WBC準決勝、7回に同点3ラン放ちガッツポーズする侍ジャパンの吉田正尚【写真:Getty Images】

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日本は準決勝メキシコ戦に劇的サヨナラ勝ち

 野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は20日(日本時間21日)、米マイアミのローンデポ・パークで準決勝が行われ、日本はメキシコに6-5で逆転サヨナラ勝ちした。連覇した2009年第2回大会以来、14年ぶりの決勝進出。劣勢の日本を蘇らせたのは、4番・吉田正尚外野手の同点3ランだった。会見では、完全アウェーの空気を一変させた一発を「痺れましたね」と笑顔で回顧した。

 熱狂的なメキシコファンが、一瞬で凍り付いた。3点を追う7回2死一、二塁。吉田は2-2と追い込まれながら、内角低めに落ちるチェンジアップをとらえた。最後は右手だけですくい上げるような形となったが、打球は右翼ポール際への同点3ランに。クールな男も感情を露わにして歓喜。対照的に、試合中も事あるごとに大騒ぎだったメキシコファンは頭を抱えた。

「追い込まれていたので、なんとか食らいついていこうと。チェンジアップをその前に見られたので、厳しいコースだったけれど、ボールの下にバットが入った。(打球が)切れずによかった」

 会見で白い歯を見せた吉田は、完全アウェーの雰囲気でも冷静だった。観衆3万5933人のうち、大部分を占めたのがメキシコファン。ライトポール際から何度もウェーブを生み出し、一球ごとに声を合わせて絶叫。侍ジャパンへの重圧は半端ではなく、吉田も「ちょっと動揺していたのかな」と思い返しながら「でも野球をしていて新鮮というか、いい思い出というか。楽しかったです」と強心臓ぶりをのぞかせた。

 メモリアルな一発かと問われると「でしょうね(笑)。いや〜、痺れましたね」と“自賛”。レッドソックスと5年総額9000万ドル(約120億円)を結んだ、頼れる4番は「素晴らしさを世界で証明できる大会。世界一を証明できるチャンス」と既に決勝の米国戦を見据えた。

(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)