iPhone 14シリーズで登場した衛星経由の緊急SOSや、衛星インターネット通信サービスの「Starlink」などが登場しており、モバイル業界では衛星通信サービスがトレンドになりつつあります。そんな衛星通信に対応するソリューション「Snapdragon Satellite」を、Qualcommが発表しました。

Qualcomm Introduces Snapdragon Satellite, The World's First Satellite-Based Solution Capable of Supporting Two-Way Messaging for Premium Smartphones and Beyond | Qualcomm

https://www.qualcomm.com/news/releases/2023/01/qualcomm-introduces-snapdragon-satellite--the-world-s-first-sate



Qualcomm’s going toe-to-toe with Apple’s satellite messaging feature - The Verge

https://www.theverge.com/2023/1/5/23538207/qualcomm-satellite-messaging-snapdragon-android

Qualcomm's Snapdragon Satellite will let Android phones text off the grid | Engadget

https://www.engadget.com/qualcomm-snapdragon-satellite-messaging-android-211037007.html

Qualcomm announces Snapdragon Satellite for premium Android phones

https://www.androidauthority.com/qualcomm-snapdragon-satellite-3262887/

世界最大級の家電見本市であるCES 2023の中で、Qualcommが衛星通信に対応するためのソリューション「Snapdragon Satellite」を発表しました。衛星通信サービスは既存のモバイルネットワークサービスでは電波の届かない遠隔地にも通信サービスを提供することができるというもの。Snapdragon Satelliteは初めは緊急時用のメッセージングサービスとして提供されますが、後々、SMSテキストメッセージサービスやメッセージングアプリの通信もサポートする予定です。

Snapdragon Satelliteの衛星通信サービスは初めは緊急事態での使用に限定されます。Qualcommのフランチェスコ・グリッリ副社長は「Snapdragon SatelliteはGarmin Responseを活用しています」と語っており、同サービスを使ってSOSを送信するとGarmin Responseの応答コーディネーターが独自のマッピングおよび応答調整ソフトウェアを使って顧客の経度と緯度を確認し、どの救急サービスに連絡を入れるか決定するそうです。

これに合わせて、Qualcommは次世代プレミアムAndroidスマートフォンに次世代衛星通信を提供するために、衛星通信サービスを提供するIridiumと契約を結んでいます。そのため、Snapdragon SatelliteではIridiumの耐候性に優れたLバンドを利用する予定です。

Snapdragon SatelliteはQualcommの主力製品であるSnapdragon 8 Gen 2と、5GモデムのSnapdragon X70を搭載したデバイスで利用可能となります。Qualcommによると、Snapdragon Satelliteは「2023年後半から一部の地域で発売される予定」であり、いくつかのメーカーが既に対応端末の開発に取り組んでいるとのこと。



Snapdragon SatelliteはスマートフォンだけでなくノートPC、タブレット、自動車、IoTなどでも利用可能になる予定。Snapdragon Satelliteのエコシステムが成長するにつれ、OEMとアプリ開発者は衛星通信サービスを利用することで独自ブランドサービスの差別化を図ることが可能になっていくとQualcommは主張しています。さらに、Snapdragon Satelliteは5G非地上系ネットワーク(NTN)をサポートする予定であり、NTN衛星インフラストラクチャとコンステレーションも利用可能になる模様。

グリッリ副社長によると、Snapdragon Satelliteを利用したい企業はQualcommと直接協力してソフトウェアおよびハードウェアを決定する必要があるものの、Iridiumと新たな関係を構築する必要はないとのこと。衛星通信サービスの利用料について、グリッリ副社長は「衛星ベースのメッセージングサービスとそれに依存するサービスのコストは、OEMとサービスプロバイダー、サービスの提供方法によって異なります」と言及しており、ケースバイケースになると説明しています。なお、QualcommはSnapdragon Satelliteの緊急サービスについて、無料または非常に安価になると述べています。

Iridiumのマット・デッシュCEOは「当社のネットワークはSnapdragon Satelliteに合わせて調整されています。Iridiumの高度なLEO衛星は地球のあらゆる場所をカバーし、業界をリードするSnapdragon Satelliteによって実現される衛星通信サービスは、理想的な低電力・低遅延の接続を提供します。毎日数百万人が我々の通信サービスに依存しており、Snapdragon Satelliteを搭載したスマートフォンを介してさらに数百万人がネットワークに接続できるようになることを楽しみにしています」と語りました。