都心の迂回ルートとしての外環道や、その外側の圏央道も交通量が増え、一部で渋滞が顕著になっていますが、さらにその外側に位置する「北関東道」は比較的空いています。迂回路としても使われますが、所要時間などはどれほど変わるのでしょうか。

渋滞激化の圏央道 それすら避けたい!

 東京都心部の迂回ルートとしての役割を持つ外環道や、その外側の圏央道も近年、一部で混雑が激化しています。そのさらに外側で同様の役割をもつ北関東道は、比較的空いている傾向です。


北関東道。栃木の壬生PA付近(画像:NEXCO東日本)。

 北関東道は文字通り北関東3県の主要都市、すなわち群馬の高崎、栃木の宇都宮、茨城の水戸を結び、東京方面から延びる関越道、東北道、常磐道などを連絡しています。2000年代から部分開通し、圏央道より一足早く2011(平成23)年に全通しました。

 圏央道は東京都心からおよそ50km圏を結びますが、これら都市はおおよそ100km圏です。当然ながら関越道〜東北道〜常磐道相互間の距離も長く、全線乗り通すと135km(高崎JCT〜水戸南IC)に及びます。ただ、茨城県内の多くが暫定2車線の圏央道と比べ、北関東道は全線4車線、かつ法令上も「高速自動車国道」のため高規格で走りやすいです。

 特に迂回効果が高いのが、関越道と東北道のあいだです。関越道の高崎ICから東北道(外環道)川口JCTまで、「外環道」「圏央道」「北関東道」を経由した場合の違いは次の通り。

・関越道ルート:高崎IC→(関越道)→大泉JCT→(外環道)→川口JCT…97km、普通車3770円
・圏央道ルート:高崎IC→(関越道)→鶴ヶ島JCT→(圏央道)→久喜白岡JCT→(東北道)→川口JCT…97km、普通車3420円
・北関東道ルート:高崎IC→(北関東道)→岩舟JCT→(東北道)→川口JCT…116km、普通車3420円

 関越道は高坂SA付近、東北道は羽生PA付近や加須IC付近など、北関東道と圏央道のあいだに渋滞ポイントが存在します。NEXCO東日本によると、北関東道ルートは距離こそ20kmほど長いものの、関越道の渋滞ポイントを避けたことで、コロナ前の2019年お盆には関越道ルートと比べ約25分短縮となったケースも。このときは最大70%の人が、北関東道ルートに転換していたそうです。

関越道〜東北道迂回だけじゃない! 「首都圏まるまる回避ルート」にも

 北関東道で関越道(高崎JCT)〜東北道(岩舟JCT)は54.4kmですが、東北道(栃木都賀JCT)〜常磐道(友部JCT)のあいだは66.3kmと距離も長くなります。それでも、北関東道を使った東北道や常磐道の迂回が可能です。

 宇都宮上三川ICには、東京方面へ延びる新4号国道が接続しているほか、隣の真岡ICには国道408号バイパスも接続しています。前者は一般道で宇都宮と東京方面を結ぶ主要ルートのひとつ。後者はそのまま国道294号バイパスに接続しており、常磐道の谷和原IC(茨城県つくばみらい市)に最短距離で直結しています。

 常磐道以東では、茨城町JCTで東関東道(水戸線)に接続しています。東関東道は鉾田IC〜潮来IC間(30.9km)が未開通ですが、2026年度に全通予定で、これができると千葉方面への常磐道の迂回路となります。

 さらに、北関東道を活用し、中部地方から圏央道どころか「首都圏をまるまる回避」するという広域ルートもあります。


北関東道の群馬県内。風景はのどか(ドラレコ画像)。

 名古屋から中央道を北上し、岡谷IC(長野県岡谷市)で下り、2022年まで有料道路だった「新和田トンネル」を利用するというもの。そのまま一般道を使って上信越道の東部湯の丸IC(同東御市)へ向い、上信越道、北関東道、東北道を経て東北地方に抜けられます。

 一般道区間が多いものの、この首都圏を全く通らないルートが、名古屋〜北関東の最短かつ最安の経路で、トラックの利用も少なくありません。さらに現在、中部横断道の中央道(山梨県)と上信越道(長野県)を結ぶ未開通区間の実現に向けた動きも進んでおり、開通すれば新和田トンネルルートの代替になると考えられます。