営業開始前に脱線したLRT車両の復旧のお値段は?

2022年11月に試運転列車が脱線。対策工事も実施。

 2023年8月にいよいよ開業を迎える「芳賀・宇都宮LRT」。今後、開業に向け各種の最終調整が進んでいく見込みですが、昨年11月19日深夜に試運転列車の脱線事故が発生しています。


LRTの車両(画像:宇都宮市)。

 宇都宮市はこの脱線事故の復旧費用を明らかにしており、車両は約1億円(調査・修繕費)、車止め・電車線支持材は約100万円、地上用変圧器は約300万円と発表。車両と地上用変圧器は保険で対応するとしています。
 
 脱線したのは宇都宮駅東口停留所付近。シーサスクロッシング(分岐器)の入線試験で、緊急時に使用する逆走パターンで入線した際に発生したといいます。
 
 原因としては、車両が当該箇所を時速13キロで走行した際、S字カーブで車体が左旋回した時に台車ストッパーが強く押し当てられ、曲線外側への横圧が増加したことによるものとしています。

 脱線を受け、11月22日に有識者による現地調査が実施されています。今年2月に開催された有識者会議で中間報告が取りまとめられ、対策工事が行われました。
 
 対策工事では、横圧を分散させるため、6ミリ程度の軌間調整を行ったほか、カント(線路の傾き)を無くす工事を実施し、軌道の平面性を確保しています。また、この区間は速度を5キロ以下に抑制するとしました。これらの工事には約4100万円を投じています。