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 TSGホッフェンハイムは今、まさに生まれ変わろうとしている。2010年よりユース部門からディレクションしていたアレクサンダー・ローゼン氏は、残留争いを演じていた2013年にトップチームへと昇格。それ以降はスポーツディレクターとしてこれまでCL1度、EL2度出場など順調な歩みを続けてきたのだが、10年目となった昨季は一変。ブライテンライター監督の招聘で不振を招くと、ホップ会長が蜜月の関係にある代理人ヴィットマン氏と結託してケナン・コチャク監督の招聘に動く流れとなり、最終的にこれを頑なに固辞しペジェグリーノ・マタラッツォ監督を招聘、出だしこそ5連敗と辛いものなったが巻き返して何とかブンデス残留を果たした。

 そしてホップ会長が議決権を返上したこの夏に山場を乗り越えたローゼン氏は、敢えて「スリムな組織運営を行なってきた」ホッフェンハイムの首脳陣の刷新に着手。「現代的で野心的なプロクラブに求められることへ適切に対応していく」ため再構築をはかっており、自らスポーツディレクター職から競技部門取締役へと昇進し、その後SD職を引き継ぐことになるのがピルミン・シュヴェグラー氏である。かつてホッフェンハイムで主将を務めていた元スイス代表MFは、バイエルンのスカウト担当から今冬より復帰。ドルトムントのセバスチャン・ケール氏らのように元主将としてのリーダーシップでまずは有資格部門担当として選手と首脳陣の橋渡し役を担っており、また様々な部門をチェックしつつ次期スポーツディレクターとして成長しているところ(現時点でローゼン氏の管理責任範囲の変更は無い)。

 そしてこれまでの有資格部門担当としての職務範囲は、チームマネージャーを務めるキリアン・フォルマー氏によって引き継がれることになる。かつて映画ザ・ウェーブで出演した経験ももつ元俳優は、経営学を8年間学びながら1.FCケルンのチームマネジメントに携わり、2019年よりホッフェンハイムに加入。2020年にはドイツサッカー連盟とドイツサッカーリーグ機構が主催するマネジメントに参加した経歴をもつ37歳だ。さらにチーフスカウトを務めるバスティアン・フーバー氏も、テクニカルディレクターとなってチームの近くに身を置き、ユースアカデミーやセカンドチーム、また外部からのレンタル選手や、ブラジルとポルトガルとの共同プロジェクトなどにも携わっていくことに。

 それだけではない。すでにキッカーではお伝えしているように、もう1人の元主将ベンヤミン・ヒュブナー氏も首脳陣へさらに厚みを持たせることが期待されているところであり、父に元アイントラハト・フランクフルトのブルーノ・ヒュブナー氏をもつ34歳は、現在は専門分野を確定していくまでの18ヶ月間として、全部門を通した研修プログラムを受けている。

ビチャクチッチが、9年過ごしたホッフェンハイムを退団

 そのヒュブナーとかつてCBコンビを形成していた、エルミン・ビチャクチッチが9年過ごしたホッフェンハイムから退団することが発表された。33歳のセンターバックとの契約は先月末日をもって満了を迎えており、双方合意の上で契約延長がみおくられたという。これまでブンデス通算130試合に出場するなど、「チームにとって欠かせない存在で、ホッフェンハイムにおけるブンデスリーガでの歴史の一部となった」とローゼン氏から賛辞を受けた元ボスニアへルツェエゴビナ代表だが、ここのところは負傷に苦しみ出場機会を得られていなかった。退団試合など今後はいまのところはまだ不明で、先日に退団したセバスチャン・ルディとの共同開催の可能性もあるとのこと。(7月15日に追記)