認知障害を引き起こすアルツハイマー病の完全な治療法は確立されていないため、発症リスクを早期に特定し、準備や緩和策を講じることが重要になります。コロラド大学・マイアミ大学・ワシントン大学の研究チームが、簡単に装着できるヘッドバンド型の脳波計を使って脳波パターンを監視し、アルツハイマー病の認知障害の初期症状を発見する方法を開発しました。

Mapping sleep's oscillatory events as a biomarker of Alzheimer's disease - Pulver - Alzheimer's & Dementia - Wiley Online Library

https://doi.org/10.1002/alz.13420



'A Fitness Tracker for Brain Health': Headband Seeks Early Signs of Alzheimer’s During Sleep

https://news.cuanschutz.edu/news-stories/a-fitness-tracker-for-brain-health-how-a-headband-can-identify-early-signs-of-alzheimers-disease-in-your-sleep



不可逆的な進行性の脳疾患であるアルツハイマー病は記憶力や思考力が徐々に低下し、最終的に日常生活を送る上で支障が出るほど認知能力が失われてしまう病気です。近年は治療薬の開発も進んでいますが、依然としてアルツハイマー病の治療法は確立されていません。

そこで、研究チームは「身近でスケーラブルなヘッドバンド型装置」を使い、家庭でも脳波を計測して認知障害を早期に発見するツールを開発しました。



研究チームは205人の高齢者を対象に、睡眠中の記憶処理に関連する脳活動を計測しました。その中で、アルツハイマー病患者の脳にみられるアミロイドタンパク質とタウタンパク質の蓄積に関連するとみられる脳波パターンの変化を特定したとのこと。また、研究チームはある活動パターンの強度が低下する現象が、認知障害の初期症状と相関していたと主張しています。



コロラド大学の臨床神経学者であるブリス・マコーネル氏は「実験の結果、異常なレベルのタンパク質が睡眠記憶の再活性化に関係していることがわかり、症状の初期症状を脳波パターンから特定することができました」と語りました。

脳波を測定できるヘッドバンドは特別な装置を必要とせず、誰でも簡単に装着できます。マコーネル氏は「今回の研究は睡眠中の脳波をデジタルなバイオマーカーと見なすことができるという原理を証明するものであり、次はこのプロセスを完成させることが目標です」と述べました。