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いま、注目を集める研究会がある。わずか2年で約1000人規模へ拡大し、東大新入生の20人に1人が所属する超人気研究会に成長した、「東大金融研究会」だ。創設者は外資系ヘッジファンドに20年在籍し、超一流の投資家として活躍してきた「金融界の鬼才」伊藤潤一氏。地上波をはじめメディアでも注目を集める人物だ。東大金融研究会ではお金の不安から自由になり、真の安定を得るために「自分の頭で考える」ことを重視している。世の中に溢れる情報や他人の声に振り回されず何が正しいのかを自分で判断し、物事を本質的に理解し、論理的に思考を展開することで、自立した幸せな人生を歩むことができるからだ。本連載では、東大金融研究会の教えを1冊に凝縮した初の書籍『東大金融研究会のお金超講義』から抜粋。頭のいい人だけが知っている「お金の教養と人生戦略」を紹介する。

人間関係は図で評価できる

私が東大金融研究会でメンバーに伝えていることの1つに「再現性を重視する」があります。そのためには物事を評価するとき、定性的な評価だけでなくできるだけ定量的な評価も行うことが必要です。

一例を挙げましょう。左の図は東大金融研究会に入会した学生の相関図から、一部を抜粋し、簡略化したものです【図7】。

濃いグレーで示されている人は、私が定性的に「コミットメントが高い」と評価した人です。そして、それぞれの人から出ている線は「誰が誰を招待したか」を表します。これは定量的な情報です。

東大金融研究会の中心人物になっているのは、グレーで示されたIさんです。

彼は多くの人を巻き込んで積極的に活動してくれました。その周囲のグレーで示されたOさん、Tさん、Sさんたちからはたくさんの線が出ていることが見て取れるでしょう(図は簡略化していますが、実際には1人あたり10本以上の線がつながっています)。ちなみにこの4人のメンバーは全員、マッキンゼー・アンド・カンパニーに内定しています。

次に、図の右下のほうにグレーで示されているYさんを見てください。活動には積極的なのでコミットメントは高いといえるのですが、Yさんからは線が1本も出ていないことがわかります。

私は、組織をつくっていくうえで、このような人は「あまり信用してはいけない」と判断します。

というのも、Yさんは積極的に活動に参加してくれているので、東大金融研究会の面白さを感じているはずなのです。それにもかかわらず、だれかに声をかけて連れてくることがまったくない。「自分が面白さを感じていることを言語化できる能力がない人」か、「この面白い機会をなるべく自分だけのものにしておきたいと考える狭量な人」のいずれかでしょう。

ドットで示されている人は、私が決めているルールを破ったために強制的に東大金融研究会を退会させたメンバーです。白で示されているのは、入会する際に私が「何か質問はありますか?」と聞いたときに「特にありません」と答えた人で、コミットメントが低いと判断しています。

図ではドットと白の人で、同じ人から線が出ているケースがあります。定量的な判断として、この人たちを連れてきているKさんは「組織にとって問題がある」可能性が高いと考えられます。

こうして図をつくってみることはどんな組織でもできますから、組織の状態を定量的に評価したいときには図を描いてみてもいいかもしれません。

私はこの図から、IさんやOさんが満足するにはどうすべきかを考えることで、少なくとも組織を平穏に運営できると思っています。

また東大金融研究会の将来を考えれば、いずれ「第2のIさんやOさんが出てくるような組織をどうやってつくるか」も考えるべきことです。

(本原稿は、伊藤潤一著『東大金融研究会のお金超講義 超一流の投資のプロが東大生に教えている「お金の教養と人生戦略」』から一部抜粋・改変したものです)