3年ぶりのツアー22勝目もかかる池田勇太(撮影:鈴木祥)

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<バンテリン東海クラシック 3日目◇1日◇三好カントリー倶楽部 西コース(愛知県)◇7300ヤード・パー71>
満身創痍の男がまたまた優勝争いだ。首位と5打差の5位タイから出た池田勇太は、5バーディ・1ボギーの「67」で回り、トータル10アンダー。単独3位から5打差逆転を狙う。2週前の「ANAオープン」では左首をはじめとする左半身痛を抱えながらも、3日目まで首位を守って3位。今度こそは3年ぶりの22勝目をつかみたい。
前半の2番パー5でバーディ先行とすると、4番パー4でも伸ばす。後半に入っても10、11番で連続バーディ。13番パー3でボギーを叩いたが、15番パー5できっちり取り返してホールアウトした。「もう1つか2つ伸ばしたかったけど、仕方ないと思うし、3日間いいプレーができている。上には届いていないけど、いい形で最終日を迎えられる気はしています」と決して小さくない差だが、首位の座を視野に入れている。
8月末に左首痛が発症し、その後は左半身や体のいたるところに痛みが出るようになった。もともとは試合を休みたくないタイプの池田だが、大事をとってしぶしぶ2試合欠場を選んだ。大会2勝を誇る思い入れの強いANAオープンから復帰したが、まだまだ完治したわけではない。
前週も休みを入れて治療に専念。「顎関節が左に4度傾いている」と顎関節のバランスが崩れていることが痛みの原因と分かった。矯正器具がないと体のバランスが崩れて「長い時間運動ができる感じじゃない」と器具の完成を待っているところ。完成するまで欠場も考えたが、今大会は思い入れがあるため厚さ3ミリ、幅1センチの木片をかんで矯正器具の代用としている。
「ANAオープン」は2勝を挙げる思い入れの強い大会だが、この大会は未勝利で「苦い思い出しかない」。2008年、09年は優勝争いを演じながらも、最終ホールで2年連続池に落として惜敗。過去5回の最終日最終組を経験して、2位3回、3位2回と相性はよく「この場所で1回は勝ちたい」という思いもある。
ジュニア時代から世代のトップを走ってきた池田は、2007年12月にプロ転向したが、ツアーの出場権をかけたQTに失敗。08年は下部ツアーが主戦場だったため、マンデーを突破して今大会の出場権を獲得した。プロとして初めて優勝争いを経験した試合であり、初シードへの足掛かりとなった。初シード獲得後、09年、10年はそれぞれ年間4勝を挙げてトッププロの仲間入り。プロとしての自信をつけてくれたのがこの大会である。
「僕にいいきっかけを与えてくれたのがこの試合だし、この試合が好き。感謝の気持ちをもってここに来ている」。池田にとって原点ともいえる大会で、体に鞭を打ちながらプレーしている。「もう1日なんとか俺の体頑張ってくれよ、という感じです」。初出場時は22歳。3タックのズボンに角刈りといういでたちだった。ズボンのタックはなくなったが、勝ちたい気持ちは36歳になった今も変わらない。
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