不動産会社の経営者が教える! 絶対してはいけない「1人暮らしのNG行動」
物件探しでは、防犯の観点からどのようなポイントに注意すればいいのでしょうか?『持ち家女子はじめます』(飛鳥新社)の著者であり、5000人超の女性たちの「幸せになれる家選び」をサポートしてきた「ことり不動産」代表の石岡茜さんに、絶対にしてはいけない「1人暮らしのNG行動」についてお聞きしました。今回は、避けるべき周辺&住環境です。ぜひ参考にしてください。
NG1 「どんよりした空気」を感じる
毎年「住みたい街ランキング」が発表され大きな話題となりますが、あなた自身の「住んでみたい街」について考えてみたことはありますか? 〇〇区、〇〇市、〇〇駅といった人気のある市町村や駅などで選ぶ方も多いと思いますが、住みたい街の条件は人それぞれ違うはず。自分にとって外せないポイントとは何なのかを探り、それらを満たしてくれる街を選ぶことが重要です。大きく分けると、基本のポイントは次の4つになると思います。
1. 職場や学校へのアクセスのよさ2. 実家への帰りやすさ3. 学区や保育園の入りやすさ4. スーパーや飲食店の充実度
これらを踏まえ、候補の駅や街を絞ってください。その上で、実際にその街のメインストリートや駅周辺を歩いてみてほしいのです。街歩きをすることは、住むエリアを定める際にとても重要。実際に歩いてみると同じ沿線であっても、駅ごとに雰囲気がまったく異なることに気づくはずです。
たとえば「活気がない」「街灯が少ない」「騒がしい店や深夜営業の店が多い」など。ネガティブに感じたということは、自分にとって住みやすい街とは言えないと思います。
また具体的な理由はわからないけれど、歩いていて「なんとなく」違和感を覚えた、「なんとなく」元気が出てワクワクした、「なんとなく」どんよりした空気を感じて苦手だった…など。「なんとなく」抱いた感覚や第一印象は、街を選ぶ重要な手がかりとなります。お客様たちも「最終的に直感でいいと思った街に決めた」と皆様、口を揃えます。
商店街や飲食店、病院やスーパーなど生活に根ざしたスポットの充実などもチェックしつつ、ぜひ「直感」を大切に住みやすい街を探してください。
NG2 駅前に放置自転車や違法駐車が多い
駅前やメインストリートに放置自転車がある、違法駐車している車が多いといったエリアはおすすめできません。警察や自治体などによる取り締まりが緩く、犯罪率が高い可能性があるからです。
また、ゴミがたくさん落ちていたり、壁や看板などに落書きがあったりする街もまたNGです。割られた窓ガラスをそのままにしていると他の窓ガラスも割られ、いずれ街全体が荒廃してしまうという「割れ窓理論」に当てはまります。
これは、軽犯罪であっても徹底的に取り締まることで凶悪犯罪を含む犯罪を抑止できるという理論のこと。つまり放置自転車やゴミ問題に手を打っていない街では、犯罪が起きやすいという危険性があるのです。
候補に挙げた街の詳細な治安について知りたい方は「警視庁犯罪情報マップ」(※1)を活用するのもおすすめです。女性や子どもに対するつきまとい事案をはじめ、ひったくりや特殊詐欺の発生場所や回数が地図上に表示され、その街の情報収集をすることができます。
ただし、警察が発表している犯罪件数はあくまでも通報があったもののみで、実際の犯罪数というわけではありません。下着泥棒、痴漢、強姦といった犯罪に関しては、被害者(多くは女性)が恥ずかしさから通報しないケースもありますので、参考程度にしてください。
NG3 夜道が暗く駆けこめる場所がない
まず、警視庁のサイト(※2)に書かれた性犯罪被害の事例をご覧ください。
・徒歩で帰宅途中、声をかけられて後方から抱きつかれた・コンビニエンスストアでの買い物から帰宅して玄関を開けたところ、後ろから体を触られた・同じエレベーターに乗っていた男に自宅前まで追従され、鞄から鍵を出そうとしたところ後ろから抱きつかれた・エレベーターに続いて乗ってきた男に背後から抱きつかれた・自宅のドアに施錠をしないまま就寝してしまったところ、目を覚ますと近くに男が立っていた
これらからもわかるように、駅や学校、職場からの帰り道につけられた女性が被害にあうパターンが非常に多いことがわかります。日中であっても100%安全とは言えませんが、暗い夜道はなおさら危険性が高まるのでいっそう注意が必要です。
昼間は穏やかな雰囲気の街であっても、夜になると表情が一変する場合があります。できれば昼と夜それぞれの時間帯に歩いてみて、その変化をチェックしてほしいです。
すでに気になる物件がある方は、実際に駅から物件までの道のりを歩いてみるといいでしょう。とくに夜間にチェックしてほしい項目がこちらです。
・人通りが多いか(とくに女性や家族連れが歩いているか)・街灯の数が多く家の前まで明るい道が続いているか・駐車場や工場のそばではなく、住宅街の中にある物件か・交番やコンビニなどすぐに駆けこめるスポットが近くにあるか
これらに該当しない街や物件は選ばないほうがいいでしょう。
ただし、治安を重視するあまり国道沿いや繁華街にある物件を選択すると、外が明るくて落ち着かなかったり、騒音トラブルを抱えたりと別の問題が発生する可能性があります。そのあたりのバランスを考えながら、住む街や物件を探してください。
Information
<教えてくれた人>石岡茜さん。2013年に「女性のための不動産会社を作りたい」と、東京・学芸大学に「ことり不動産」を設立。女性ならではの細やかな視点と「幸せな家選び」をモットーに、物件選びをサポートしている。宅地建物取引士。著書に『持ち家女子はじめます』(飛鳥新社)がある。
取材、文・高倉優子
©Pratya Vuttapanit/Getty Images
取材、文・高倉優子