日銀緩和維持で「円安再加速」、円の価値は1割減で実質賃金の低下続く
![1ドル=140円台の円相場を示すモニター=5月29日午前、東京都港区の外為どっとコム Photo:JIJI](https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/d/9/d9b2b_153_0d6ac0a9_1a2ae4d7-m.jpg)
円、半年ぶりに140円台
「緩和維持」で独歩安に
5月25日にドル円レートが半年ぶりに、1ドル=140円台の前半となった。
日本円は、2022年の春から秋にかけて著しく減価し、昨年9月には1ドル=151円台をつけた後、元に戻る動きがでていたが、23年2月以降は再び円安に向かっていた。
今年の初頭から見ると、円の価値は約1割減価した。主要な通貨の中で円の価値減少だ。
22年の円安はドル高によってもたらされた面が強いが、いまは、円の独歩安となっている。
これは、植田和男新総裁のもとで日本銀行の新体制が金融緩和の継続を明言したためだ。つまり円安を抑制するために長期金利を直ちに引き上げることはしないというメッセージを市場に送っているためだ。
今春闘は30年ぶりに高い賃上げ率になったが、円安による輸入コスト増加が消費者物価を上昇させるメカニズムは続き、結局、実質賃金は回復しないまま低下し続けることになる。