ホンダ新「オデッセイ」今冬発売! 中国からの「輸入車」として復活!  賛否あるも将来のラインナップに期待出来る、ホンダ初の試みとは

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オデッセイの国内販売終了は「販売不振」が理由ではなかった?

 ホンダは2023年4月7日、「オデッセイ」の改良モデルを同年冬に発売する予定であることを明らかにしました。
 
 オデッセイは2021年末をもって販売を終了していましたが、およそ2年のブランクを経て、中国からの輸入車として復活することになります。

中国生産となることで賛否あるが…成功すれば日本でのラインナップは大きく変わる可能性も

 インターネット上には、オデッセイの復活を歓迎する声も多い一方で、「売れなかったから販売終了したのに、再販売する必要はあるのか?」という疑問の声も見られます。

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 たしかに、販売終了となるモデルの多くが販売不振を理由としているのは事実です。ただ、オデッセイに関して言えば、少々事情が異なっていたようです。

 日本自動車販売協会連合会が発表している新車販売台数を見ると、オデッセイは2019年に1万4614台、2020年に9717台、2021年に2万1148台を販売しています。

 新型コロナウイルス感染症の影響を強く受けた2020年は、新車販売自体が大きく落ち込んだこともあって数字を落としていますが、販売終了となる直前の2021年には前年比の2倍以上の販売台数を記録しています。

 ただ、ライバルとされるトヨタ「アルファード/ヴェルファイア」は、年間10万台前後を安定して販売しており、オデッセイに大きく差を付けています。

 この圧倒的な販売台数の差を見ると、オデッセイが販売終了となったのはアルファード/ヴェルファイアに敗れた結果であると考えるのも無理はありません。

中国生産車として「オデッセイ」が成功すれば今後日本でのラインナップは拡充される可能性がある

 一方、オデッセイはホンダにおける販売台数では「フリード」「フィット」「ヴェゼル」「ステップワゴン」に次ぐ5番手に付けています。

 これは、同じタイミングで販売終了となった「インサイト」や「CR-V」と比べると2倍以上の販売台数であり、また、2021年に登場した新型「シビック」をもしのぐ数字です。

 加えて、新車価格がおおむね400万円を超すオデッセイには販売台数以上の利益貢献があったと考えられます。

 つまり、オデッセイが販売終了したのは、単に販売不振が原因ではなかったと言えます。

 実際、ホンダはオデッセイが販売終了となった際、その理由を「オデッセイを生産していた狭山工場の閉鎖」と説明していました。

 現在のホンダの国内工場には、オデッセイを生産するキャパシティがないことから、今回復活するオデッセイでは中国の増城工場で生産されたものを輸入するというかたちがとられることになりました。

 このように、オデッセイが販売終了となった要因は単に販売不振にあるわけではないため、成功の余地は十分にあると考えられます。

中国生産で復活したオデッセイ、その重要な意味とは

 一方、オデッセイが中国生産になることに対して不安を覚える声も少なくありません。

 もちろん、ホンダをはじめとした自動車メーカーでは、グローバル基準で統一された品質管理体制をとっているため、生産工場によって品質に大きな差が生じることはまずありません。

 また、生産工場のグローバル化による人件費の最適化や輸送効率の向上などのメリットは非常に大きく、現在の自動車産業のトレンドのひとつになっています。

 この手法を採用しなければ国内市場におけるオデッセイの復活は難しかったと見られるため、日本のユーザーは生産工場のグローバル化による恩恵を大きく受けていると言えます。

 過去には英国工場から「シビック」、タイ工場から「アコード」を輸入するなどの実績があるホンダですが、中国工場からの輸入は初の試みです。

 レピュテーションリスクなどの課題はあるものの、もしこの試みが成功すれば、中国で生産されているそのほかのモデルの国内導入も期待されます。

2021年に中国で発表されたコンセプトモデルの「e:Nシリーズ」となる3車種

 たとえば、ホンダの中国におけるBEVブランド「e:N」シリーズの各モデルなどはその筆頭候補です。

 現在ではヴェゼルのBEV版と言える「e:NS1/e:NP1」のみが販売されていますが、2027年までに10車種が展開される予定であり、そのなかには日本のユーザーにもマッチするものも少なくないと見られます。

 日本で販売するモデルの再編成を進めているホンダですが、バラエティに富んだラインナップ展開とするためには、中国工場からの輸入は欠かすことのできない手法のひとつです。

 中国から輸入されるオデッセイはその試金石とも言え、その意味で非常に大きな重責を負っていると言えます。

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 ボルボにおける中国工場製のモデルや、BMWにおける南アフリカ工場製のモデルが日本へと輸入された際にもそうした声が見られたように、生産国にこだわるユーザーが一部に存在するのも事実です。

 ただ、それぞれのブランドの業績を見ると中長期的な販売台数の減少は見られないため、実際に購入するユーザーは、生産工場に対するこだわりはそれほど強くはないと推測されます。

 また、テスラユーザーの場合、上海に建設された最新設備の工場である「ギガファクトリー」からの輸入を熱望する声も多かったといいます。

 そうした中、復活したオデッセイの生産工場がどこまで販売台数に影響を与えるのかに注目が集まります。