10月に入り、日本各地でも盛り上がりを見せている「ハロウィーン」。海外ではハロウィーンをどのように過ごしているのでしょうか? ここでは、アメリカ・シアトルに住んで20年、子育てに奮闘するライターのNorikoさんに、「アメリカのハロウィーン事情」について教えてもらいました。

アメリカでは8月末からハロウィーン気分!?

夏休み明けに新学年を迎えるアメリカでは、新学期商戦が終わるやいなや、スーパーマーケットやドラッグストアなどにハロウィーン向けの売り場が開設します。アメリカはハロウィーンの本場だけに、仮装用のコスチュームはもちろん、家や庭の飾りつけグッズが充実。

専門ショップも期間限定でオープンし、定番のお化けカボチャ、コウモリ、蜘蛛、蜘蛛の巣、墓石、ゴースト、モンスター、ゾンビ、魔女、黒猫が勢ぞろいです。また、トリックオアトリート用のバラマキ菓子、お菓子を入れるバケツも用意されています。

●季節の風物詩「パンプキン」

10月に入って、いよいよ生パンプキンも店頭に並び出しました。スーパーマーケットや直売所で山積みになっているパンプキンは、この季節の風物詩です。オレンジ以外にも、最近は白、ピンク、ベージュ、エメラルドグリーンと色とりどり。

郊外の農園では「パンプキン・パッチ」と呼ばれるパンプキン狩りも解禁され、地面にごろごろ転がっている大小さまざまのパンプキンから、好みの1つ(と言わず、カートに山盛りにするツワモノも!)を選び、収穫します。

多くの農園では客寄せに、コーン・メイズというトウモロコシ畑を利用した立体迷路や、巨大遊具、動物触れ合い体験などを準備しており、大型トラクターで引っ張る荷台に乗って農園内を移動するのも非日常感たっぷりです。

そんなこんなでゲットした生パンプキンやにぎやかでおどろおどろしい飾りつけグッズは、住宅地のデコレーション合戦に使われます。

私の住むシアトルでも早速、ハロウィーン仕様の家が目立ってきています。

●ハロウィーン・ウィークはイベント目白押し

この時期、ハロウィーン一色となるのは、遊園地のほかに、ミュージアム、動物園などの子ども向け施設、ショッピングモール、商店街、公園、コミュニティーセンター、飲食チェーンなどと幅広く、街全体で一斉にハロウィーン向けの催しやデコレーションが開始されます。

ここシアトルにはゲームやITの企業が集まるため、社員家族を招待し、大規模なハロウィーン・イベントを開催することもあるようです。カフェなどにハロウィーン・グルメとして、パンプキンラテ、パンプキンパイ、パンプキンやお化け柄のクッキーも登場します。

「ジャック・オー・ランタン」と呼ばれる、生パンプキンをくり抜いて、中にろうそくを灯すお化けカボチャづくりも一般的。わが家でも、親子でワークショップに参加し、カービングナイフを借りて彫刻に挑戦したことがあります。なかなかに地味な力仕事のため、子どもは途中で飽きてしまい、結局は母が仕上げましたが…。

ホーンテッドハウスは、日本で言うお化け屋敷。私は、子どもが通う小学校のハロウィーン・イベントで体験しました。アメリカの小学校では平日夜や週末に家族で参加できるイベントが多く、これもそのひとつ。子どもたちは仮装をして、ナイトクラブのような照明のダンス・フロアやお化け屋敷を回り、ハロウィーンを満喫していました。

子どもも大きくなったので、そろそろ一緒に年齢制限のある本格的なホーンテッドハウスにも挑戦してみたいものです。

●やっぱりハロウィーンの主役は子どもたち!

ハロウィーン本番の日と直前の週末には、各地でトリックオアトリートが行われます。「お菓子をくれないと、いたずらするぞ!」を合言葉に、お化けやキャラクターに扮した子どもたちが店や家を1軒1軒回ってお菓子をもらいます。

わが家の場合、子どものよちよち時代は、各店舗を安全に効率良く回れるショッピングモールのトリックオアトリートがお気に入りでした。少し大きくなると各地の商店街のトリックオアトリートへ出かけ、小学生時代では近所の住宅街でのトリックオアトリートにもチャレンジ。

住宅街のトリックオアトリートでは、知り合いでもなんでもない家々を回るわけですが、どこの家を訪ねるかは、前述の飾りつけの有無が決め手です。

子どもたちが喜ぶように本気の飾りつけを施す家は、まず間違いなし! また、飾りつけは控えめでも、目立つ場所にパンプキン数個がこれみよがしに並んでいれば、「ウェルカム」のサインです。逆に、飾りつけもパンプキンもなにもなければ、「うちには来ないでね」という意思表示に。つまり、飾りつけの盛んな住宅街=トリックオアトリートに適している、という判断基準になります。

おもに週末に行われるショッピングモールや商店街のトリックオアトリートと違い、住宅街はさすがにハロウィーン当日の夜だけ訪問が許されるため、平日だと翌日は親子ともども、どっと疲れが出ます。それでも、クラスでいくつお菓子をもらえたか自慢し合うという子どもの話を聞くと、「今年は火曜日だけど、行こうか…」と、親もがんばってつき合うことに。

ちなみに、ハロウィーン当日に行きつけのハンバーガーショップを仮装して訪れるとハンバーガー1個が無料でもらえ、うちの子どもにとってはいちばんの「お得意さま」となっています。

●日本のハロウィーンとの違いは…

アメリカでも若者世代は、ゾンビの格好で通りを練り歩く「ゾンビウォーク」に、バーやクラブの仮装パーティにと、ハロウィーンの仮装を楽しんでいます。しかし、法律で公道や公園での飲酒が禁じられていることもあって、街全体が近年の渋谷のような無法地帯に、という話は聞きません。もともとアメリカのハロウィーン文化は、古代ケルトの祭礼に起源を持ち、収穫を祝い、悪霊を払う意味合いがあったものが商業的に発展したものとされます。

日本では、そのアメリカのハロウィーン文化の一部である仮装だけが注目されがちですが、前述の通り、よりさまざまな要素が見られるのがアメリカです。皆さんもごきげんな秋をお過ごしください。ハッピー・ハロウィーン!