「通常ならば数年」首都高初の「大動脈2週間通行止め」工事に理解求める 老朽化時代の試金石に?
首都高の基幹路線を2週間、通行止めにして橋を架け替える工事がまもなく始まります。期間中は大渋滞が予測され、世間は警戒を強めています。首都高社長は工事の理解を呼びかけました。
首都高では初 2週間通行止め
首都高速道路は2023年5月26日、前田信弘社長の定例会見を開催し、27日から始まる「高速大師橋」の架け替え工事に理解を求めました。
現在の高速大師橋の横に構築されている新しい橋桁(乗りものニュース編集部撮影)。
多摩川に架かる1号羽田線「高速大師橋」の老朽化した橋桁を架け替える工事のため、27日から、羽田線の一部区間などが2週間の通行止めとなります。
1日8万台が通る同区間の通行止めにより、首都高は1年で最も混雑する“年末・年度末と同等”の渋滞が発生するとされているほか、一般道にも大きな影響が懸念されています。たとえばヤマト運輸は、全国から東京・神奈川・千葉の一部地域宛ての荷物は「『遅延了承』でのお預かりとさせていただきます」とするなど、物流にも大きな影響が及びます。
「通常ならば工事期間が数年にわたる内容です。できる限り影響を少なくするよう検討を重ね、2週間まで縮めました。それでも架け替えとなると2週間どうしても必要です」(前田社長)
今回は通行止め後、300m近い長さの老朽化した橋桁を横にスライドさせ、その真横で9割がた完成させた新しい橋をさらに横スライドさせて架け替えます。
「通常の橋の架け替えでは出てこない方法です。関係者みな知恵を絞ったと思います。新しい橋桁は多摩川を船に載せて運びましたが、海と違い深さが足りず、川底の浚渫なども行いました。しかし2019年の大雨で多摩川が増水し、浚渫をやり直したこともあります。やっとここまでこれました」(同)
折しも、関西圏では阪神間の大動脈である高速3号神戸線が5月19日から19日間の通行止め工事に入り、寸断されています。また大阪の14号松原線も、同じく橋の更新工事により2022年から3年間の通行止めとなっています。
関西圏ではこうした通行止め工事が近年増えていますが、首都高の主要幹線を計画的に通行止めする工事は、今回が初めてだそう。「他の区間でもこうした大規模工事が考えられます。通行止めはできるだけ避けて考えますが、更新工事の必要性をアピールしていきたい」ということです。
他にも「通行止め工事」あるの?
会見する前田社長(乗りものニュース編集部撮影)。
最初の開通から60年が経過した首都高では、複数の箇所で、こうした老朽化施設の大規模更新事業が進んでいます。通行止めは今後、頻繁に行われていくのでしょうか。
前田社長は「通行止めを行わざるを得ない」という箇所を1箇所だけ挙げました。それはC1都心環状線に接続する「八重洲線」です。
現在準備工事が進むC1の“日本橋区間”の地下化に際し、八重洲線はC1の新ルートの一部に組み込まれます。その工事の際には、八重洲線を長期通行止めにせざるを得ないようです。時期が来たら具体的な発表を行うといいます。