男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

-果たして、あの時どうすればよかったのだろうか?

できなかった答えあわせを、今ここで。

今週のテーマは「モテる男に半年遊ばれた結果、本命になれた理由は?」という質問。さて、その答えとは?

▶【Q】はこちら:家で“のんびりデート”もするのに、曖昧な関係のまま半年過ぎ…。なのに、彼から突然告白された理由




半年ほど曖昧な関係が続いていた由希子が、急に真顔になった。

そしてじっとこちらを見つめ、珍しく真剣なトーンで言ったセリフに僕はハッとした。

「健太ごめん。私って健太の何なんだろう?私は結婚もしたいし、無理なら無理で早めに言ってほしい」

いつかこう聞かれることは分かっていた。

デートを繰り返し、連絡を取り合う頻度も高かった由希子。彼女が浮気をするタイプではないのは分かっているからこそ、僕はあぐらをかいていたのかもしれない。

結果、僕はこの後彼女に「付き合おう」と申し出た。

どうして半年間も引っ張ったのか?そしてなぜ由希子だったのか?これにはちゃんと理由がある。


A1:遊んでそうなのに真面目というギャップに、興味を持った。


由希子との出会いは食事会だった。特定の彼女を作る気がなかった僕は、むしろ“可愛い子がいればラッキー”くらいの軽い気持ちで参加していた。

だから由希子と出会った会も特に気合も入れず顔を出したのだけれど、そこでひとり、ものすごく顔立ちが整った華やかな美女がいた。

それが由希子だった。もちろん僕はすぐに話しかけた。

「由希子ちゃんは、普段は何してるの?」
「私は事務職です」

― ……意外。

てっきりインフルエンサーとか芸能人の卵かと思っていたので、職業を聞いて驚く。

「こういう飲み会、よく来るの?」
「いえ、まったく…。この前長年付き合っていた人とお別れして、久しぶりに来ました」
「何年くらい付き合っていたの?」
「……4年です」
「4年!?」

― 何、このレアキャラ。

港区や代官山あたりで開催される、経営者が集まる華やかな飲み会に来る女性は、同じような属性の子が多い。

美人でスタイル抜群。でも正直、何をしているのかよく分からない。それなのに生活は華やかで、男性をATMとしか思っていない。

そんな中、珍しいタイプの由希子が新鮮で僕は興味を持った。だから早速、王道フレンチの『ピエール・ガニェール』でのデートに誘うことにした。




「由希子ちゃん、嫌いな物は何かある?…ってごめん、先にLINEで聞いておくべきだったね」
「いえいえ。嫌いな物はありません。何でも食べられます」

この回答も完璧だった。アレルギーを除き、好き嫌いなく何でも食べられる女性は魅力的だと個人的には思う。

「お〜素晴らしいね。じゃあ適当に頼んじゃうね」
「はい。ありがとうございます」

僕の中で、多少の計算もあった。

ハレの日レストランで、とっておきのデート。そして甘い言葉を囁く。この法則で、大概の女性は僕に対して好意の視線を向けてくれる。

「こんな綺麗で可愛い子が今フリーだなんて、ラッキーだな」

これを僕から言われた途端に恥ずかしかったのか、由希子は至極の一皿「京都産七谷鶏の燻製とムース 雲丹のクリーム スペッツリ」に視線を落とした。




「健太さんって…すごいですね」
「何が?」
「そんなこと、サラリと言えて」
「気になる子にしか言わないよ」

自分でも軽いと思う。でも少なからず好意がある女性にしか、さすがにこんなことは言わない。

「でも由希子ちゃん、モテるでしょ?華やかだし、なんかキラキラしてるし」

見た目は華やかだけれど、性格的には大人しそう。それがまたミステリアスな雰囲気を醸し出しており、色気にも繋がっている。これは相当モテそうだ。

でも由希子の返事を聞いて、僕はまた不意を突かれた気分になる。

「全然ですよ。私、あまり外に出ないので出会いもほぼないですし」
「そうなの!?」
「基本的にほぼ自炊ですし…。仕事以外は家でゲームしたりドラマ見てのんびりするのが好きなんです」
「意外すぎるんだけど」
「よく言われます。でも毎晩飲み歩くとか、疲れてしまうから…」

― あれ?この子もしかして真面目?

そう思うとさらに興味が湧いてきて、ここから僕は由希子を何度もデートに誘うことにした。


A2:人として、女性として信頼できたから


当初、デートは1ヶ月に1回くらいだったけれど、由希子といると居心地が良かったので、気づけば会う頻度は増えていた。

また体の関係もあったけれど、由希子は何も聞いてこなかった。

適度に連絡を取るけれど、一定の距離を保っている…いや、むしろ彼女はあえて踏み込まないようにしている感じもあった。

いつもだったら、こういう関係になると女性は図々しくなって束縛も厳しくなっていくのに、由希子はその塩梅が非常に上手だった。

― 僕のこと、心配じゃないのか?

逆にそう思ってしまう。だから僕もなんとなく他の女性と遊ばなくなっていた。

そして由希子は僕とのデートに何も要求してこなかった。

他の女性ならば「あの(高い)店に行きたい」とか、「予約の取れない○○へ行きたい」とか言ってくるのに、むしろ「家でのんびりしない?」と提案してくる。

そしてそんなことを言われたほうが、どこかへ連れて行きたくなるのが男心だ。

「由希子、来週は外に食べに行かない?いつも食事を作ってもらうのも申し訳ないし…」
「ありがとう!楽しみだな〜」

由希子に感謝しながら、僕は女性が喜んでくれること間違いないしの、見た目が華やかで美しく、味も抜群の『L’EAU(ロー)』へ連れて行った。




この日はテーブル席に座ったが、由希子はさっきから僕をじっと見てきている。

「どうしたの?じっと見つめちゃって。俺に見惚れてた?(笑)」
「そうだよ、残念ながら」
「可愛いこと言うね〜」

そう茶化しながらも、僕は考えていた。この半年間の由希子のことを。

「でも由希子って、本当に遊びに行かないんだね。連絡しても家にいることが多いし…」

派手で遊んでそうに見えるけれど、由希子は信じられないくらいに真面目だった。

「そうだよ。だから言ったじゃん」
「前の彼氏と付き合ってた時、浮気とかしなかったの?」
「浮気?なんでそんなことする必要があるの?」

“浮気”なんていう言葉を知らないんじゃないか、と思わせるくらいにキョトンとした顔をしている。

「由希子だったら、他の男も言い寄ってきそうだなと思って」
「うーん。あったかもしれないけど、そもそも興味ないかな」

― きっと彼女は本当に一途で、浮気とか本当にしないんだろうな。

この半年間で、気がついた。由希子だったら変な心配をしなくてもいい、絶対的な安心感がある。彼女を離したくない、と思った。

「そういうとこ、サッパリしてるよなぁ」
「そんな当たり前のこと突然どうしたの。健太は?浮気するの?」
「俺はいいんだよ、別に」

そんなことを話しながら、僕たちは楽しく食事を終えた。




そしてこの直後、由希子から「どうするのか」と聞かれた時。実を言うと、僕の気持ちはもう固まっていた。

若いうちから稼いでいたせいか、僕のバックボーン目当てで近寄ってくる女性を嫌というほど見てきた。

そして大概、そういう女性に限って、僕が少しでも外で遊んだりすると目くじらを立てて怒ってくる。

今から考えると、自分自身も浮気しそうな可能性があったから、僕に対しても厳しかったのかもしれない。

その点由希子は、100%安心できる。

この半年間一緒にいて、不安に感じることが一度もなかった。

これはすごいことだ。

人生の伴侶となる人に、刺激はいらない。お互い信頼でき、世界中で一番の味方でいてくれるような女性に身を委ねたい。

だから僕は由希子と真面目に交際しようと決意したし、もう少ししたら結婚のことも話そうと思っている。

▶【Q】はこちら:家で“のんびりデート”もするのに、曖昧な関係のまま半年過ぎ…。なのに、彼から突然告白された理由

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