首都高の大幹線を2週間通行止めのうえ行われている「高速大師橋」の架け替え工事がまもなく終了。途中で台風2号も襲来したものの、通行止めを解除できる見込みでしす。架け替わった橋を見ると、ちょっと妙なところもありました。

台風2号で中断もあったけど予定通り終了

 首都高1号羽田線などの一部区間を通行止めのうえ、同路線の多摩川に架かる「高速大師橋」の架け替え工事。予定されている通行止め解除を翌日に控えた2023年6月9日(金)、架け替わった橋が報道陣へ公開されました。


高速大師橋。案内標識より奥が架け替えられた部分(乗りものニュース編集部撮影)。

「6月10日(土)朝5時、予定通り通行止めを解除します。期間中はお客様に大変なご不便、ご迷惑をおかけしました」

 現場公開はこのような挨拶で始まり、つつがなく工事を終えられることがアピールされました。とはいえ、途中で台風2号が襲来し、中断せざるを得なかった工事もあったといいます。

 この工事は、老朽化した橋の横で、新しい橋桁を9割方完成の状態まで作り上げ、通行止め後、既存の橋桁と新しい橋桁を、それぞれ横スライドして架け替えるというもの。それ自体は通行止めから3日間で行われています。その後は架け替え後の橋桁の両端に“端部橋桁”を設置し、位置の調整や新しい橋脚への溶接固定に6日をかけ、舗装や区画線といった附属施設物の仕上げなどが行われていました。

 なお、大々的に宣伝されていた通行止めに伴う交通への影響ですが、「当初、懸念していたよりも小さめ」とのこと。工事への理解や、迂回への協力について、改めて感謝の言葉が述べられました。

 たとえば、直接的な迂回路となる湾岸線の通過時間は、葛西JCT→空港中央で最大約60分と予測されていたところ、6月5日の実績は最大50分だったそう(通常なら最大約30分)。ただ一般道では、通行止め区間周辺の産業道路や第一京浜(国道15号)などで渋滞増加が見られるといい、この日も産業道路の大師橋上り線は渋滞していました。

 では、架け替わった橋はどのようになったのでしょうか。

新しい橋は“横幅”が違う?

 上り線の大師入口ランプから高速大師橋に上がってみると、橋の途中から真新しい舗装が広がっていました。その横、本線とほぼ同じ高さに、スライドされた古い橋桁が断面をさらして置かれている光景も、なかなかの迫力です。

 既存の橋桁から新しい橋桁へ切り替わる部分は明確に分かります。そこから、やや外側へ橋桁が拡がっているのです。反対側の終端は、その拡がった部分がだんだんと狭まり、古い橋桁と同じ幅になっていくように調整されています。

「既存部分が造られた55年前の設計では、路肩も狭かったのですが、架け替えた部分は現在の基準の設計で造られているので、路肩が拡がっています」と首都高の関係者が教えてくれました。

 もちろん舗装なども高機能化されており、透水性が向上しているといいます。この日の朝は雨で、既存部分の路面には少し水が残っていた一方で、新設の部分はきれいに水がはけていたとか。この透水性能により、クルマで通行した際の騒音も小さいといいます。


本線の横に置かれた古い橋。今後、時間をかけて撤去される(乗りものニュース編集部)。

 なお、上り本線の横に置かれた古い橋桁は今後、2025年にかけて少しずつ撤去していくといいます。新しい橋桁は約300mを3つの大ブロックに分けて船で運搬しましたが、古い橋桁は少しずつ切り分けて船で運んでいくそうです。

 また、首都高速道路は通行止めにともなう交通への影響は今後分析のうえ、改めて発表する構えです。首都高では他にも、大規模なリニューアル工事が進行しています。大幹線を2週間ものあいだ通行止めした史上初の工事の経験は、今後どう活かされるのでしょうか。