ロシアとの激しい攻防を続けるウクライナ軍が、マシンガンタレットを遠隔操作するためにSteam Deckを利用していると報じられています。

Ukraine Is Now Using Steam Decks to Control Machine Gun Turrets

https://www.vice.com/en/article/5d9g9z/ukraine-is-now-using-steam-decks-to-control-machine-gun-turrets



Ukraine's Army Has A New Steam Deck-Controlled Machine Gun

https://kotaku.com/ukraine-russia-war-invasion-valve-steam-deck-weapon-pc-1850393463

ウクライナ軍が導入している「Steam Deckで遠隔操作可能なマシンガンタレット」は、「Sabre」と呼ばれるプラットフォームにマシンガンを装着したものです。Sabreは2022年2月にロシアがウクライナへ侵攻を初めてから同国がはじめたクラウドファンディングで集められた資金をベースに開発されたもの。

ウクライナメディアのTPO MediaがSabreが実際に軍で導入されている様子を写真で紹介しています。TPO Mediaは「『Sabre』は固定物や特殊車両への定置設置用に設計されたウクライナの自動遠隔操作型防衛システムです。Sabreはコントロールパネル、カメラ、モニターを備えており、設置場所から最大500メートル離れた場所への攻撃も可能であり、これによりオペレーターの命を守ることができます。Sabreは低空飛行する敵のドローンを撃ち落としたり、検問所や国境などに常設したりすることが可能です。Sabreにはカラシニコフ機関銃のような軽量の対人・対戦車兵器を装着することもできます」と説明しており、Sabreがマシンガンなどのオブジェクトを車両や建築物に固定するためのプラットフォームであることがわかります。

実際にSabreに固定したマシンガンをSteam Deckで操作している様子を撮影したのが以下の動画。

以下の動画を見るとSabreにはマシンガン以外にもカメラなどさまざまなオブジェクトを装着可能であることがわかります。





ウクライナ軍はクラウドファンディングサイトを利用して軍の装備品を賄ってきました。ウクライナ支援のために最も多く利用されているクラウドファンディングサイトのひとつがThe People's Projectで、Sabreが生まれたのもこのサイトです。Sabreのクラウドファンディングが行われたのは2015年のことで、そこから2年間で1万2000ドル(約160万円)以上の出資を集めることに成功しています。なお、プロジェクトの当初の目標はSabreを10台展開することでした。

Sabreの出資プロジェクト向けに作成された動画が以下。

'Sabre' weapons system // Бойовий модуль "ШАБЛЯ" - YouTube

動画の中でプロジェクトの担当者は「兵士は装甲兵員輸送車の上に乗っていたため負傷するというケースがあります」「Sabreがあれば軍が射線にさらされることが少なくなるため多くの命を救うことにつながるでしょう」と語っています。

このプロトタイプの登場から8年が経過したことで、Sabreの外観は「はるかに洗練されたものになっている」とテクノロジーメディアのMotherboardは指摘。Steam Deckで遠隔操作できるようになったのも最近のことであり、他にも前面に光学系を備えるなど多くの進化を遂げている模様。

なお、この種のタレットは新しいものではなく、韓国は北朝鮮との非武装地帯に沿って自動砲塔を設置しており、イスラエルでもAI搭載タレットが戦地に配備されています。