ニンジンの塊を飲み込もうとして喉に詰まらせてしまったパンダ。近くにいた飼育員が異変に気づき、200キロ以上ある巨体を抱えて救出することに成功(画像は『New York Post 2023年4月17日付「Choking panda saved by breeder - who performed Heimlich maneuver」(340455475/AsiaWire)』のスクリーンショット)

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パンダがおやつを食べていたところ、ニンジンを飲み込もうとして喉に詰まらせてしまった。近くにいた飼育員がパンダの苦しそうな様子に気づいて駆けつけると、体重200キロ以上ある巨体を抱えて異物を取り除くことに成功した。救出の瞬間を捉えた動画がSNSで公開され、飼育員の素早い行動に称賛の声が集まっている。米ニュースメディア『New York Post』などが伝えた。

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中国・四川省成都市にある「中国パンダ保護研究センター都江堰基地」で先日、ジャイアントパンダの“青青(チィンチィン)”がおやつのニンジンを楽しんでいたところ、飲み込もうとしたニンジンが大き過ぎたのか喉に詰まらせてしまった。

この時、近くにいた担当飼育員であるヤンさん(Yang)は、すぐに青青の様子がおかしいことに気づき駆けつけた。当時の様子はカメラが捉えており、喉に何かを詰まらせてしまったと判断したヤンさんが、四つ這いになって苦しそうにする青青の背中を強く叩く様子が映し出されている。しかし喉の異物を取り除くことができず、ヤンさんは体重約500ポンド(約227キロ)の青青を持ち上げると、腹部を圧迫するように青青の体をゆすった。

ヤンさんが行ったのは、気道に異物が詰まった際の窒息に対する対処法である“ハイムリック法”だった。腹部突き上げ法とも呼ばれるこの方法は、患者の背後から抱えるようにして腕を回し、拳を反対の手で掴み、みぞおちのやや下に当てて強く突き上げることで異物の除去を行う。なおこの方法は、妊婦や乳児には推奨されていない。

ヤンさんに持ち上げられてハイムリック法を受けている間の青青の反応は鈍く、息ができずに苦しいのか、顔を動かさず正面を見据えているのが分かる。しかしヤンさんが何度も体をゆすると、喉の詰まりが取れたようで青青は顔を動かし、自分で立ち上がれるようになった。

2015年8月生まれの青青は群を抜いてイタズラ好きなパンダとして知られており、土の上を転がるのが大好きだという。パンダの表情は分かりにくいが、いつもは元気な青青が大人しかったことに加え、毎日近くで見守っているヤンさんだからこそ、今回の異変にいち早く気づくことができたのかもしれない。

今回の動画が中国版TikTok「抖音(ドウイン)」に投稿されると、他のSNSでもシェアされ話題を呼んだ。コメント欄には「飼育員の素早い判断は素晴らしい」「あんなに重いパンダにハイムリック法を行うのは大変だっただろうね」などヤンさんの行動に称賛の声が寄せられたが、一方で「小さく切ってからあげれば良かったのに」などエサの与え方に対する批判の声も届いていた。

ちなみに2021年12月には中国の動物園で、パンダが2メートルの高さがある囲いをよじ登って脱走する瞬間を捉えた映像が注目を集めていた。

画像は『New York Post 2023年4月17日付「Choking panda saved by breeder - who performed Heimlich maneuver」(340455475/AsiaWire)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)