秋田高から出場した高橋真鳥【写真:宮内宏哉】

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柔道インターハイ、個人戦男子60キロ級に秋田高・高橋真鳥が出場

 柔道の全国高校総体(インターハイ)が6日に開幕し、5日間にわたって熱戦が繰り広げられている。「THE ANSWER」は文武両道に励み、全国の大舞台に出場した選手たちをピックアップ。個人戦の男子60キロ級に出場した県下No.1の進学校・秋田高の高橋真鳥(3年)は、部活動に励みながらも毎日深夜まで勉強する日々を送った。柔道で全国レベルの実力を保ちつつ、周囲の高い学力についていく彼なりの方法を明かしてくれた。(取材・文=THE ANSWER編集部・宮内 宏哉)

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 高橋の最後のインターハイは、少し悔いの残る形で終わった。

「得意な組手に一度もなれず、相手に技をかけさせて終わってしまった。全然、今までの練習の成果は出せませんでした」

 1回戦で瓊浦(長崎)の平山楓海(3年)と対戦するも、ペースを握られて優勢負け。実力を出し切れず、初戦敗退に顔をゆがめた。

 柔道部は各学年3人の計9人。「人が少ないので、相手を想像してやるしかない」。軽量級の部員が多く、重量級慣れしていないため、体格の大きい相手を頭で思い描きながら練習。高橋は見事にインターハイ出場を掴んだ。練習後のウェートトレーニング、朝のラントレなども重ねた賜物だが、平日は毎日、日を跨ぐまで机にも向かっていた。

 秋田高は偏差値70を超えるともされる秋田No.1の進学校。昨年度の卒業生も東大6人など国公立大に194人が進学したほか、早慶など難関私立大にも毎年数多くの合格者を出している。

 特徴の一つが小テストだ。科目が1日に集中しすぎないよう、曜日を分散させているため、生徒はほぼ毎日小テストを受けることになっている。高橋は部活を終え、帰宅して夕食などを済ませると、夜10時頃から小テスト対策の勉強を毎日2時間ほど続けてきた。寝るのは大抵、時計の針が深夜0時を回ってからだ。

「勉強も柔道も全力で向かえる環境」と、文武両道を目指して秋田高に進学。朝も授業前のトレーニングのため始発に近い6時半の電車に乗るが、周囲のレベルの高さに負けじと学業も疎かにはしなかった。

文武両道、継続のコツ「達成できない課題だとやる気は出ない」

 隙間時間は、苦手教科の克服に充てている。秋田高の最寄り駅から自宅まで、電車は1時間に1本になる時間帯も。下校時にタイミング悪く電車を逃してしまった時は、駅で「めっちゃ苦手」な英単語帳を眺めて過ごす。

 部活も勉強も頑張ると口で言うのは容易いが、高橋のような生活を続けるのは難しい。継続のコツとして、彼なりの“流儀”を教えてくれた。

「1日1日考えて、課題を持つ。それも大きい課題じゃなくて『今日はこれをやろう』という感じです。絶対達成できない課題だとやる気もあまり出ないと思うので、届きそうな目標を決めています」

 強いて言えば、少しだけ柔道に比重を置いてきた高校生活。これからはより学業に励むことになる。「将来は仕事で秋田に携わりたい。柔道をやっているので、関係ある警察官なども興味があります」。夏休みでも多くの生徒が自主的に集う学び舎で、次のステージに向かっていく。

(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)