吹き抜けリビングに対しては、「エアコンの効きが悪い」「掃除が大変」といったネガティブな声も。日刊住まいライターは3年前、工務店で高気密高断熱の家を建てました。1台のエアコンと2台のサーキュレーターを導入、吹き抜けがあっても快適に暮らしています。とくに光熱費の心配もなく、子どもも大喜びのリビングを実現しました。便利な伸びるモップを見つけ掃除問題も解決。住み心地をレポート。

吹き抜けにしたいと高気密高断熱の家に

筆者は妻と子ども2人(10歳と6歳)の4人家族。家づくりの際に、28社のハウスメーカーを見学。3年前に地元工務店で、2階建ての注文住宅を建てました。

家を建てる際に実現にたかったことのひとつに、リビングの吹き抜けがあります。しかし、周りの人から「吹き抜けはエアコンが効かないので、夏暑くて冬寒いから絶対にやめた方がいい」と止められ、悩みました。

しかし諦めることができず、高気密高断熱の家を建てることに。そうすれば暑さや寒さの問題も、軽減されるはずだと思ったのです。

ちなみに工務店で建てた家には、外断熱で断熱材(アキレス社のキューワンボード)を50mm入れています。また窓はすべて断熱性の高い、「オール樹脂のフレーム+Low-Eペアガラス」に。

このことで、断熱性能を示すUA値(外皮平均熱貫流率、内部から床、外壁、屋根や開口部などを通過して、外部へ逃げる熱量を外皮全体で平均した値)は0.48の家になりました。

ちなみに、2021年の国土交通省の資料によると、日本の既存住宅の約90%が断熱等級3以下とのこと。つまり関東地方の一般的な住宅だと1.54以上(数値が高い方が断熱性能が低い)。それから比べるとかなりの断熱性能です。

結果、住んで3年たちますが、室内は快適でさまざまな楽しみ方ができ満足しています。詳しく紹介しましょう。

 

エアコンとサーキュレーターですべての部屋でほぼ同じ温度に

こちらは1階の間取り図です。18畳用のエアコンと、サーキュレーターが1台設置されています。

 

そしてこちらが2階の間取り図。吹き抜け横のフリースペースにサーキュレーターを設置。さらに吹き抜けの天井にシーリングファンがあります。これらを常時回すことで、エアコンを家全体に行き渡らせています。

2階の部屋のドアをすべてあけておけば、これだけでどの部屋も、ほぼ一定の温度になっています。吹き抜けは、「冬は寒いし夏は暑い」と言われていましたが、暮らしてみるとまったくそのようなことはありません。

実家だと夏はエアコンをつけた部屋は涼しいけど、廊下は暑い。逆に冬だと部屋は暖かいけど、廊下や使っていない2階の部屋は寒い、ということがよくありました。しかし、わが家ではそのようなことはないのです。

温度差がないのは体にもよいと思います。ですから高齢になっても、安心だと思っています。やはり高気密高断熱の家にこだわってよかったです。

光熱費は吹き抜けでない家に住んだことがないので、比較はできませんが、太陽光発電を載せていることもあり、気になるほど光熱費はかかっていません。

明るく開放感があるリビングは気持ちがいい!

吹き抜けにしたかった理由のひとつに、明るく、広い開放感のあるリビングにしたかったというのがあります。実際に暮らしてみると本当に明るいですし、開放感があります。日中は電気をつけなくても十分明るいです。

またリビングに寝転がって梁(はり)越しに見上げていると、圧迫感がないのでゆったりとした気分に。この家を建ててよかったなと思うひとときです。この開放感と明るさはやはり吹き抜けの最大のメリットだと感じています。

 

吹き抜けがあれば子どもも大満足の空間に

吹き抜けになっていることで、子どもたちが家でも楽しく遊べる空間となっています。梁を使ったブランコでは、ほぼ毎日遊んでいます。

また、2階からパラシュートのオモチャを落としてみたり、鉄砲のオモチャで1階と2階で撃ち合って遊んだりと、吹き抜けを生かした遊びもたくさんしています。子どもたちが遊べる家にしたかったのも要望としてあったので、この点においても吹き抜けにしてよかったと思っています。

心配だったお掃除も便利グッズで問題なし!

暑さ寒さ、光熱費の問題と同じく、気になっていたのは掃除のこと。梁や天井についているシーリングファンや高窓の掃除は、どうすればいいのかも心配でした。

ネットを調べてみると便利なものを発見。280cmまで伸びるモップです。値段は1500円でした。これを使うことで、2階のホール部分から梁の上、シーリングファン、窓台にあるホコリを掃除することができています。

 

収納時は縮めておけばコンパクトになるので、収納場所も困りません。

吹き抜けリビングで心配していた寒さ、暑さの問題については、むしろ家全体が快適な温度になるメリットとなる部分と感じています。掃除の問題もなく、子どもたちも楽しめる満足度の高い空間になりました。

気になるのは温度ではなく、音の問題(調理中のにおいは換気扇のおかげか、筆者はさほど気にならず)。工務店から「音が響く」とは聞いていましたが、思ったよりも1階の音が2階に響きます。そのことさえ気にしなければ、高気密高断熱で吹き抜けを介して家全体の温度差が少ない家はいいかもしれません。