもらい、ここは、ユーザーの独自のニーズ、欲求、欲望に応えるE.l.f.のサービスに感動してもらえる別世界だ」。

E.l.f.が、ほかのデジタルメディアや、Twitchのようなコミュニティ主導のプラットフォーム、NFT、TikTokの動画チャレンジコンテストなどを利用していることを思えば、Robloxへの進出は驚くべきことではない。マーチソット氏は、あらゆるアクティベーションが、自己表現の奨励、エンパワメント、エシカルな姿勢の体現というE.l.f.のミッションをさらに推進すると述べている。フェンティビューティ(Fenty Beauty)、パクサン(PacSun)、クレアーズ(Claire’s)、アーバンディケイ(Urban Decay)、ニックスコスメティクス(NYX Cosmetics)などのファッション・美容ブランドがRobloxに進出している。

好調な収益を報告するRobloxとE.l.f.



Robloxの11月8日の第3四半期収益の発表では、1日の平均アクティブユーザー数が前年同期比で20%増加したと報告された。ユーザーは第2四半期に160億時間以上をRobloxに費やしており、これは前年同期比で20%の増加である。

一方、E.l.f.コスメティクスとE.l.f.スキンの親会社、E.l.f.ビューティは、11月1日に2024年度第2四半期決算を発表し、予想を上回ったことを受けて2四半期連続で通期見通しを引き上げた。売上高は前年同期比で76%増の2億1550万ドル(約327億円)に達した。同社は現在、通期の調整後利益が1億4400万〜1億4600万ドル(約218億〜221億円)になると予想しており、これは以前の予想の1億2500万ドル〜1億2700万ドル(約189億〜192億円)から上方修正されている。

マーチソット氏からはE.l.f.のRobloxへの投資については共有されなかった。E.l.f.決算報告書によると、過去4年間でE.l.f.ビューティはマーケティング投資を純売上高の7%から22%に増やしている。

コミュニティからのフィードバックでゲームを進化させる予定



ブラッド・ティモンズ氏は、E.l.f.と協働してRoblox進出を開発したeスポーツエージェンシー兼コンサルタント会社、イージェンスポーツ(Egen Sports)のマネージングディレクターだ。同氏は、E.l.f.は一般的に楽しくてわかりやすい実業タイプのゲームを作成することにしたと語っている。また、E.l.f.コスメティクスは、パワーグリップ・プライマー(Power Grip Primer)VRヘッドセットなど、ゲーム内で使う仮想アイテム100万点をユーザーに無料で提供している。無料提供がなければ、ユーザーがロバックスで買わなければならなかったアイテムである。

「まずプレイヤーとコミュニティにかなりの選択肢を提供したが、コミュニティは生きており、我々が日々進化を推進し続けるものだ」とティモンズ氏は述べる。

E.l.f.は、YouTube、TikTok、ライブストリームゲーム、Roblox全体におけるインフルエンサーフルエンサーとのパートナーシップを含み、ゲームのローンチに伴う強力なプロモーション戦略を開始している。マーチソット氏は、当初の主要KPIはコミュニティのフィードバックとセンチメントであり、定量化可能な成功指標は後の段階で再開発されると述べている。これは、他社ブランドに先駆けて、E.l.f.コスメティクスがTikTokに「全力で取り組んだ」ときに取ったものと似たアプローチだという。E.l.f.コスメティクスは、ソーシャルメディアのフォロワーと既存のDiscordコミュニティチャネルを通じてフィードバックを求める予定だ。

マーチソット氏は、「メタバースの力というのは、誰かがある環境から別の環境へと、つまり物理的環境、デジタル環境、そしてまた元の環境へと流動的に移動できる、シームレスで統一されたエクスペリエンスを生み出すことにある」と述べた。

[原文:E.l.f Cosmetics makes its Roblox debut]

EMMA SANDLER(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)