ついにポーランドへ米軍の“常設”駐屯地が開設 「攻められるもんなら攻めてみろ」?
ロシアのウクライナ侵攻前から計画されていました。
ポーランド陸軍現場部隊のカウンターパートとして
ポーランド政府は2023年3月21日、主要都市ポズナンに同国初となるアメリカ陸軍の常設駐屯地が新設され、その開設記念式典が行われたと発表しました。
駐屯地の名称は「キャンプ・コシチュシュコ」といい、アメリカ陸軍第5軍団(米本土ケンタッキー州のフォート・ノックス)の前方展開司令部が配置されます。
この部隊のおもな任務は、ヨーロッパに展開したアメリカ軍の地上部隊の活動や運用(作戦計画)について支援したり、他のNATO(北大西洋条約機構)諸国の軍隊と共同する場合の調整を行ったりすることだそう。また、ポーランド初のアメリカ陸軍キャンプとして、ポーランド軍部隊の折衝役(カウンターパート)にもなり、同国軍との相互運用性を強化する任も負っています。
キャンプ・コシチュシュコの開設記念式典でスピーチするアメリカ陸軍第5軍団司令官のジョン・S・コラシェスキ中将(画像:アメリカ陸軍)。
これに伴い、アメリカ陸軍は従来、「ポーランド駐留地域支援群(Area Support Group Poland:ASG-P)」だったのを「在波蘭米陸軍駐屯地(U.S. Army Garrison Poland:USAG-P)」に改編しています。
キャンプ・コシチュシュコの新設は、2020年にアメリカ陸軍が発表した「ポーランドに第5軍団の前方司令部を置く」という指針に基づくものです。その後、ロシアのウクライナ侵攻を受け、2022年6月下旬にはスペインのマドリードで行われたNATO首脳会議の席上で、アメリカのバイデン大統領が改めてポーランドに恒常的な米軍司令部を置くと明言していました。
ポーランド政府によると、2023年現在、同国内には総計約1万人のアメリカ軍部隊が、常時ローテーションで駐留展開しているとのこと。今回の米陸軍キャンプ新設は、ヨーロッパ域内で8番目になり、NATO東欧エリアの安全保障上極めて重要なポイントになるとしています。
なお、同様の前方展開司令部は前例があり、神奈川県の在日米軍キャンプ座間に配置されている第1軍団(米本土ワシントン州のフォート・ルイス)前方展開司令部などで見ることができます。