4月9日と23日の日曜日には、統一地方選挙の投票が行われます。こうした選挙戦を行ううえで欠かせないのが、候補者であることを多くの有権者に伝える選挙カーです。そうした車両はどのようにして選ばれているのでしょうか。

選挙も戦い“せんしゃ”が大事。

 2023年4月9日と23日の日曜日には、統一地方選挙の投票が行われ、日本各地で都道府県や市区町村の首長および地方議会議員が決まります。こうした選挙戦を行ううえで、欠かせないのが、自身が候補者であることを多くの有権者に伝える街宣車である選挙カーです。


選挙カーのイメージ(画像:J_News_photo - stock.adobe.com )。

 実は選挙に使う車両は、たとえ候補者が大きな政党に属していたとしてもレンタルであるケースがほとんどだそうです。そこまで頻繁に選挙があるわけではないので、その数日間のために、大量の車両を持っているわけにもいかないからです。

 レンタル車両には、看板やスピーカーを始めとした装備類を取り付ける必要性もあります。なお、看板に関しては縦273cm×横73cm以内というルールがあり、ほかにも細かい取り決めがあるということで、手間を考えるとやり方を分かっている専門家がいるレンタル業者に頼む方がいいという理由もあります。

 選挙には大別して「空中戦」と「地上戦」のふたつがあります。選挙カーのレンタルを請け負っている会社によると、地方選の場合は地上戦を想定した選挙カーが好まれるそうです。

 地上戦といってももちろん本当に戦うわけではなく、区議、市議などの地方議員は、草の根活動が重要だという点が関係しています。町のひとりひとりに顔を覚えてもらう必要性があるため、地道に町の区画の一つひとつを抑えていくという意味で地上戦と表現するそうです。

 そのため、細い道でも小回りが利き、街角で握手などに応じられる軽自動車や小型車が特に喜ばれるそう。さらに重要なのが、窓などから顔を出した際に、高い位置に目線がいかないことです。

 理由は、有権者と「同じ目線」に立っていることが地方選において重要だからです。少しでも高い位置に目線があると見下しているとみられる可能性があるからとのこと。ちなみに選挙カー、特殊車両のレンタル業界では選車(せんしゃ)と呼ばれるそうで、その意味でも地上戦っぽいかもしれません。

 空中戦に関しては、主に衆参両院の国政選挙や知事選で使われ、不特定多数の広範囲に人々に伝わるように演説をしなければいけないことから空中戦になぞらえるそうです。そのため、ルーフの上に人が乗るお立ち台などの機能が備わっている車両が好まれます。

 なお、選挙用に使う車両には細かい規則があり、どんなクルマでもいいわけではありません。オープンカーやバスは不可で、クルマに乗る人数にも制限があり、前述したように取り付ける候補者名の看板も長さが決まっています。最近では、ルールに抵触しないということで、車体後部が大きなガラスで覆われており、候補者の様子が多くの人から確認できる車両なども作られています。