“不便”返上か? 神奈川県の運転免許センター「二俣川」 相鉄・東急直通でどれだけ時短に
神奈川県の運転免許センターは、横浜市のほぼ中央部に位置する二俣川にあります。ただし相鉄線しか通っていないため、沿線以外の人からは「行きづらい」との声が。相鉄・東急新横浜線の開業で、汚名返上なったでしょうか。
南北移動の手段ない市中央部
神奈川県の運転免許センターは横浜市旭区に所在し、最寄り駅は相鉄線の二俣川です。横浜市中央部のやや西寄りにあります。ただし県下ではここ1か所しかないため、しばしば「不便だ」「他所にセンターを増設できないか」といった声が聞かれます。先述の通り二俣川駅は相鉄線しか通っておらず、横浜駅からも快速電車で15分弱かかります。
神奈川県の運転免許センターの最寄り駅は、相鉄線の二俣川(2023年3月、乗りものニュース編集部撮影)。
多くの人が不便だと感じる理由に、横浜市中央部は南北移動がしにくい点があるでしょう。東急田園都市線沿線の市北部や、戸塚、上大岡といった市南部からは1回以上の乗り換えが必要です。
そのようななか2023年3月18日、相鉄・東急新横浜線が開業。新横浜駅(横浜市港北区)を介し日吉〜相鉄線間がつながりました。これにより、武蔵小杉など東急東横線・目黒線沿線の神奈川県民は、乗り換えることなく二俣川へ到達できるようになりました。新横浜に住んでいる人も、今まではJR横浜線などで横浜駅へ出る必要がありましたが、ショートカットが可能となりました。
所要時間を見ても、例えば武蔵小杉〜二俣川間の場合、新線開業前は横浜駅乗り換えで約30〜40分かかっていたところが最速では22分に。新横浜〜二俣川間なら同じく横浜駅乗り換えで約35〜40分かかっていたところ、最速で11分です。
地下鉄グリーンラインの延伸構想
ただし、それでも恩恵にあずかれる人は限られるようです。先述の東横線や目黒線で、神奈川県なのは新丸子駅(川崎市中原区)まで。菊名駅(横浜市港北区)が最寄りの人は横浜線で1駅の新横浜へ出るかもしれませんが、菊名以南の利用者は従来通り横浜駅で乗り換えるでしょう。そしてやはり市北部や市南部からのアクセスは変わりません。
相鉄・東急新横浜線(画像:東急)。
横浜市には構想として、日吉〜鶴見間と、中山〜二俣川〜東戸塚〜上大岡〜根岸〜元町・中華街間を結ぶ「横浜環状鉄道」があります。市営地下鉄グリーンラインを現在の起終点から延伸する形です。
仮に完成すれば、二俣川を含む市内の南北移動が実現し、田園都市線や市営地下鉄ブルーライン、京急線などの沿線が相互に行き来できるようになります。市は所要時間について、中山〜二俣川間で33分短縮、東戸塚〜二俣川間で22分短縮を見込んでいます。
しかし2016(平成28)年の試算では、全線34.4kmを整備した際の総事業費を概算で7700億円としており、費用に対する便益の比率である費用便益比は1以下とのこと。事業化に当たっては1を上回る必要があるため、実現までの道のりは遠そうです。
ただし市は2023年1月の段階で、グリーンラインやみなとみらい線の隣接区間において需要予測や将来人口推計、まちづくりの連携方策の検討を行うとしており、今後の推移が見守られます。
運転免許センターはまだ当分のあいだ「遠い存在」としてあり続けそうです。