子ども同士のケンカが深刻ないじめに発展し、事件化してしまうケースがあとを絶ちません。ESSE読者321人にアンケートを実施し、子どものいじめトラブルの実態について聞きました。

いじめが原因で不登校に…。学校へ行けなくなるのはいつも被害者という現実

ふざけて遊んでいるつもりが、いつしかいじめに発展…。このようなケースは意外と少なくありません。

「クラスメートにちょっかいを出され続けたうちの子どもが、仕返しにその子が着席する際にイスを引き転倒させてしまいました。弾みで頭を打ってしまい、病院で検査することに。大きなケガにはつながらず大事には至りませんでしたが、相手の親御さんへの謝罪など大変でした。日頃から子どもとは話をし、いろいろとアドバイスしていたつもりでしたが、なかなか伝わらず難しいなと思います」(神奈川県・40歳)

親子でなんでも話し合える関係というのは理想ですが、思春期に差し掛かるとなかなか難しいですよね。いじめが始まってしまうきっかけの中には嫉妬の感情が絡んでいる場合も多いようです。

●習い事で発生した子ども同士のトラブルに悩む親たち

「バスケを習っている息子。メンバーに選ばれなかった周りの友達から口で嫌味を言われていました。息子が少しアドバイスをしたら泣き出されてしまったりして、息子のせいになってしまったりするトラブルも。
バスケは親も送迎をしたりするため、関わりが増えるので、そういう面で今後どうやって関わっていけばよいか悩みます」(千葉県・37歳)

「習い事の武道で、親がうちの子どもと組ませないよう自分の子どもに指示したり、みんなで撮る機会に写真に入れなかったりするなどの嫌がらせをされました。少しだけうちの子が強かったので嫉妬されたのだと思います。その親は先生に個人的に贈り物などしていたので、自分の子どもを有利に立たせたかったのでしょう。一応挨拶はしますが、無視されるときも。距離を取りました」(滋賀県・41歳)

●受験直前に…。思春期の嫉妬心からいじめが勃発

「受験2か月前になり、子どもが友達から急に無視されました。塾の席にほかの子が座っていたり、ものがなくなったりなどの被害も受け、受験前にテストの成績もダダ下がり。ストレスで髪の毛が抜けてしまいました。先生に相談したもののあまり解決には結びつきませんでした。先生と加害者の子と話をしたときに『私よりかわいいわけでもないのに男の子たちが寄ってきて仲よくしてる姿が悔しい』と言っていたそうです」(鹿児島県・46歳)

このケースでは、周りの友達もいじめに気がついていたので、結局加害者の子が孤立してしまう事態になってしまったそう。
「親としては無事合格できたのでよかったですが、ほんとしんどかったです」
最後は被害にあった娘さんから話しかけたりして解決したそうですが、いじめの渦中は子どもも親も心を削られますよね。学校で起きているトラブルでは、肝心の教師が力になってくれなかったという話も寄せられています。

●教師があてにならなかったケース

「中学で子どもがいじめにあったが、学校は『いじめられる方が悪い』『相手の子(加害者)は成績がいいから』と相手にしてくれませんでした。
そのときの学校との会話をできる限り思い出して文書にして、教育委員会の“いじめ専門カウンセラー”に提出し、その後、校長から謝罪されることに。ただそのとき、校長から呼び出されて学校に行ったのに、その校長本人から『今日はどういったご要件で?』と聞かれたので絶句しました」(神奈川県・46歳)

このケースではその後もまったく変化がなく、教育委員会と話をしながら、最終的に不登校を選択したといいます。

「フリースクールに通いながら息子に合った高校を選ぶことができ、高校はほぼ皆勤賞で楽しく通っています。学校の体質を見て『こんな学校には通うべきではない』という判断ができたのはよかったと思います」

いじめは証拠集めがカギ!?

「長男がいじめられたり、いじめたりで、小学校のときに双方の親が呼び出しされたことが4〜5回あります。具体的な証拠もないのに、一方的に怒ってくる親の対応をしたり、校長教頭を巻き込んだ事件も起きました」(埼玉県・45歳)

結局、いじめ問題は、具体的な証拠がないと学校もまったく対応してくれないという声も挙がっていました。

●財布泥棒扱いされた子どもの親が大激怒。解決せずに不登校に…

「小学1年生が友達10名くらいで集まって近所の公園で遊んでいたときのことです。1人がお財布を持ってきていたようで、それをベンチに置きっぱなしにして遊んでいたそうです。それを見た1人の女の子が『財布を置きっぱなしにしちゃだめだよ』とその子の財布を手に取り、持ち主に持っていこうとしたところ、『人の財布をとるのは泥棒だ!』とほかの子に言われ、財布を持っていこうとした子は泣きだしてしまいました。すぐ家に帰り、親に説明したところ親が大激怒。『うちの子を泥棒扱いして!』と学校にクレームを入れ、『謝らせろ! どんな教育しているんだ!』と大騒ぎになりました」(福岡県・33歳)

結局、学校側から満足のいく対応はほとんど得られず。その次の日からその子は不登校になり、かれこれ5年以上学校へ行けていないといいます。トラブルが起きたときにいた子たちの親は、非がないのに謝りに行く必要はないと、とくになにも行動せず。

「不登校になった子には兄がおり、その子が学校でいじめられて転校してきたばかりだったそうで、親もピリピリしていたのかもしれません。
勘違いとはいえ、人を簡単に泥棒扱いするのはいけないことだし、人の財布を許可なく触るのも悪いこと、とお互いの悪かった部分をきちんと理解させ、きちんと謝ればすんだことなのに、残念だなと思います」

自分の子が被害者のように思える場面ではついカッとなってしまいますよね。でも一度冷静になって状況を客観的に見る力も必要かもしれません。被害者意識が強すぎると、トラブルに巻き込まれやすい傾向も。低年齢のうちはお金だけでなく、ゲームやスマホも含め、高価なものは親の見ている範囲だけに限定するなどの工夫が必要ではという意見もありました。

●子ども同士がトラブルの渦中。相手の親とどう接する?

「子ども同士が喧嘩して、相手の母親から怒りの電話があり、口論になってしまいました…。学年の役員同士だったので、気まずい思いをした事があります」(愛媛県・59歳)

「娘が小学校のときにクラスで揉め事があり、被害者と思い込んでる親が教育委員会に直訴して、夜に懇談会をした記憶があります。話としてはどっちもどっちな感じで、親が騒いでるだけだと思ったので、あまり関わりたくないと距離を置くようになりました」(神奈川県・46歳)

いじめが原因で転校。親の負担は大きいけれど背に腹は代えられない

「息子が小学1、2年生の頃、子ども同士は遊んでいるだけの感覚だったようですが、馬乗りになったり、お腹をパンチされたり。エスカレートしていて、いじめにつながっていると思ったため、転校しました」(東京都・42歳)

「娘が小学校のときに、どうしても娘を仲間外れにする子がいたので、親御さんとも話したが、『うちの子はそんなこともしないし、したとしてもそれで友達を分別していくからしょうがないでしょ』と言われました。それからさらにその子の娘への態度がエスカレートしたため、中学は越境をして隣の中学へ通っています」(神奈川県・42歳)

いじめ加害者のなかには、心のケアが必要なケースがあります。しかし、学校に行けなくなってしまうのは常に被害者側で、加害者側の問題が改善されることなく、つらい環境にさらされ続けてしまうことも。転校という選択肢は親にとっても大きな負担を伴いますが、解決策が見つからない場合は、有効な手立てかもしれません。

●周囲のフォローでいざこざを解決できたケース

「友達の子どもの話なのですが、家が近所で親子でずっと仲よしの女の子たちがいました。中学生になり、クラスも部活も同じ。中学2年の夏、3年の先輩が部活を引退するときにどちらも部長になりたくて自己推薦したみたいです。それについてお互い気まずくなり、親もちょっと困ったそうです。最終的に決まったときにはお互いぎこちなかったそうですが、顧問の先生のフォローや友達や後輩などの理解もあり、部長と副部長として現在は仲よくできているみたいです。このトラブルの話を聞いたときに、周りのフォローって大事だなと実感しました」(岡山県・45歳)

学校の先生や地域の大人だけでなく、同じクラスや先輩・後輩となる子どもの様子など、総合的な環境が整っていると、たとえトラブルが起きたとしても、うまく収束できることが多いようです。
いざ子どもがいじめなどのトラブルに巻き込まれたとき、親や身近な大人へ相談したり、SOSを出せる状況か、夏休みの間に話し合える機会がもてるといいかもしれません。