新型「シエンタ」デビューでライバル「フリード」はどう戦う!? いまだ「広さ」にアドバンテージあり

写真拡大 (全3枚)

パッケージングを見直し2列目席の空間が拡大した新型「シエンタ

 トヨタのコンパクトミニバン「シエンタ」が2022年8月23日、フルモデルチェンジしました。
 
 シエンタは同ジャンルのホンダ「フリード」との熾烈な販売競争を繰り広げ、直近はフリードの販売台数が優位でしたが、新型登場で逆転もあり得そうです。
 
 しかしシエンタが刷新しても、デビュー6年が経過したフリードにもまだ優位点があるといいます。違いは「広さ」にありました。

熾烈な販売競争を繰り広げる国産コンパクトミニバンの2大勢力!(左)ホンダ 2代目「フリード」/(右)トヨタ 2代目「シエンタ

 今回新しくなったシエンタは3代目モデルです。

【画像】「どっちが好き!?」ホンダ「フリード」とトヨタ 新型「シエンタ」を写真で見る(50枚)

 3列シートの7人乗り仕様に加え、2列シートの5人乗り仕様が設定され、1,5リッターガソリンエンジン車と、同ハイブリッド車が用意されます。

 ともに2WD(FF)を基本に、先代ではガソリン車のみに4WDの設定がありましたが、新型では逆にハイブリッド車のみに4WD(E-Four)が設定されています。

 ボディサイズは、全長4260mm×全幅1695mm×全高1695mmで、ホイールベースは2750mmです。

 先代の2代目シエンタと比較すると、全高だけ20mm高くなったほかは、全長、全幅、ホイールベースとも共通の寸法で、新旧ほぼ変わらないサイズをそのまま受け継いでいます。

 しかし新型シエンタは、旧型の土台をそのまま流用したわけではありません。

 最新世代のTNGA GA-Bプラットフォームを新採用し、車体は新設計されました。エンジンやハイブリッドシステムも一新しています。

 ほぼ同じ寸法のなかで、ペダルやシート位置などのパッケージングをすべて見直し、とくに後席の足元空間を拡大させました。

 その結果、前席(1列目)と2列目シート間の距離(カップルディスタンス)は先代比で80mmプラスされ、最大1000mm確保しています。

 また車体のフォルムも、先代がシャープでスポーティな形状だったのに対し、新型はスクエアな形状とし、20mm高くなった全高とあわせ空間効率を高めているのが大きな特徴です。

 トヨタによると新型シエンタは「扱いやすい5ナンバーサイズ」「最新の安全・安心装備」「低燃費」「低価格」といった初代や2代目シエンタの魅力を維持しながら、使い勝手の良い室内空間をさらに磨いた、と説明しています。

 新旧シエンタを乗り比べてみれば、とくに2列目席でその空間の違いを実感できることでしょう。

 とはいえただ真四角な訳ではなく、角を丸めたデザインとしたことで大きく見えすぎず、見た目にも扱いやすさを感じさせるよう配慮したとトヨタの開発者はいいます。

室内高は新型「シエンタ」優位だが室内長は依然として「フリード」が優位

 対するホンダのライバル車はどうでしょう。

 ホンダのフリードは2016年9月にフルモデルチェンジを受けた2代目モデルで、デビューから丸6年が経過しました。

 こちらも1.5リッターガソリン車と、1.5リッターハイブリッド車を設定。それぞれFFと4WDが用意されています。

 ノーマルボディのほか、クロスオーバースタイルの「CROSSTAR(クロスター)」や、走行性能を向上させたカスタムコンプリートカー「Modulo X(モデューロエックス)」など、豊富なバリエーションがフリードの美点です。

 しかしフリードの優位点はそれだけではありません。

ホンダ「フリード」は幅広いラインナップを揃えている[写真はクロスオーバーモデル「フリード CROSSTAR(クロスター)」]

 ボディサイズは全長4265mm×全幅1695mm×全高1710mmで、ホイールベースは2740mmです。

 新型シエンタより背が高く、さらに四角さを強調したフォルムなことから、実寸以上に大きく見えるのが特徴です。

 外から見ても「広そう」と感じさせるのは、フリードのアドバンテージといえます。

 そこで新型シエンタとフリードを、改めて数値でさらに詳しく見比べてみましょう。

 ボディサイズは、フリードのほうが全高で15mm高い以外ほぼ同寸法です。

 ただし室内寸法の数値では、大きな差がありました。

 新型シエンタの室内寸法は、長さ2545mm×幅1530mm×高さ1300mm(3列シート/2WD)です。

 対するフリードの室内寸法は、長さ3045mm×幅1455mm×高さ1285mm(ガソリン/3列シート/2WD)です。

 両メーカーとも地上から後席スライドドア部分の床面までの高さが公表されており、新型シエンタの330mmに対し、フリードは390mmと少し高めです。

 新プラットフォームによる高効率化が功を奏したのか、室内幅や室内高は低床な新型シエンタが優位に立っているという訳ですが、とはいえフリードでも十分な室内高が確保されています。

 いっぽうで室内長は、圧倒的にフリードが勝っているのが興味深いところです。

 2列目席に座った時には、前方を眺めた印象が広さを実感できるでしょう。

※ ※ ※

 ちなみにある自動車メーカーのエンジニアによると、室内寸法値は各メーカー独自の計測によるもので、計測ポイントの違いにより誤差が生じるといいます。

 窓の大きさや内装色の明るさ、屋根の内張り形状、シート背もたれ後ろの形状など複合的な要素が絡むため、乗ってみたときの印象とは一致しないこともあるといい、数値は参考値として留めるべきだとしています。

 新型シエンタとフリードの購入を検討する場合には、必ず販売店の展示車に乗り込んでみて、3列各席の広さを体感してみることをおススメします。

 またホンダの販売店では、ボディサイズがふたまわり大きい上位モデルのミディアムクラスミニバン「ステップワゴン」と見比べたうえで「フリードでも十分に広い」と購入を決めるユーザーも少なくないとの話がよく聞かれます。

 そうした上位モデルなどとも比較すれば、より最適な選択となるでしょう。