すっかり秋になり、髪型を変えたくなる時季。今回は、お手入れがラクで人気の「ショートヘア」がおしゃれに若々しく見えるコツをピックアップしてご紹介します。ヘアライター・佐藤友美(さとゆみ)さんと、人気ヘアサロンMINXのディレクター・八木花子(八木ちゃん)が教えてくれました。

大人の女性にとってショートヘアはメリットが多い理由

八木ちゃん:年齢を重ねると髪質が変化するので、そのときどきの髪質に合ったヘアスタイルが扱いやすいという側面はあると思います。とくに、大人女性にとって、ショートヘアはメリットが多いんですよね。

【写真】後頭部のボリュームだけでこんなに違う

さとゆみ:たしかに。頻繁にカラーリングしてもごわつきが気になりにくいとか、頭の形をよく見せやすいとか。

八木ちゃん:髪悩みがある人も、ショートにすると気にならなくなるケースが多いです。

さとゆみ:たとえば、どんなところが気になってきたら、ショートヘアにするといいのでしょうか?

●ショートヘアにするといい人の特徴

八木ちゃん:トップにボリュームが出にくくなって、それが気になるときですね。やはり、ロングヘアだと、ある程度の髪の重さがあります。そこに、髪が柔らかくコシがなくなってきたり、量が減ったりするのが加わると、重力に逆らってトップの髪にボリュームを出すのはより難しくなっていきます。

さとゆみ:なるほど。たしかに、ショートヘアは長さによる重みがない分、トップのボリュームが出しやすくなりますよね。

八木ちゃん:そうなんです。重さだけではなく、ショートヘアは、トップにレイヤーという段差を入れるカットをしやすいこともあります。レイヤーを入れると、髪は自由に動きやすくなるので、ボリュームも出しやすくなります。

さとゆみ:よくわかりました。まず、トップのボリュームが気になってきたら、ショートヘアを考えてもよい、というわけですね。

八木ちゃん:これはショートに限らないのですが、切れ毛が増えたり、毛先がすかすかして貧相に見えるようになってきたというときは、今より髪の長さを短くして、毛先に厚みを持たせて切るのもおすすめです。

さとゆみ:たしかに、30代、40代前半の頃に比べると、同じ長さの髪型でも、毛先が薄くて頼りない感じになってきますよね。

八木ちゃん:そういうときは毛先がすかすかしている部分を無くすように、カットしてあげるといいですよ。毛先にたっぷり厚みがあると、若々しい印象になりやすいです。

さとゆみ:髪質の変化に合わせて、それぞれの年齢でいちばん似合う髪を手に入れたいですね。

魅力的なショートヘアにするオーダーのコツ3つ

さとゆみ:大人女性に人気のショートヘアですが、ちょっとした違いで、色っぽく素敵に見えたり、少年やおじさんのようになってしまったりしますよね。

八木ちゃん:たしかに、ショートヘアは、切り方ひとつでずいぶん印象が変わる髪型です。あまり短すぎると、こざっぱりしすぎてボーイッシュに見えたりすることもありますよね。

さとゆみ:今日は、ショートヘアをもっと上品に、色っぽく見せたいという人のために、3つのポイントを紹介します。

●1:レイヤーを控え、表面の髪の長さを長めに残す

八木ちゃん:まず、ボーイッシュなのか、フェミニンなのか、その分かれ道になるのが、表面の髪の長さです。美容師用語では「レイヤーを入れる(段を入れる)」と言いますが、レイヤー(段)をたくさん入れれば入れるほど、カジュアルでボーイッシュな印象になります。逆に、レイヤーを控えめにして表面の毛を長く残しておくと、表面にまとまりが出て、ツヤが出やすくなります。

さとゆみ:では、フェミニンな雰囲気にしたい場合は、レイヤーを控えめにして、表面の髪を長く残せばいいのですね。

八木ちゃん:はい。専門用語では、グラデーションカットと言います。担当の美容師さんには「表面の毛は長めに残したいです。ツヤを出したいです」と言えば、伝わります。

さとゆみ:たしかに、同じショートヘアでも、上品さが増しますね。

●2:後頭部をふんわりして丸みをつくる

八木ちゃん:また、後頭部にふんわり丸みがあると、上品で知的な雰囲気に見えます。

さとゆみ:たしかに、後頭部の丸みって、知性を感じさせますよね。絶壁の人でも、カットで実現できる?

八木ちゃん:カットである程度丸みや高さをつくることはできるのですが、部分パーマをかける方法もおすすめですよ。
髪がぺたんとなりやすい人は、後頭部だけに何本かロッドを巻いてパーマをかけるだけで、ボリュームや高さが出やすくなります。

●3:襟足の毛は長めにして首に沿わせる

さとゆみ:そして、ショートヘアがフェミニンに見えるかどうかって、襟足のカットの仕方がポイントですよね。

八木ちゃん:その通りです。襟足が刈り上がっていたりすると、スポーティな印象になりますので、上品さや色っぽさを求めるのであれば、襟足の毛は長めに残して首に沿わせるといいですよ。襟足の毛が首筋にきゅっと沿って引き締まった髪型は、メリハリもついて、頭の形もよく見えます。

さとゆみ:ショートヘアは、横顔や後ろ姿も大事なので、オーダーする時に、ヘアカタログのサイドやバックの写真も参考にしながら相談するといいですね。

ショートヘアは後頭部の形が重要!

八木ちゃん:後頭部のボリューム感があるかないかで、横顔の印象ががらっと変わりますよね。

さとゆみ:とくにショートヘアの人は後頭部の形次第で、ヘアスタイルが決まるかどうかと言っても過言ではないくらい。

八木ちゃん:わかります。

さとゆみ:後頭部がこんもりしていると、それだけで若々しくてリッチな雰囲気になりますよね。

●後頭部をボリュームアップさせる方法

八木ちゃん:今回は1番簡単なボリュームの出し方をレクチャーします。100円ショップなどで売っているマジックカーラーを使います。

(1) トップの髪をひと束とって、マジックカーラーを後ろからあてる

八木ちゃん:ポイントは、マジックカーラーを根元にぐっとあてて、根元を立ち上げるようにすることです。そのあと、カーラーを毛先まですべらせていきましょう。

(2) マジックカーラーを毛先まですべらせ、後ろ方向に毛先から巻き込んでいく

さとゆみ:このマジックカーラーを髪にしっかりからませてすべらせるの、大事ですよね。

八木ちゃん:そこから、くるくると髪を巻き込んで根元まできたらぐっとおさえてキープします。

(3) 根元まで髪を巻き込んでカーラーをキープする

さとゆみ:マジックカーラーは何本くらい巻くといい?

八木ちゃん:髪の量にもよるのですが、だいたい2本から3本巻くといいと思います。くり返しになりますが、根元を立ち上げる感覚を忘れずに。

(4) 同じようにマジックカーラーをもう1個巻いたら、ドライヤーの温風を20秒、冷風を20秒あてる

八木ちゃん:巻き終わったら、マジックカーラーの根元、つまり髪を立ち上げている根元部分にドライヤーの熱をあてるとボリュームをキープしやすくなります。

(5) 完成

さとゆみ:別人級のボリュームが出ました! 横顔が美しい!

八木ちゃん:100円で手に入るボリュームなので、ぜひ、マジックカーラーを使いこなしてみてください。

『女の年齢は髪で決まる』(扶桑社刊)でも、さとゆみ&八木ちゃんが大人の女性の髪型についてや髪にまつわる悩みの解決策をたっぷり紹介しています。