高速道路なのに片側1車線で対面通行……そうした暫定2車線区間の正面衝突対策として、中央分離帯部分へのワイヤーロープ防護柵の設置が進みました。それでも事故は多発していることから、新たな対策が進んでいます。

「諸外国にも例を見ない」暫定2車線高速の対策

 安全性に課題があるとされる「暫定2車線」の高速道路について、新たな対策が検討されています。対面通行のため一歩間違えると正面衝突が発生し、重大な影響を及ぼすことから、中央分離帯へ「ワイヤーロープ防護柵」を設置する対策が進みましたが、やはり事故は多発しているようです。


暫定2車線高速道路の例(画像:写真AC)。

 道路資材メーカーのアークノハラ(東京都新宿区)が2023年6月1日より、ワイヤーロープ防護柵用の新たな安全対策製品として、支柱側面反射材「サイドウィング」を発売します。ワイヤーロープを支える支柱から、その名の通り、反射材を外側に少し張り出させて、目立たせるというものです。

 暫定2車線区間は全国の高速道路の約4割を占めます。これは「諸外国にも例を見ない」状況だと国土交通省は説明。こうした区間は正面衝突が発生しやすいうえ、いちど事故が起こると車線に余裕がないことから通行止めになりやすいことなどが問題視され、4車線化事業とともに、中央分離帯へのワイヤーロープ設置が2018年から進められました。

 2022年11月までに約1430kmの設置が済み、対向車線への飛び出し事故は2016年度の194件から、以降の約6か年(2022年11月まで)の合計で13件という水準まで激減しました。しかし、ワイヤーロープへの接触事故は、2018年から2022年11月までに6257件も発生。とりわけ右カーブの区間で全体の4〜5割を占めるといいます。

 これを受けてアークノハラが開発したのが、反射材を張り出して目立たせるという「サイドウィング」反射材です。これまでの支柱に反射シートを貼る対策に追加して、カーブ区間での安全性を高めることに主眼が置かれています。

 国土交通省はさらに2023年度、事故が起こると影響が大きくなりやすい長大橋やトンネル区間において、固定式のセンターブロック、センターパイプといった車両の逸脱防止性能などを満たす新技術を全国で試行します。