巨人移籍したオコエ瑠偉(左)と日本ハム移籍した田中正義【写真:荒川祐史】

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田中正義は「人的補償」、オコエ瑠偉は「現役ドラフト」でチャンス

 再起のチャンスを生かせるか。注目されるドラフト1位で入団しても、結果が伴わなければいつしか忘れ去られるのが厳しいプロ野球の世界だ。正念場を迎えるかつてのドラ1の中から、このオフは田中正義投手やオコエ瑠偉外野手が新天地を得ての再起を期す。各球団の“崖っぷち”ドラ1を見ていきたい。

 今季が大きな試金石となるのが、FA移籍した近藤健介外野手の「人的補償」としてソフトバンクから日本ハムへ移籍する田中だろう。2016年のドラフトでは、1位入札で5球団が競合。ただその後の6年間は、右肩をはじめとした故障続きで1勝も挙げられていない。1軍通算では34試合登板で0勝1敗2ホールドという数字が残っている。

 オコエは昨年12月に行われた第1回の「現役ドラフト」で指名され、巨人に移籍する。2015年のドラフト1位で楽天入りしたものの徐々に出番を減らし、今季はわずか6試合出場に終わった。ここまでの1軍通算成績は236試合で打率.219、9本塁打。甲子園を沸かせた、恵まれた身体能力を生かせずに来ている。“出直し”が注目される選手だ。

 2015年のドラ1組には、他にもくすぶっている選手が多く、ロッテの平沢大河内野手は今季1軍出場が13試合にとどまった。ただ打率.278で2軍イースタン・リーグの首位打者を獲得しており、脱皮のきっかけとしたいところ。ソフトバンクの高橋純平投手も、2019年に45試合に登板したことがあるものの今季の1軍登板はゼロだ。

かつての新人王は再起できるか…遅咲き10年目初勝利の例も

 セ・リーグに目を向けると、一度はスポットライトを浴びた選手の低迷が目につく。阪神に2015年のドラフト1位で入団した高山俊外野手は、1年目134試合に出場し打率.275、8本塁打65打点の好成績で新人王。ただここ3年間は出番を大きく減らし、2021年は1軍出場なし。昨季も38試合で.189に終わった。

 広島の野村祐輔投手もかつての新人王。2012年に27試合に先発し防御率1.98という好成績を残した。ただ11年目の昨季は9試合登板で2勝3敗、防御率5.23。今季は正念場を迎える。同じ広島では、2017年ドラフト1位の中村奨成捕手も苦しんでいる。5年間で残した成績は1軍70試合出場で打率.228、2本塁打。昨季は22試合で.193に終わった。

 遅咲きのドラフト1位という前例もある。10年目で初勝利を挙げたのが、巨人が2007年のドラフト1位で指名した村田透投手だ。1軍登板のないまま3年で戦力外となると、インディアンズとマイナー契約し米国へ。2015年にはメジャーでの登板も果たした。2016年には3Aの最多勝に輝く活躍を見せたが、日本での初勝利は日本ハム入りした2017年6月11日の巨人戦。プロ入りから10年が経っていた。

 以前のように、高卒選手は3年は体づくりなどという時代ではなくなっている。早期の活躍を見せる選手が次々に現れる一方で、なかなか殻を破れない選手たちもいる。今季はどんな1年を見せてくれるだろうか。(Full-Count編集部)