日本記者クラブで会見を開いた「ジャニーズ性加害問題当事者の会」(日本記者クラブのYouTubeチャンネルより)

写真拡大

ジャニーズ事務所前社長の故・ジャニー喜多川氏から性被害を受けていたと訴えている「ジャニーズ性加害問題当事者の会」が2023年8月4日、日本記者クラブで会見を開き、事務所が設置した「再発防止特別チーム」による調査や「心のケア相談窓口」で実際に受けた対応を明かした。

「当事者の会」はジャニーズ事務所にかつて所属し、ジャニー氏による性加害を受け、事件を告発した有志により6月26日に創設された。

特別チームは「そもそも何のためにあるのかさえわからない」

会見で、ジャニーズ事務所が7月に設置した「外部専門家による再発防止特別チーム」による調査と、今回来日した国連人権理事会「ビジネスと人権」作業部会の専門家による調査を比較した違いを報道陣から問われると、「当事者の会」代表の平本淳也さんは、特別チームから連絡を受けたのは、平本さん、副代表の石丸志門さん、二本樹顕理さんの3人だと明かした。二本樹さんが既にオンラインで調査を受けたという。

二本樹さんは調査内容をこう明かした。

「特別チームのヒアリングは、ジャニーズ事務所から資金提供を受けて動いているチームなので、ジャニーズ事務所に対して再発防止をするのかと提言するのが目標なのかなと感じました。被害者救済のために動いているとは個人的には全く感じませんでした。調査の内容は言えませんが、流れとしては当時の被害の状況、入所退所の経緯、根掘り葉掘り細かく1時間半くらいにわたって聞かれました。

対して国連作業部会のヒアリングは、彼らが我々に何か質問を投げかけてくるのではなく、我々の声に終始耳を傾けてくれ、目を見て聞いてくださいました。気持ちを汲み取ってくれたと感じます」

オンラインで調査を受けた経緯としては、二本樹さんが個人で運営している音楽教室宛てに特別チームから依頼があったという。提示された面談可能な日程が2日で、面談時間が1時間しかなく、さらに交通費を出すから東京に来てほしいと言われたという。難しかったためZoomでの参加を提示したと二本樹さんは明かした。

平本さんは特別チームのあり方を問われると、「そもそも何のためにあるのかさえわからない」とした。

「ケアされるどころか、けなされている」

記者に「国連の会見でジャニーズ事務所が行う被害者へのメンタルケアが不十分だという指摘があったが、何が不十分か」と問われると、平本さんは「全く何もないのでどこをどう評価していいのかすらわかりません」と回答。「ケアされたいと思って」心のケア相談窓口に相談したところ、「ご希望でしたらカウンセラーをご紹介します。質問、メッセージは1週間以内にお返事いたします」と返ってきたが、2か月経っても返事がこないと明かした。

「まだ待ってます。ケアされるどころか、けなされている。ちょっとシャレですけど」

石丸さんは自身のブログに、弁護士事務所から「再発防止特別チームの事務局です」というコメントがあったと明かした。

「そんな事務局が存在してると知りませんでした。本当に事務局なのかわからないという現実がありました」

連絡を受けた仲間がいたため、実際に事務局が存在するとわかったという。再発防止特別チームから2人が出席し、弁護士事務所から事務局の人が出席するという提案を受けたとする。

「被害の内容を話すのは、武勇伝を語ることではありません。恥ずかしく、おぞましく、記憶から消したいことをどこの人かもわからない弁護士に話したくない。『再発防止特別チーム全員であれば話します』と伝えました。そうしたら『録音をとらせてほしい』と言われ、『こちらも録音します』と伝えるとOKが出ました。『3人揃うのに時間がかかるので1か月ほどお待ちください』という返事をもらいました。作業としては事務的な流れがあります。今の会話の中に心のケアは出てきたでしょうか。これが現実です」