現地時間の2023年3月14日に正式発表されたばかりの「GPT-4」を使い、「ポケットモンスター エメラルド」をプレイすることに成功したと、PTC Reality Labのエンジニアであるダン・ダンゴンドさんが報告しています。





ダンゴンドさんが「ポケットモンスター エメラルドをコマンドラインインターフェイスでシミュレーションすることはできますか?」と質問したところ、GPT-4は「もちろんです!実際のコマンドラインインターフェイスを用意することはできませんが、テキストベースでポケットモンスター エメラルドを疑似的にプレイすることなら可能です。これはいわばポケットモンスター エメラルドの簡易版のようなものです」と返答しています。さらに、そのままミシロタウン(英語版ではLittleroot Town)から冒険がスタートし、最初の相棒として「キモリ」「アチャモ」「ミズゴロウ」の中から1匹を選ぶよう促されます。ダンゴンドさんがみずタイプのミズゴロウをパートナーポケモンに選択すると、そのまま最初のバトルがスタート。相手は野生のポチエナです。戦闘パートでは各ポケモンのレベルと、ミズゴロウが使える「たいあたり」と「なきごえ」のどちらのわざを使うかが選択できます。





戦闘パートでは各ポケモンの残り体力がパーセンテージで表示されます。戦闘が終了するとようやく冒険がスタート。GPT-4は「次は何をしますか?」とダンゴンドさんに尋ねており、ユーザー側が自由にこれから何をするかを決められるようです。





冒険に出かける前にダンゴンドさんは相棒のミズゴロウに愛称をつけています。確認するとミズゴロウはオスだったので、ダンゴンドさんは「Kip」と名づけています。





101ばんどうろを歩いて冒険をスタートしたダンゴンドさんは、まだミズゴロウが覚えていないわざである「みずてっぽう」を使うようGPT-4に依頼しています。すると、「Kipはみずでっぽうを覚えていません。Kipの現在のレベルは『5』で、たいあたりとなきごえしか覚えていません。Kipがレベル10になるとみずてっぽうを覚えます」と返ってきました。ポケットモンスター エメラルドでミズゴロウがみずてっぽうを覚えるのはレベル10になってからなので、GPT-4はシリーズごとに異なる「ミズゴロウがみずでっぽうを覚えるレベル」まで正しく把握しているということになります。





さらに、GPT-4は「101ばんどうろを旅しながら、野生のポケモンとバトルしたり、トレーナーとバトルしたりしながら経験値を稼ぐことができます。あるいは、野生のポケモンを捕まえることもできます。何がしたいですか?」と、具体的にどういったことができるかをダンゴンドさんに例示。ダンゴンドさんが「ピカチュウを捕まえたい」と返すと、「ポケットモンスター エメラルドでは、ピカチュウにはミナモシティのサファリゾーンで出会えます。まだ101ばんどうろにいるのでミナモシティまでは遠いです。旅を続けていけばサファリゾーンへたどり着くことができるので、その時にピカチュウを捕まえられます」と、親切にもピカチュウと出会える場所まで教えてくれました。





ただし、103ばんどうろ周辺の地理情報には間違いもあったそうです。しかし、「Kipをレベル8までトレーニングして」という育成作業をスキップするような要請にもGPT-4は器用に応じ、Kipは一気にレベル8まで成長します。





さらに、ライバルとのバトルも忠実に再現してくれます。ダンゴンドさんが「キモリはレベル5できゅうしゅうを覚えないんじゃない?」と指摘すると、GPT-4は「謝らなければいけません。キモリはご指摘の通りレベル5で吸収を覚えません。バトル上の間違いを修正しました」と、素早く間違いを認め修正する柔軟さも見せます。





「野生のポケモンとの遭遇を自動でシミュレートしてもらうことはできますか?」と尋ねたところ、GPT-4が野生のラルトスを捕まえてくれました。さらに、Kipはレベル10まで成長し、新しいわざを覚えます。そして102ばんんどうろを通ってトウカシティに到着。もはやダンゴンドさんではなくGPT-4がポケモンをプレイしています。





GPT-4は旅の道中で出会うポケモントレーナーの名前を正確に覚えているものの、そのトレーナーたちが所有するポケモンを正確には把握していない模様。





また、むし・じめんタイプのツチニンとの戦闘時には、じめんタイプの弱点がみずタイプであることを把握していないというハプニングも起きたそうです。ダンゴンドさんがミスを指摘したところ、正しく修正してくれたものの、間違ったタイプ相性のままスタートしたバトルによりKipの体力は減少しており、これをGPT-4が戻してくれることはなかったそうです。





ポケットモンスター エメラルドで登場するアクア団が登場していなかったことに気付いたダンゴンドさんが「アクア団はどうでしょう?」と尋ねたところ、さっそくアクア団の一員に遭遇。そしてすぐさまポケモンバトルがスタート。バトルに勝利すると、アクア団の魔の手から研究者を救ったということでスーパーボールをゲットできました。





GPT-4は一部のトレーナーの所有ポケモンを間違うことがあるそうで、その理由は「パーティー内で同じポケモンを2匹以上使用している場合、重複分をスキップしてしまうため」であることをダンゴンドさんは突き止めています。





さらに、「ポケモンリーグまでの残りのゲームをシミュレートしてもらえますか?」と入力したところ、GPT-4は一気にポケモンリーグ直前の段階までゲームを進めてくれました。ポケモンリーグに挑む目前の段階でのダンゴンドさんのパーティーは、フーディン:レベル54、ラグラージ:レベル55、サーナイト:レベル53、バシャーモ:レベル52、ボスゴドラ:レベル51、ライボルト:レベル50の6体。ダンゴンドさんは、自身が最初にミズゴロウを選んだためこのゲーム内ではアチャモを捕まえる方法がないはずなのにも関わらず、最終パーティー内にアチャモの進化形であるバシャーモがいることについて「どうやってゲットしたんだろう?」とツイートしています。





そして、「Win(勝利)」と入力するだけでポケモンリーグをクリアしてしまいました。





なお、ダンゴンドさんによるとGPT-4は完全オリジナルのポケモンをシミュレートすることもできるそうです。