減る“ガソリン補助金” 店頭価格5週ぶり値上がり また上がるのか?
コロナ禍の経済対策として実施されていた石油元売りへの補助金が減少し、ガソリン価格が上昇に転じています。今後はどうなるのでしょうか。
石油元売りへの補助金が下がった
ガソリン価格が上昇傾向になるのでしょうか。資源エネルギー庁が2023年5月24日(水)に発表した石油製品の価格調査結果によると、5月23日(月)時点におけるレギュラーガソリンの店頭における現金小売価格の平均は、1リットルあたり168.1円でした。5週ぶりの値上がりで、前週と比べ0.3円高くなりました。
ガソリン価格が5週ぶり上昇に転じた。写真はイメージ(画像:写真AC)。
ガソリン価格は、コロナ禍の経済対策として実施されていた石油元売りへの補助金もあり、昨年夏頃からおおむね横ばいが続いています。実際の価格はもっと変動が大きいものの、補助金額が2022年に相次ぎ拡充されたことが功を奏し、激変が緩和されています。
しかし、2023年から補助金の上限は段階的に引き下げられています。実際の価格が昨年ほど上昇していないこともあり、補助金の引き下げを経た後も店頭価格に大きな変動はなく、4月半ばからは補助金がない場合の実際の価格も減少傾向にありました。
そして今回は5週ぶりの値上がり。ガソリン価格情報サイト「gogo.gs」を運営するゴーゴーラボによると、5月18日から、石油元売りへの補助金額が1リットルあたり14.1円から10.5円に減額されたためとしています。
資源エネルギー庁の調査を受託している石油情報センターによると、「補助金は3.6円の減額になりましたが、原油価格の下げ幅は1円といわれています。その差額2.6円の店頭価格への転嫁が進みました」と分析しています。
やっぱり今後上がってく?
今後はどうなるのでしょうか。
「原油価格はこのところ落ち着いているので横ばいが続いています。現在1バレル70ドル台前半ですが、海外シンクタンクはしばらく70ドルから85ドルほどで推移すると見ています。(夏の行楽シーズンを前に)石油の需要が増大し、受給が逼迫してくる予測です」(石油情報センター)
とはいえ、原油価格はコロナ前の2019年は44〜45ドルだったというので、いまだ高値の水準といえるでしょう。また、店頭のガソリン価格は円安の影響も大きく反映されており、それを政府の補助金が抑え込んで、1リットルあたり168円前後の水準が維持され続けている形です。
一時は補助金なしの場合では店頭価格1リットルあたり215円を超えていましたが、前出の通り、原油価格が落ち着いてきた2023年以降、補助金の縮減が続いていることを受けて、資源エネルギー庁は本措置の期間を9月までと定めています。5月26日には経済産業省が、このことを改めて発表しました。
「そうはいっても、現状で、補助金なしでは10.4円高(179.1円)になるため、補助されている部分は大きいです。ソフトランディングになるよう補助金を縮減させていくと思われます」(同)
不確定要素が大きいこともあり、石油情報センターは翌週以降の店頭価格については「小幅な値動き(0.5円以下の変動)」と予測し、上昇とも下降とも断言はしませんでした。「gogo.gs」を運営するゴーゴーラボは、来週にかけ引き続き価格は上昇傾向とし、「早めの給油をお勧めします」としています。