2024年3月開業予定の北陸新幹線(金沢〜敦賀)のレールが、ついにひとつに繋がりました。5月27日に開かれたレール締結式では、地元県知事ほか関係者が喜びの言葉を語っていました。

敦賀への延伸開業まであと10か月

 2023年5月27日(土)、福井県あわら市の芦原温泉駅で、北陸新幹線金沢〜敦賀間のレール締結式が開催されました。これによって同区間のレール敷設工事は完了、金沢〜敦賀およそ125kmが1本でつながりました。開業は2024年3月の予定です。


福井県の芦原温泉駅で行われた北陸新幹線のレール締結式(蜂谷あす美撮影)。

 芦原温泉駅は北陸新幹線の新駅のうち福井県最北端、金沢〜敦賀間ではおよそ真ん中に位置します。2022年9月に建築工事が完成した駅舎は「和の趣」が強調され、温泉街としての風格を漂わせていました。また、式典の会場となった2面2線の対面式ホームでは、木調の日よけが目を引きます。

 式典では挨拶のあと、斉藤国土交通大臣、福井・石川両県知事、国会議員、沿線首長ら33人が軌道上に降り、「エイッエイッエイッ」の掛け声のもと一斉にボルトを締めあげ、レールを枕木に固定しました。締結部の点検、確認がなされると、安全を祈願してレールに日本酒を振りかける「清めの儀」が行われました。

 式典最後には、つながったばかりのレールの上を金沢側から敦賀側に向かってモーターカーがゆっくり走行。出席者から大きな拍手が起こりました。

テスト運行はいつ頃から?

 鉄道・運輸機構の藤田 耕三理事長は挨拶で「平成24(2012)年6月に実施計画の認可を経て、工事に着手して以来、沿線の皆さまの大変大きなご期待を頂戴しながら事業を推進してまいりました。開業時期の遅延や事業費の増大により、多くの方々にご迷惑、ご心配をおかけしましたが、これを契機として徹底的な組織、業務の改善を行いながら事業を継続してまいりました。これまでにも増して一層緊張感を持って開業に向けた準備を進め、 春の開業を迎えたいと心から願っております」と話しました。

 続いて、斉藤 鉄夫国土交通大臣は「新幹線は開業効果の高い事業」とし、金沢〜敦賀開業に関して「北陸の地域内の交流、北陸の地と関東、関西、日本各地、さらには世界との交流がますます促進され、観光、ビジネスの両面で広域的な経済活動が活性化されることが期待されます」と話しました。

 また、杉本 達治福井県知事は「北陸新幹線の整備計画が決定され50年という節目の年度に開業を迎えられるというのは本当に嬉しい、ありがたい」とし、敦賀以西に関して「北陸新幹線は大阪まで全線開業することで効果が一番大きくなると考えております。1日も早く大阪までの全線開業することを祈念します」と挨拶。馳 浩石川県知事も「北陸3県が1時間つながるこの象徴の日というふうに受け止めたい」としたうえで、杉本知事同様に大阪までの全線開業への期待を滲ませました。

 工事は現在、用地99.9%、土木100%、軌道はレール締結をもって100%、さらに建築は敦賀駅を除けば100%、電気設備はおよそ80%という段階まで来ています。

 この先は、新幹線が高速かつ安全走行できるために、さまざまな項目をチェックする監査・検査段階に移り、JR西日本と鉄道・運輸機構が連携してプロセスを進めていくことになります。鉄道・運輸機構によれば、秋ごろには車両がレール上を走り始める見込みとのことでした。

 会場となった芦原温泉駅は、2022年3月19日に駅西口の賑わい施設「AFLARE(アフレア)」がオープン。施設内には観光案内所や待合スペース、地域の観光情報などが温泉ふうの展示で楽しく学べる「ふくいミゅ〜ジアム」が整備されています。

 北陸新幹線開業まで1年を切り、沿線の自治体などではさまざまな開業イベントも行われています。レールの締結をもって、より一層、開業への機運が高まっていきそうです。