53歳の漫画家・古泉智浩さん。古泉さん夫婦と母(おばあちゃん)、里子から養子縁組した小2の長男・うーちゃん、同じく養子になった4歳の長女・ぽん子ちゃんという家族5人で暮らしています。今回は、子どもたちと夏の思い出をつくるお話です。

魚釣りと海水浴。養子のうーちゃん、小2の夏休みが終わっていきます

小2の養子のうーちゃんは野球が好き。高校野球の地方大会に誘っていたところ、当日になって「ぼく行かない」とドタキャン、すっかり見に行く気になっていた僕とママで見に行き、そもそもの企画意図が不明な状態です。

 

高校野球はどんな弱小高校でも、応援している学校が勝っても負けてもドラマが感じられてすっごくおもしろいです。準決勝と決勝はテレビでも中継されていて、会場に行けなかったから仕方なくテレビで見ると、変化球や球速、選手の詳細なデータが見れて、同じ野球観戦でもまったく別物と言っていいくらい違います。
一方、会場では応援団の吹奏楽がすごい迫力ですが、テレビではボリュームが小さくて今ひとつ。なので会場でもテレビでもどっちも楽しいですね。

 

●じつは釣りに行きたかったうーちゃん。クロダイも釣りました!

うーちゃんは映画館も暗いのと音が大きいのが苦手なようで、一昨年の『映画クレヨンしんちゃん』以来つき合ってくれなくなってしまいました。苦手なものを無理強いしても仕方がないのでいいのですが、海水浴に誘っても断られて、このままでは夏の思い出がなにもないまま終わってしまう。

そう思っていたら釣りだけは行きたかったようで、一緒にアジ釣りに行きました。5月くらいに一緒に行ったときはまだアジのシーズンが来る前で稚鮎しか釣れなくて盛り上がりに欠けました。
その後、僕がダイエットとランニングに力を入れることにしたせいで釣りから遠ざかっていました。今年はもう釣りには行かないつもりでしたが、うーちゃんが行きたがっているとなったら話は別です。

暑い平日の夕方に漁港に行きました。その日は、大雨が続いた翌日で水が濁っていてあまり釣れないかと思ったら、豆アジがバンバン釣れました。エサをつけて仕かけを落とすと途端にかかって、エサは冷凍のオキアミというブロック状のものです。凍ったオキアミをスプーンでゴリゴリ削ってエサカゴに入れるのだけれど、エサを削るのが間に合わないほど大忙しです。

 

ほかにも、うーちゃんの仕掛けには12センチくらいのクロダイもかかって大いに盛り上がりました。エサがなくなるまで33匹釣れました。

豆アジが釣れない場合に備えて、テトラポットで穴釣りをする用のブリクラという仕かけとエサのジャリメを用意していました。まだ陽があったので、やってみることにしました。
前の日まで大雨だったせいか、波が少し強くて釣りにくい状態だったけど、20cmくらいのギンボとソイを僕が釣って、うーちゃんはエサを取られるばかりでした。常に僕に勝ちたがっているうーちゃんは悔しそうでした。

●釣った魚をおいしいおいしいと食べ尽くすのは、もちろんあの人…

魚を釣るのは好きだけれど、食べるのは苦手なうーちゃんは、骨のない身のところしか食べません。なので丸揚げにする豆アジは全然食べられません。ギンボとソイ、クロダイは食べるかなと思って油で揚げて用意しました。ちょっと味見をしてみようとギンボを指で身をほぐして食べていると、4歳の養子のぽん子ちゃんが現れました。

「なにたべてるの?」
「お魚だよ。食べてみる?」
身をほぐして手渡すとおいしいと言って食べて、手をつけていなかったソイを手に持って身をほぐして食べ始めました。うーちゃんのためにとっておいたものなのだけど、実際のところうーちゃんが食べるかどうか不明です。

ぽん子ちゃんは指で身をほぐして食べていると思ったら、魚にかぶりついておいしいおいしいと言って食べています。

魚を釣ってもだれも食べてくれず泣く泣く自分が責任を取る形で全部食べることもあることを思うと、ぽん子ちゃんがもりもりと、骨だけを残して食べつくしてくれるのは本当にうれしいことです。ソイを食べ終えると、うーちゃんが釣ったクロダイを手に取って、それもほぼ骨だけを残して食べてしまいました。

うーちゃんは自分は食べないくせに、ぽん子ちゃんが食べたと知ったら怒り出すのは間違いありません。豆アジも僕とぽん子ちゃんで食べ終えてしまったので、魚を調理したこと自体なかったことにしました。幸い、うーちゃんから釣った魚がどうなったのか気にする様子はありませんでした。

 

●みんなで海水浴。だれよりも騒がしいうーちゃん

海水浴にはぽん子ちゃんと2回遊びに行っていて、うーちゃんは誘っても応じてくれません。お盆が来るとクラゲが出るのでもう終わりです。もう最後かもしれないとうーちゃんを誘ってみたところ、渋々OKしました。
その日は気温が34℃もあって、そんな日に水に入るのは涼しくて最高に気持ちがいいので、うーちゃんにもそんな気持ちよさを味わってほしい。いつも行っていたビーチはゴミがあるから嫌だというので、そこより少し遠いビーチに行きました。

ぽん子ちゃんは前回行ったときに浮き輪を買って、上手に浮かんで遊びます。うーちゃんは僕にしがみついてキーキー言って興奮しています。
「こわい! こわい!」
と言いながらも楽しそうで、ビーチにいるだれよりも興奮している様子でした。ぽん子ちゃんに浮き輪を貸してもらったらと言うと、ディズニープリンセスの浮き輪は恥ずかしいようで、僕も男の子の浮き輪がほしいと言いました。迷彩の浮き輪がいいそうです。

1時間くらい海で遊んで、かき氷を食べて帰りました。お盆の前にもう一度、次はうーちゃんも浮き輪があれば、喜んで誘いに応じてくれることかと思います。

 

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