JR・成田スカイアクセスと京成本線、それぞれに新駅構想があります。

成田市が事業化に向けて意欲


成田スカイアクセス線のオレンジ色の電車(画像:写真AC)。

 成田空港周辺は成田市の新市街地や空港関係者の住居として、近年発展が著しくなっています。いっぽうで鉄道駅はJR成田線・京成成田スカイアクセス線と京成本線の2ルートが走っていますが、駅は7km以上にわたって皆無で、成田駅が唯一の玄関口となっています。現在、各ルートで新駅の構想があります。

●ウイング土屋新駅

 JRの成田空港行き電車は成田駅を出てしばらくすると分岐し、東に進路を変えていきます。そこに西からやって来た成田スカイアクセス線が合流します。

 その地点に、新しい駅の設置計画があります。地区名は「ウイング土屋」。南側に隣接してイオンモール成田があり、周辺住民のショッピング拠点の一つとなっています。成田市都市計画マスタープランでは「商業機能を担う中核的な拠点」として、開発地を商業施設主体にする計画となっています。

 実は成田スカイアクセス線の開業に際し、成田湯川駅とともに設置が検討されていましたが、調査で「採算が見込めない」として事業化が断念されていました。しかし今回、2020年度の調査で、新駅の需要予測調査では1日あたり3800人が見込まれると予測。夜間人口を増やせば十分な需要が期待できるとされ、市は「再チャレンジ」に意欲を見せています。

 いっぽうで成田空港側は土屋新駅について前のめりではなく、昨年末から開かれている『新しい成田空港』構想検討会でも「電車の長編成化、線路の複線化」がまず一番として、新駅の設置については議論が棚上げになっています。

●吉倉新駅

 いっぽう、南側を走る京成本線のほうにも、新駅計画があります。東関東道の東側周辺で「吉倉・久米野土地区画整理事業(仮称)」の立ち上げ準備が進みつつあり、新駅はそのゲートウェイとなる存在です。

 2020年に当エリアに国際医療福祉大学成田病院が誕生。隣接した医療産業拠点の開発とセットで新たな街づくりを進めるため、成田市は都市計画マスタープランにリストアップし、2018年から基礎調査を始めています。

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 両方とも地元要望をうけて成田市が要望している立場で、昨年12月の市議会でも小泉市長は「定期的に鉄道事業者を訪れ、構想駅設置の必要性について訴える」としています。鉄道事業者も国も、納得できる採算予測が無ければ首を縦には振りません。十分な「利益」を確保するには、利用者数に直接関わってくる確かな「まちづくり」がキモになってきます。