森崎ウィンさんが語る30代の楽しさ。「思い立ったらすぐに行動、をやっていきたい」
2019年の日本初演では城田優さんが主演を務めたブロードウェイミュージカル『ピピン』。大好評を博した本作が、主演に森崎ウィンさんを迎え今年の8月に再演が決定! 森崎さんの圧倒的歌唱力と、ステージに立ったときの華やかな存在感で、つくり上げるピピンが今から待ち遠しいと話題です。
森崎ウィンさんが『ピピン』にかける想い
開幕まで森崎さんはどのような思いで舞台に挑むのか。そして多忙な生活の中でも、パワフルでいられる秘訣とはなんでしょうか? ご本人にお話を伺いました。
●森崎ウィンらしい『ピピン』を演じたい
前回の『ピピン』はCMで偶然目にし、チケットを購入して観に行っていたという森崎さん。
「自身がミュージカルに初めて挑戦することになり、実際にミュージカルを観てみたいと思って『ピピン』を観劇したんですけど…純粋にこのミュージカルに魅せられた、っていう感じですかね。華やかなセットもですけど、マジックやアクロバット、宙吊りで歌うシーンがあったり。それでいて、ストーリー的にも考えさせられる終わり方で…その答えが出ないのも『ピピン』の美しさのひとつなんだろうな、と思いましたね」
初演時は客席で観ていた“ピピン”を自分が実際に演じることになり、驚きと同時に嬉しさもあったと言います。
「(城田)優くんの次にやる、というプレッシャーはもちろんあります。生で舞台に触れて、優くんってすごいな、って感じたので。僕も歌や芝居をする身として、『これって簡単そうにやってるけど…そんな簡単じゃないよな』ということはなんとなく感じますし。でも、そんな舞台に自分が出演できることが純粋にうれしいですね!」
実際に舞台を観て、その世界観にも触れているからこそ、入り込みやすいのでは? と尋ねると、「すべてを鮮明に覚えているわけではないですし、僕がやるからには“森崎ウィン”らしいピピンを出したい」と答え、こう続けます。
「優くんのピピンの映像もいただいたんですけど、今は逆に観たくなくて。1回観ると結構覚えちゃうので、なぞって芝居してしまいそうだなと。物語の裏まで探らずにOKが出てしまうのはイヤだなと思うので、まず勉強して、1回自分だけで勝負してみたいですね。でも、本気でわからなくなったときは優くんに直接連絡すればいいや、と思ってます(笑)。そこはもうお兄ちゃんみたいな感じでいてくれているので」
ミュージカル公演となると期間も長く、健康面でのケアも大事になってきます。そこで、森崎さんに今までの公演期間中のごはんを伺うと、朝は「おにぎり」と教えてくれました。
「もちろん人によると思うんですけど、僕の場合はおにぎりがいちばん声が出る気がしています。だから、朝はおにぎりと紅茶(ミルクティー)! あとコンビニで売っているからあげが、油で喉がコーティングされる気がしてエネルギーもあっていいのかなって思います。冬だったらこれに温かいスープがあるとベストですね」
●ミュージカルで感じる音楽の偉大さ
歌、芝居など、さまざまな仕事に取り組まれている森崎さん。大作ミュージカルへの出演は今回で3作品目となります。では、森崎さんにとって、ミュージカルのおもしろさはどういうものなのでしょうか。
「ミュージカルは芝居の中でいきなり歌うじゃないですか。それを違和感だと思う人もいると思うんですけど、僕はその瞬間が最高におもしろくて。たとえば、1か月ずっと作品を撮っていると、ライブがしたいな、という気持ちになってくるんですよ。で、逆に音楽漬けになると、今度は芝居がしたいな、ってなる。ミュージカルはそれが同時に叶うんですよね! 歌いたいな、と思っているところに『あっ、ちょうど歌だ!』とか(笑)」
そう思うと同時にミュージカルだからこその、“音楽の力の偉大さ”を感じさせられると言います。
「映像作品を撮っているときは、僕らの芝居を見て編集でBGMを決めるので、どんなBGMが使われるのか僕らは現場で知らないんです。でも、ミュージカルは同時にその場で全部行われていくから、普段行けないような領域の感情にすぐ到達できるんですよね」
また、ミュージカルに出演することで自身のライブにも生かされている部分があるのだとか。
「舞台での立ち方はミュージカルを経て、より勉強になっている気がします。ステージ上では表現したくても伝わらないことってあるじゃないですか。映像だったら寄りで撮ればいいけど、舞台だとまた違う手法があるのでなんかそういう意味でも役に立つことはたくさんありますね」
●30代になった「今が楽しい」
ライブなどでも常にパワフルなパフォーマンスを見せている森崎さん。その秘訣を尋ねると、「好きなことをする」とキッパリ。
「ライブとかはやっぱり好きなことだから、それで元気なんだと思うんですよ。好きじゃないことってなんだろう? 確定申告とか?(笑)」
明るい笑い声、表情。その様子を見ているだけで、つられて笑顔になってしまいそうですが、森崎さんは自身のことを「結構、根がマイナス思考なんです」と言います。では、日々を楽しく過ごす秘訣とはなんでしょうか?
「『俺なんて』みたいなところがあるから、それをまずやめることかな。たとえば昨日もひとつ本読みをやってきたんですけど、本読みが一番緊張するんですよね。怖さもあるし、監督も初めてお会いするし。でも、台本を確認して、ここのシーンはこうなって、次はこうなって…絶対楽しくなるよね、『この作品おもしろいから!』って、プラスに考えて自分を鼓舞しています。
現場に行くことがイヤなのではなくて、見えないことに対して緊張や不安があるんですよね。見えれば、対処方法もわかるからいいんですけど、そこにたどり着くまでが怖い。期待してます』って言われると、その期待に応えなきゃ、と思いがちなんですけど。でも『僕はこれしかできないので』ということも大事にしたいですね。あとは自分にあんまり期待しない。プラスに考えるように心がける。それが楽しく過ごす秘訣です」
そして、30代になった「今が楽しい」というウィンさん。「思い立ったらすぐに行動して、いろんな人に会って、ということを、どんどん、どんどんやっていきたいなと思ってます」とステキな笑顔で答えてくれました。
●自由に生きる家族があってもいい
最後に子育てをしている世代に向けて、『ピピン』の見どころについてお聞きしました。
「家族をテーマにした作品でもないんですけど、こういう形の家族もあるんだなっていうことをわかって伝わったらいいですね。時代は変わってきているから、なんでもありと言えばありなんですよね。だから『こうでなきゃいけない』ということがどんどんなくなってる気がするんです。
いろんな意味でみんなが縛られてきたなかで、きっと子どもがいるってなると無意識に我慢することも多いと思うんですが、こうでなきゃいけないということが少なくなってきてるからこそ、なんかもうちょっと自由に生きる家族があっていいんじゃないかなと思います」