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3列シートSUV大幅改良 5つの注目点

執筆:Wataru Shimizudani(清水谷 渉)

11月2日、マツダは3列シートのクロスオーバーSUVマツダCX-8」を大幅商品改良し、予約を開始した。発売は12月下旬ごろを予定している。

【画像】改良新型CXー8 3つの異なる個性【デザインと内装】 全63枚

マツダでは、各モデルをイヤーモデル的に年次改良している。今回のCX-8も、いわば「2023年モデル」に相当する。


マツダCX-8グランドジャーニー(プラチナクオーツメタリック)    前田惠介

この度の“大幅”という冠がついた商品改良では、前後バンパー&ランプ、グリルなどをマツダ最新のデザインに変更。とくにリアバンパーは形状が変わり、リアコンビランプの意匠もリデザインされて、車幅を維持しながらCX-8のワイド感を強調した。

ダイナミクス性能では、車両構造技術「SKYACTIVビークル・アーキテクチャー」の考え方を取り入れ、長時間運転しても疲労感の少ない運動性能を目指し、快適性を向上させている。

走行シーンに応じ、スイッチの操作ひとつで任意に走行モードを切り替えられる「マツダ・インテリジェント・ドライブセレクト」、略称「Miドライブ」も新採用。

さらには新たなグレードや特別仕様車なども設定されているので、その概要を紹介していこう。

1. グランドジャーニーとは

新たに設定された特別仕様車「Grand Journey(グランドジャーニー)」は、CX-8のクロスオーバーSUVらしい、アウトドア的なイメージを強調したグレードだ。

エクステリアは、シルバー塗装の前後バンパーセンターガーニッシュやガンメタリック塗装のフロントグリル、グロスブラックのドアミラーやブラックメタリック塗装の切削加工19インチ・アルミホイール、ルーフレール、ブライトのサイドガーニッシュなど、専用アイテムで頼もしくも家族を包み込む柔和な表情を表現した。


マツダCX-8グランドジャーニーの1列目内装(シート:ファブリック/合成皮革/グレージュ 開発車両のため、サウンドシステムが市販仕様と異なる)    前田惠介

インテリアは、グレージュの明るい色使いの合成皮革とファブリックによるシートやドアトリム、ハニカムグレージュとサテンクロームメッキのインパネ加飾などが、さまざまなシーンで気兼ねなく使えるイメージを強調。シートは6人乗りと7人乗りが選べる。

パワーユニットは、2.5Lガソリンの「SKYACTIVーG 2.5」と、2.2Lディーゼルターボの「SKYACTIVーD 2.2」の2種を搭載。駆動方式は4WDのみとし、Miドライブにはオフロード・モードを設定した。

家族で自然の中へ出かけたい、そして行き帰りのドライブもみんなで快適に過ごしたいというアウトドア指向のファミリーに向けた特別仕様車といえるだろう。

2. スポーツアピアランスとは

今回、新たに設定されたグレードが「Sports Appearance(スポーツアピアランス)」だ。全身をブラックでまとめることで、成熟した大人のスポーツマインドを刺激しつつ、上質さも表現している。

エクステリアは、フロントグリル、シグネチャーウイング、バンパー下部、クラッディング、ボディロアガーニッシュ、ドアミラーまで深い光沢によって精悍さを際立たせるブラック塗装で引き締めた。


一番右がマツダCX-8スポーツアピアランス(マシーングレープレミアムメタリック 開発車両のためルーフレール/サイドガーニッシュが未装着)    前田惠介

ホイールもブラックメタリックを施した専用の19インチ・アルミホイールを装着。大径のマフラーカッターでリアエンドは力強さをアピール。

インテリアでは、NDロードスターのバーガンディにも似たレッドもしくはブラックのスムースレザーをシートに採用し、上質さを醸し出すライトグレーのステッチが入る。インパネの加飾には、ハニカムシルバー/サテンクロームメッキが用いられ、「大人のスポーツ」のイメージを増幅している。シートは、6人乗りと7人乗りを用意。

パワーユニットは、2.5Lガソリンの「SKYACTIVーG 2.5」と、2.2Lディーゼルターボの「SKYACTIVーD 2.2」の2種を搭載。駆動方式は、2WD(FF)と4WDとも選べる。

3. エクスクルーシブモードの進化

「Exclusive Mode(エクスクーシブモード)」は、従来からCX-8に設定されている最上級グレードだが、美しさや作り込みに所有する満足感と特別感を求めるユーザーのために、さらに進化させている。

エクステリアでは、ボディから、前後バンパーロア(下部)、ホイールアーチ、クラッディング、ボディロアガーニッシュまでを同色で統一した。


マツダCX-8エクスクルーシブモード(ロジウムホワイトプレミアムメタリック)。リアエンド下部を後ろ上がりの意匠とし、車体後部の印象が変わっている。    前田惠介

さらにガンメタリックのフロントグリル、シルバーの前後バンパーガーニッシュ、ルーフレール、大型マフラーカッターなどを装備。大径の19インチ・アルミホイールには高輝度ダーク塗装を施して金属の質感を向上している。

インテリアでは、ピュアホワイトもしくはブラックのナッパレザーシートを採用し、キルティング模様のステッチが施されている。インパネの加飾には上品な金属感を表現したヘアラインシルバーが用いられ、所有する人の満足感を充たしてくれる。

パワーユニットは、2.5Lガソリンの「SKYACTIVーG 2.5」と、同ターボの「SKYACTIV-G 2.5T」、2.2Lディーゼルターボの「SKYACTIVーD 2.2」の3種を搭載。駆動方式は、いずれも2WDと4WDが選べる。

シートは、SKYACTIVーG 2.5T搭載車は6人乗りだけだが、他のエンジン搭載車では7人乗りも設定されている。

4. サス&シート 乗り心地を追求

3列シートの多人数乗用車であるCX-8。

今回の改良では、快適性の向上も図られた。端的に言ってしまえば、より思いどおりに、不安なく走ってくれることを目指している。そのため、SKYACTIVアーキテクチャーと新世代商品群技術を採用した。


マツダCX-8エクスクルーシブモードの2列目内装(シート:ナッパレザー/ブラック)    前田惠介

まず、ダイナミック性能を“深化”させるために、サスペンション(スプリングとダンパー)を改善。たとえば、段差を乗り越えるような場面で、乗員の頭が上下に動かされないように、また、うねりのある路面で車体が前後に揺すられないようにすることで、疲れにくさや酔いにくさを改善している。

さらに、外側前輪へ荷重をかけていく量を、ハンドルの操作量と滑らかに比例させることで、思いどおりの走行ラインを描けるようになり、ロードスターのような「人馬一体」感を高めた。なお、従来型から採用しているGベクタリングコントロールは、キャリーオーバーされている。

シートの機能も進化した。本革シートの場合、クッション座面の形状を変更して、折り目のヘコミを少し前に移動。その結果、骨盤を立たせるような着座姿勢となり、より安定して、しかも長時間の運転でも疲れにくくさせている。

加えて、クッションのバネを変更することで、バネ定数も最適化させ、快適性を向上させている。

5. 選ばれる「3列目の安全性」

ミニバンやSUVの3列目シートに座って後方を振り返ると、わりと近くにリアウインドウがあり、「万が一、追突事故に遭ったら大丈夫かな?」と思われた経験を持つ読者諸氏もおられるのではないだろうか?

マツダでは、大切な人を守る3列目シートの安全性を重視し、法規に加えてマツダ独自の基準を追加して開発している。


マツダCX-8スポーツアピアランスの3列目内装(シート:スムースレザー/レッド)    前田惠介

日本国内の法規では、50km/hのフルラップ追突で、燃料漏れがなければ良いとされている。

だがマツダでは、80km/hの70%オフセット追突で、燃料漏れがないことはもちろん、最後席の生存空間を確保し、非衝突側の後席ドアが人力で開くことを基準としている。

これは、高速道路で渋滞最後尾に80km/hの乗用車が追突したことを想定している。追突事故の99%は、80km/h以下で発生しているのだという。

この基準をクリアするため、CX-8ではリアフレームをまっすぐに配置した「ストレートフレーム構造」や、Cピラー下の二又構造を採用して、乗員空間をしっかりと守っている。実際の試験後、3列目シートの変形は少なく、生存空間は確保され、ドアも変形せずに開閉が可能だった。

この3列目シートの安全性は、もちろん今回の改良から採用されたものではなく、従来からのCX-8に採用されているものだ。子どもがいる購入者が安全性を重視する割合は、CX-8では他のSUVやミニバン購入者よりも抜きん出ているという。

つまり、CX-8のユーザーは、アクティブな時間から上質な時間まで、人生の楽しみを広げるために、安全性も重視して購入するという人も多いようだ。

マイナーチェンジ版CX-8 価格

大幅改良を施されたマツダCX-8の価格は下記のとおり。予約受付は11月2日より開始。発売・納車開始は12月下旬を予定している。

改良型マツダCX-8:299万4200円〜505万8900円

グランドジャーニー(AT)


マツダCX-8グランドジャーニーの内装(シート:ファブリック/合成皮革/グレージュ 開発車両のため、サウンドシステムが市販仕様と異なる)    前田惠介

25Sグランドジャーニー(4WD)399万9600円
XDグランドジャーニー(4WD)438万2400円

スポーツアピアランス(AT)

25Sスポーツアピアランス(2WD)403万2600円/(4WD)426万9100円
XDスポーツアピアランス(2WD)441万5400円/(4WD)465万1900円

エクスクルーシブモード(6人乗り/AT)

25Sエクスクルーシブモード(2WD)443万9600円/(4WD)467万6100円
25Tエクスクルーシブモード(2WD)482万2400円/ (4WD)505万8900円
XDエクスクルーシブモード(2WD)482万2400円/(4WD)505万8900円

エクスクルーシブモード(7人乗り/AT)

25Sエクスクルーシブモード(2WD)427万4600円/(4WD)451万1100円
XDエクスクルーシブモード(2WD)465万7400円/(4WD)489万3900円