Googleやソーシャルメディア上に存在するマルウェア広告や詐欺広告に厳しく対処するための法的規制を設けるとイギリス政府が発表
ソーシャルメディアプラットフォームやGoogle広告のようなサービス上に存在する、「偽の有名人を用いた詐欺広告」や「マルウェアを含む広告」などに対してこれまでよりも厳しい措置を取ると、イギリス政府が発表しました。
UK to Crack Down on Social Media Platform Ads - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2023-07-24/uk-pledges-crackdown-on-harmful-ads-on-web-platforms-like-google
UK to tighten rules over illegal content on internet platforms | Financial Times
https://www.ft.com/content/7cda8423-ba31-417b-bf5d-d9b0c6f568eb
現地時間の2023年7月25日、イギリスの行政機関のひとつであるデジタル・文化・メディア・スポーツ省が、インターネット広告業界を「デジタル時代に適合したもの」にするべく新しい規則を導入すると発表しました。これは、偽の有名人やインフルエンサーを用いた詐欺広告を防ぐためのものでもあります。
デジタル・文化・メディア・スポーツ省は、「金融詐欺のために詐欺的な有名人の推薦文を掲載した広告や、マルウェアを含むポップアップ広告、武器・薬物・ファッション偽造品に関する広告、チケットの詐欺販売に関する広告など、インターネット上ではイギリスの法律で禁止されているはずの広告を頻繁に目にします」と述べ、既存のインターネット上に存在する広告には不適切なものが多すぎると指摘しました。
デジタル・文化・メディア・スポーツ省が導入を進める新しい法的規制は、インターネット広告の仲介役を務めるGoogleなどのアドテク企業や、広告を掲載するアプリやウェブサイト、ソーシャルメディアアカウントの運営者などを包括的に取り締まるためのものです。
この法的規制について、デジタル・文化・メディア・スポーツ省は「的を絞ったさまざまな法的・非立法的措置により、オンライン広告に関する最も深刻なリスクに対処します」と説明しています。
違法なオンライン広告に対処するため、デジタル・文化・メディア・スポーツ省は新しい法的規制を設けるための動きを進めています。この法的規制が成立すれば、大手プラットフォームからウェブサイトの運営者、アドテク仲介業者、インフルエンサーに至るまで、インターネット広告のサプライチェーン全体に特別な責任を課すことが可能になるとデジタル・文化・メディア・スポーツ省は説明しています。
経済紙・Financial Timesの報道によると、インフルエンサーによるPR投稿も規制の対象となるそうです。さらに、ソーシャルメディア・検索エンジン・ウェブサイトなどは、成人でなければアクセスできないコンテンツやサービス(酒、ギャンブルなど)の広告を未成年が見ることがなくなるようなシステムの導入を法律で義務付けられることとなる模様。
なお、イギリス政府はすでにオンライン・セーフティ法案を通じて、ソーシャルメディアや検索エンジン上に掲載される詐欺広告を禁止するための措置を導入しています。しかし、今回提案されている新規則はいわゆるアドテクのサプライチェーンを対象としたものであるため、オンライン・セーフティ法案を補完するものになると見込まれています。
声明によると、イギリス政府がオンライン広告プログラムと呼ぶものの一環として、デジタル・文化・メディア・スポーツ省は今後、新規則を監督するための規制当局の推薦を含め、法制化の可能性を協議していく予定です。
デジタル・文化・メディア・スポーツ省によると、2022年にイギリスで広告に費やされた金額は約348億ポンド(約6兆3200億円)で、このうち4分の3をインターネット広告が占めている模様。しかし、急速な成長に伴い悪質なマーケティングが急増しており、詐欺広告がまん延するようになったと言及されています。
デジタル・文化・メディア・スポーツ省のメディアおよびデータ担当大臣を務めるジョン・ウィッティングデール氏は、「インターネット広告が広告業界におけるシェアを着実に伸ばしていますが、それを管理する規則が追い付いていません」と述べました。
イギリスで2021年に施行された規則により、YouTubeを運営するGoogleは「Googleアカウントにログインしていない人や、18歳以上であることを確認できない人に、アルコールやギャンブル、処方せんなどを紹介する広告を見られないようにする」という措置を導入しています。
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