白を減らしたインテリア。落ち着いた雰囲気で劣化が気にならない家づくり
インテリアに「真っ白い」要素が強いと、なんだか落ち着かない…。そこで、壁紙やカーテン、巾木(はばき)などに、色や模様を取り入れて家づくりをした日刊住まいライター。「いかにも新しい」という雰囲気を新居から極力なくしました。目指したのは、落ち着きがあって、経年劣化が気にならないインテリア。詳しく語ります。
白いインテリアは、汚れていく経過が気になる
家の壁紙やドア枠、巾木などには一般的に白が使われることが多いもの。しかし、わが家では白をあまり使っていません。筆者の好みの色ではないからです。
現在30代、夫婦でふたり暮らしをする筆者。家づくりの際は、「白を減らして個性的なインテリアにしたい」「でも、色の使いすぎで圧迫感が出るのは避けたい」という、方向性の異なる思いに葛藤しました。
しかし検討を重ね、最終的に適度に白を減らし、かつ、圧迫感なく落ち着く空間ができ上がったと思います。
真っ白のインテリアが好みでないのは、白い壁が長い年月をかけて汚れていく様子を見たくなかったから。その一方で、(少し矛盾するようですが)いかにも新しいという主張も強い気がして、なんだか疲れてしまう感じがするのです。
ちなみに、実家の壁は白でした。両親の吸うタバコのヤニ、キッチンからの油はね、ほかにも原因はいろいろあったのでしょう。壁はもちろん、白いカーテンや家具が、少しずつ黄ばんでいったことを覚えています。
わが家はタバコは吸いません。でも、気兼ねなくホットプレートを使って焼き肉やタコ焼きを楽しみたい。そのせいで、実家みたいに黄ばんだらイヤだな…。
そんなことも考えて、新居は汚れやすい白をなるべく使わないようにしたのです。
リビングや廊下など大きな面はアイボリーの壁紙を
黄ばむのがイヤだったら、最初から黄色みのある色を選んでおけばよいのでは? そんな発想から、リビングや廊下はアイボリーの壁紙を選びました。
筆者がリビングに選んだのは、漆喰風のアイボリーの壁紙。均一の色味ではなく、自然の素材にあるような、ふぞろいな模様がうっすらと入っています。
いかにも新品、という感じにならず、使い古された壁のような雰囲気に仕上がりに。筆者は気に入っています。
リビングのカーテンは、やさしい黄色の色味に
リビングのカーテンの色選びは、本当に迷いました。
最初はグレーか濃いブラウンにしたかった筆者。しかし、カーテン屋さんに「濃い色はやめておけ」と反対されました。濃い色のカーテンは、部屋を狭く感じさせる効果があるとのこと。
結果的に、カーテン屋さんが勧めてくれた色の中で、いちばん濃いベージュを選びました。
こちらは、リビングのフィックス窓に設置した、ロールカーテンの様子。この色は、ヤニで黄ばんだ実家の壁紙の色と、とても似ています(笑)。これなら、経年劣化の様子も目立たないでしょう。
もともとは、ベージュが嫌いな筆者。しかしいざ使ってみると、実家の壁紙の色と似ていて親近感が。それが妙に懐かしいと言いますか…。温かみのあるやさしい黄色が、結果的に筆者に、懐かしさと落ち着きを与えてくれました。
実際、淡い黄色やくすんだ黄色のインテリアには、落ち着き効果があるそう!
リビングの天井は、グレーのモルタル風壁紙
リビングの天井には、リアルなモルタルのように見える壁紙を使いました。
もともとは、コンクリート打ちっぱなしのインテリアに憧れていた筆者。本当はこの壁紙をリビング全体に使いたかったのですが、そこまでは勇気が出ませんでした。
とはいえ、ふと上を向いたときに見えるこの天井は、筆者のお気に入り。レトロな建物で暮らしているかのような気分を味わえます。なんだか、落ち着いた雰囲気がありますね。
キッチンの壁紙は黒。渋くて落ち着く空間に
キッチンの壁紙は、ほぼ黒です。ちなみに天井は、木の下り天井(天井がほかよりも低くなっている)を採用。
壁紙が黒だと、圧迫感が出たり、料理がおいしく見えなかったりしないかな…。完成まで不安でした。しかし、じっさはなんの問題もなく、渋いカフェのような空間になりました。
キッチンに、この黒い壁紙を選んだ理由は、傷や汚れが目立ちにくいから。また、ここと、リビングやキッチンに採用したドアの雰囲気と合わせたかったからです。
この壁紙を見つけたときは、「これだ!」と思った反面、「黒い壁紙の部屋ってどうなん?」との疑問があったのも正直なところ。グレーならまだしも、黒は収縮色なので、キッチンが狭く感じるのではと思いました。
しかも、アクセントとして部分的に使うのではなく、キッチンの壁2面に使うという大胆さ。しかし、心配した圧迫感は気にならず、渋くてホッとするカフェのような空間になりました。
じつはこのキッチンの一角は、筆者のワークスペースになっています。壁色が黒いと、気分が落ち着いて、とても仕事に集中できますね。これは実際に暮らしてみて気づいた、意外な効果でした。
ドア枠、巾木、窓枠もアイボリーを選択
家づくり当初は、ドア枠、巾木、窓枠については、白を選んでいました。業者から「今選んでいる室内ドアに合うドア枠の色は白しかない」と言われ、すべて白で統一することにしたのです。
しかし、白の巾木やドア枠は汚れが目立つと聞いたことがあり、なんとかしたいとカタログを見ていたら、クリーム色で木目調のドア枠を見つけました。リクシルの「クリエアイボリー」という色です。
ドアの色との相性についてはわかりませんでしたが、真っ白のドア枠や巾木がどうしても筆者はイヤだったので、クリエアイボリーに急きょ変更することに。
この選択が大成功。アイボリーなので、白より落ち着いて見えます。さらに、木目模様が入っていることで、汚れが目立ちにくい効果も。上に貼ったアイボリーの壁紙との相性もよい様子。
心配していたドアとの相性もばっちりでした。
白い色を減らしてさまざまな色の壁紙を使ったり、業者の勧めに反対して白いドア枠と巾木をやめたり。セオリー度外視で挑戦したので、家が完成するまでどうなるか不安もありました。
しかし、完成したら意外とまとまりのあるテイストになり、白が少ないことで落ち着く空間になったと思います。
実際、わが家にハウスクリーニングで訪れた業者が「この家は白が少ないから、目がチカチカせず落ち着いててよいですね」と言ってくれました。真っ白じゃないことで、使い古したような味わいが出て、落ち着き感が出たのかなと思います。