東京BRTが“プレ二次運行”として運行区間を延伸し、新橋駅と国際展示場駅方面を結ぶ幹線ルートも登場しました。環二通りの地下トンネル経由としたことで、速達性が大幅に向上。ゆりかもめと真っ向から競合しています。

東京BRTの本領発揮? プレ二次運行スタート

 2023年4月1日より「東京BRT」が運行区間を延伸し“プレ二次運行”へ移行しました。新たに新橋と国際展示場駅(りんかい線)方面を結ぶ「幹線ルート」が誕生しています。


東京BRT幹線ルートで使われる連節バス(乗りものニュース編集部撮影)。

 東京BRTは、東京都心部と臨海部を結ぶ新たな交通機関として計画され、新型コロナウイルスの影響や東京オリンピック・パラリンピックの延期により5か月遅れの2020年10月から運行を開始しました。これまでは虎ノ門ヒルズ〜新橋〜勝どき〜晴海エリアの“プレ第一次”運行でしたが、新たに豊洲や有明、国際展示場駅といったお台場エリアへ延伸しました。

 そして新たに誕生した新橋〜国際展示場駅間の幹線ルート、これが「ゆりかもめ」と真っ向から競合しています。

新しい道路を快走!!

 新橋駅の乗り場は、「ゆりかもめ」新橋駅の真下にあります。平日14時30分発の連節バスが停まっていました。

 出発したバスは、第一京浜(国道15号)を左折、その先でさらに環二通りへと左折します。しばらく進んだ信号で停車すると、右側にはトンネルの入口が見えます。これが2022年12月に開通した環二通りの「本線」。従来は地上の側道を経由していたため信号が多かったのですが、トンネルを抜けると一気に隅田川を通過。その先で側道に入り「勝どきBRT」停留所へ停車しました。

 ここから先は運河を2つ渡り、一気に豊洲エリアへ。「豊洲市場(ミチテラス豊洲)前」に停車したのち、さらに運河を渡って「有明テニスの森」に停車、湾岸道路を通過して右折し、国際展示場駅のバスロータリーへ到着しました。

 起終点部を除けば、ルートは直線の快走路です。厳密には「BRT」の条件とされるバス専用道も専用レーンもないものの、新しい道路のスムーズさは爽快に感じるほどです。

 国際展示場駅の乗り場からは、屋根付きの歩行路を350mほど歩くと、東京ビッグサイトのデッキまでたどり着きます。なお、土休日は国際展示場駅から東京テレポート駅までバスの運行区間もさらに延伸します。

表定速度2倍!?

 この新橋〜国際展示場駅間の所要時間は下りが17分、上りが15分となっています。実際乗ってみると、下りは新橋駅周辺の信号待ちなどで少し時間ロスがあり21分くらいかかりましたが、上りは時間通り着きました。運賃は220円です。

「新橋付近でトンネルを通らないプレ一次運行時の表定速度(停車時間も含めて割り出す平均速度)は、各系統の平均で10km/hでしたが、今回は幹線ルートで20km/h、そのほかの系統でも平均して12km/hに向上しています」(東京BRT)

 ただし、幹線ルートの表定速度20km/hは上り便の場合で、新橋を出たあとに信号がやや多い下り便は19km/hになるとのことでした。

 一方、新橋の東京BRT停留所の真上に発着する「ゆりかもめ」は、東京ビッグサイト駅まで22分、運賃は388円(IC)です。ゆりかもめは新橋からだと、レインボーブリッジや青海を経由するため遠回りになってしまいます。また、東京駅から東京ビッグサイトへ向かう都営バスと比べると、東京BRTは大幅に速いです。国際展示場駅からの徒歩時間を考慮しても、そのスピードは競争力があります。


新橋のバス停に停まる連節バス。ゆりかもめの駅の真下だ(乗りものニュース編集部撮影)。

 目下の課題は、その知名度でしょう。連節バスの車内はだいぶ余裕がありました。また、新橋駅からバス停までの案内が少なかったり、立地がやや分かりづらかったりもします。最寄り駅としては新橋ではなく、都営大江戸線の汐留駅です。

 とはいえ、住民の利用のほか、豊洲市場などへの業務利用もちらほら。土休日は観光客も増えるのかもしれません。東京BRTによると、本数も順次増便していくとのこと。なお、幹線ルートは東京オリンピック・パラリンピックの選手村跡地に立つ大規模マンション群「HARUMI FLAG」のすぐそばを通りますが、今後の本格運行時にはHARUMI FLAG内への立ち寄りも予定しているそうです。