ナイキが世界初「コンテナ船を水素燃料化」 飛行機NO! 段ボールNO! 進む企業の“排出ゼロ”アプローチ
船社じゃなくて荷主企業から積極的に。
ディーゼル船を水素燃料化
アパレル企業のナイキが2023年5月、世界初という水素燃料の内陸コンテナ船「H2バージ1」を進水させました。オランダの海運会社Future Proof Shipping、水素供給会社Air Liquide、内陸ターミナルのBCTNネットワークと提携し、6月に運航を開始するとしています。
ナイキが進水させた世界初の水素燃料内陸コンテナ船(画像:ナイキ)。
同船はオランダの国際物流拠点であるロッテルダムと、ベルギーにあるナイキ欧州物流キャンパス(ELC)のあいだを航行し、ナイキの製品を欧州向けに輸送します。
既存のディーゼルエンジンの船を改造し、水素を活用する燃料電池システムに置き換え。燃料となる水素もいわゆるグリーン水素であり、湿った空気と水だけを排出するといいます。これにより年間2000トンのCO2(二酸化炭素)排出削減効果を見込んでいるとのこと。既存船よりもはるかに静かで、振動や熱によるエネルギー浪費も少ないそうです。
この水素燃料船はナイキが2025年を目標に定めているサステナブルな物流を実現する手段のひとつ。他にも同社は、欧州にて水素トラックの最終テスト段階にあるほか、パリやロンドンなどの主要都市では電気バンでの配達も拡大しているそう。
一方で、海洋輸送に比べCO2排出量が42倍だとする航空貨物の使用を削減すべく、世界的に生産スケジュールを海上貨物の出発に合わせたり、流通拠点を多様化したりしているといいます。また、輸送用段ボールの重量も削減しており、2021年度には輸送用カートンの重量を160万ポンド(約72.6万kg)減らしたということです。
ナイキは今回の水素燃料船について、「CO2排出量を削減し、地球への影響を抑えながら製品をアスリートに提供するというナイキの全社的な取り組みのひとつ」としています。