「スタンド・オフ防衛能力」整備、急ピッチで進みます。

「島嶼防衛用新対艦誘導弾」のポンチ絵も

 防衛省は2023年6月6日(火)、敵の脅威圏外から攻撃が可能なスタンド・オフ防衛能力に関する事業の進捗状況を発表しました。

明らかになったのは「極超音速誘導弾の研究」「島嶼防衛用高速滑空弾(能力向上型)の開発」「目標観測弾の開発」「島嶼防衛用新対艦誘導弾の要素技術の研究」の4件で、「極超音速誘導弾の研究」「島嶼防衛用高速滑空弾(能力向上型)の開発」「目標観測弾の開発」は三菱重工、「島嶼防衛用新対艦誘導弾の要素技術の研究」は川崎重工と契約しています。


陸上自衛隊の12式地対艦誘導弾(画像:陸上自衛隊)。

「極超音速誘導弾」「島嶼防衛用高速滑空弾(能力向上型)」「目標観測弾」については、2023年度から開発をスタートさせる一方、「島嶼防衛用新対艦誘導弾」は研究を継続するとしています。

「極超音速誘導弾」は、日本が侵攻を受けた際、遠方にいる敵の軍艦や地上目標を攻撃するミサイルです。音速の5倍以上となる極超音速で飛行することで、迎撃を難しくします。2031年度まで研究が実施される予定です。

「島嶼防衛用高速滑空弾(能力向上型)」は、長距離を高高度で飛行し、島嶼部に上陸した敵部隊やレーダー・ミサイル発射機、後続する敵の増援部隊を輸送中の航空機などを攻撃するミサイルとなります。開発期間は2030年度までです。

「目標観測弾」は、敵の防空網を避けながら迅速に目標情報を取得するもので、開発期間は2026年度までを予定しています。

「島嶼防衛用新対艦誘導弾」は、敵のレーダーに探知されにくいステルス性や、攻撃を回避できる高機動性を備えます。2023年からエンジン試験が行われています。2027年度まで研究を継続する計画です。

今回、防衛省はイメージ画像を公開しており、航空機のような翼を備えた特徴的な姿を確認することができました。また、弾頭やシーカー(探索装置)を付け替え可能とするモジュール化についても、防衛省は検討するとしています。

※一部修正しました(6月7日22時20分)。