持続可能な社会をつくるための「SDGs」。2030年までの達成をゴールとした「持続的な開発目標」を指し、世界的に注目されています。一見難しそうに感じますが、じつは私たちの暮らしのなかに取り入れられることがたくさんあります。今回のテーマは「猛暑」について。SDGsに詳しいフジテレビの木幡美子さんにつづってもらいました。

歴代最多の猛暑日…その原因って?

2022年は、記録的な暑さになっています。7月1日には埼玉県や群馬県など6地点で40℃を超えました。これは観測史上初めてのことです。

90年代・天気予報中継担当時代の木幡美子さん<写真>

ここ数年、夏の暑さがちょっと変? と感じませんか。
データからも明らかで、このコラムを書いている8月16日も東京都心の最高気温は36.4℃に達し、今シーズン16回目の猛暑日(35℃以上)となりました。1875年の統計開始以来、歴代最多日数を更新したそうです。

ちなみに今から30年前の1990年の東京の猛暑日は2日だけ。1988年と89年は1日もありませんでした。

●夏の天気予報の原稿にも数年で大きな変化が

私がアナウンサーとして天気予報を伝えていたのは、ちょうどその頃ですが、当時のお天気原稿には、「今日は帽子をかぶったり、日焼け止めを塗るなど、暑さ対策をお忘れなく…」「夕立ちがあるかもしれませんので洗濯物は早めに取り込みましょう!」といった感じで、平和なコメントが多く、少なくとも“命の危機”といった要素はありませんでした。

ところが最近の原稿には、「今日は命に関わる暑さになりますので、こまめな水分補給を…」「体温を超えるうだるような暑さになりそうです。我慢せずにクーラーをつけましょう。」などなど、警戒を呼びかけるフレーズが多く、伝えるお天気キャスターにも笑顔はありません。「ゲリラ豪雨」「熱中症警戒アラート」など強い言葉を聞くようになったのも最近のことです。

●80年後の日本の夏は40℃超えの予測も

この気温の変化はなぜ起こっているのでしょうか?

それは、やはり人間が引き起こしたと言わざるを得ません。産業革命をきっかけに化石燃料による工業化が進み、森林伐採など地球を犠牲にして成長を重視してきた結果、CO2を始めとする温室効果ガスを増やしてしまったのです。温暖化が人間の影響だということは、2021年8月に出たIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告で初めて断定されました。

 

そういうと、まるで温室効果ガスが悪者のように聞こえますが、地球を人が住める温度(今の世界の平均気温は約15℃)にしてくれているのも、また温室効果ガスなのです。英語では、greenhouse gasつまり、ビニールハウスのようなもので、「温かい」くらいがちょうどいいのですが、それがホットハウス(hothouse)になりそうなので、警鐘を鳴らしているのです。

このままだと、2100年には、日本も全国的に40℃を超え、東京は43.3℃になると予測されています。たぶん、これは日中外出できない暑さです。

 

温暖化を食い止めるために私たちにできること

この温暖化をくい止めるためにはどうしたらいいのでしょうか…。皆さんは「1.5℃」という数字を目にしたり、耳にしたことはありませんか?

産業革命より前の時代と比較した気温の上昇を1.5℃に抑えましょう! という世界の共通目標です。「+1.5℃」を超えてさらに上昇してしまうと、温暖化が連鎖的におき、後戻りできない状況になると言われています。

そのためにできることが、「10のアクション」として国連のサイトに掲載されています。

●CO2を減らすための10 のアクションとは?

1つ1つ見てみると…

 

1:家庭で節電する

・LED電球や省エネタイプの電化製品に取り替える
・乾燥機を使わずに干すことでエネルギー消費量を減らす
・冷暖房や電気のつけっぱなしをなくす

 

2:徒歩や自転車で移動する、または公共交通機関を利用する

・クルマではなく、徒歩や自転車を使う
・クルマは可能な限り相乗りで!
・電車やバスなど公共交通機関の方がエコ
※軽油やガソリン自動車は温室効果ガスを出します。

 

3:野菜をもっと多く食べる

肉や乳製品を減らす
※ミートフリーは環境への影響を大幅に軽減できます

 

4:長距離の移動手段を考える

列車という選択や、オンラインも活用しよう
※飛行機は大量の化石燃料を燃やし温室効果ガスを出します

 

5:食品ロスを減らす

・食品は使いきる
・食べ残しは堆肥にするなど、無駄をなくす

※食料を捨てると、生産→加工→梱包→輸送のために使った資源やエネルギーが無駄になるうえ、廃棄する際にもCO2を出します

 

6:リデュース、リユース、リペア、リサイクル

・買う物を減らしたり、中古品を活用、修理できるものは修理して使う
・リサイクルを心がける

※電子機器・衣類などは、《原材料の抽出→製品の製造→輸送》の過程でCO2を排出します

 

7:家庭のエネルギー源を替える

・自宅の電力を再生可能エネルギーへの切り替える
・ソーラーパネルも選択のひとつ

 

8:電気自動車にのりかえる

電気自動車にする
※ガソリン車やディーゼル車より大気汚染を減らせる上、温室効果ガスの排出量が大幅に削減されます

 

9:環境に配慮した製品を選ぶ

地元の食品や旬の食材を購入したり、エコな商品を選ぶのも重要なアクション!

 

10:声を上げる

同僚、友人、家族と話して、行動を起こしてもらう! これ、とても大事です。

これ以外にもできることはたくさんあります。まずは知ることが大事です。

 

今日も暑いなぁーと感じたら「これって自分たちが引き起こした可能性もあるかも?」と認識して、10のうちひとつでもいいので、今日からやってみてください。

「そんなことやったって意味ない!」ではなく、「それでもやってみよう!」という意識になってもらえるとうれしいです。すぐには効果がでないかもしれませんが、皆さんひとりひとりの力で、よりよい地球を未来へ残しましょう。

 

■「1.5℃の約束-いますぐ動こう、気温上昇を止めるために。」キャンペーン■8月28日まで!「オダイバ冒険アイランド2022」開催! SDGsクイズラリーも!

 

【SDGsの課題をみんなで一緒に考える 楽しくアクション! SDGs】

 

【フジテレビ『フューチャーランナーズ』放送中】