自転車ヘルメット“大人も着用徹底”なるか 警察官1万9000人準備OK 努力義務化で変わる風景
2023年度から自転車ヘルメットの着用が法律で努力義務化されるにあたり、警視庁の警察官にヘルメットが装備されました。駐車監視員も宅配事業者もヘルメット。全ての人に着用を促すべく、街の風景を変えていきます。
放置駐車を見回る民間の駐車監視員や宅配事業者もヘルメット!
2023年4月1日施行の道路交通法改正で、自転車乗車中もヘルメット着用が努力義務になります。この施行に先立ち、警視庁の現場警察官およそ1万9000人に自転車用ヘルメットが装備されました。3月22日の月島署「自転車用ヘルメット出発式」では、警視庁が都民に対してヘルメット着用を呼び掛けました。
制服用ヘルメット。警視庁の警察官であることが、どこから見てもわかるような表示がある(中島みなみ撮影)。
これまで道路交通法では、親が子供に自転車乗車中ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならないとしていましたが、4月からはすべての年齢層で努力義務となり、自転車を利用する事業者の間では、その準備が急ピッチで進められています。特に、自転車の利用が多い東京都心部では、警察もその例外ではありません。
警視庁は都内全域で102の警察署があり、特別区の23区に77署が集中しています。交番に駐在する地域課の警官は、地域の巡回や警察署と交番の往復にも自転車を使うなど、警察官の移動をバイクが担う地域とは大きく異なります。そのため警察官のために制服着用時の制服用ヘルメット約1万5000個を配備しました。
制服用ヘルメットは正面に桜の葉と、花に囲まれた旭日章のシンボルマークが光っています。背面にはPOLICEのアルファベット表記、側面に警視庁の文字があります。私服用ヘルメットにはこれらの記載がなく、私服での着用が考えられていますが、色はともに白と黒のツートンカラーです。製造は「オージーケーカブト」で、モデルは警視庁の仕様にあわわせた特注品です。
警察官だけではありません。4月1日の施行を前に、ヘルメット着用は駐車監視員や宅配便の配達員にも広がっています。
自転車利用に地域差。頭部損傷による死亡事故は高止まり傾向
今回、月島署で「自転車ヘルメット出発式」が行われたのは、管内で自転車事故による死亡者が増えるのではないか、という危機感からです。月島署が担当するのは、オリンピック東京2020大会の選手村も作られた臨海部です。中央区月島、勝どき、晴海など超高層マンションが林立する平坦な土地で、地下鉄駅が少ないことも手伝い、自転車利用が目立ちます。
月島署で起きた自転車乗車中の頭部損傷死亡事故率は都内平均を上回る54%。東京都全体では46%です。今年の自転車乗車中の人身事故は1月だけで6件と、昨年比で1件増えました。月島署の担当者は話します。
「(出発式をきっかけに)歩行者妨害、信号無視、一時停止違反、携帯電話を使いながらの乗車など自転車の街頭キャンペーンを強力に推進する予定です」
「自転車乗車中の事故は年々増加。昨年は30人が自転車乗車中になくなった」と訴え、ヘルメット着用を推進するよう訓示する尾嵜亮太交通総務課長(中島みなみ撮影)。
2022年の東京都の交通事故死者数は132人。そのうち30人が自転車関連の死亡事故で、いずれもヘルメットを着用していませんでした。今年はすでに7人が亡くなっています。
「警察官が率先して着用することで、自転車利用者に年齢を問わず着用を促したい」と、警視庁・尾嵜亮太交通総務課は訴えます。