日下このみ 撮影/松山勇樹

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NMB48の3期生として2012年にアイドルデビューした日下このみ。2019年に卒業し、アイドルグループの振付師としてのセカンドキャリアを切り開いた。最新では、STU48のシングル『花は誰のもの?』のカップリング曲や、#ババババンビなどゼロイチファミリアのアイドルユニットの振り付けなどを手掛け、プロとして活躍の場を広げている。なぜ、振付師を目指したのか…、またこの先の目標について話を聞いた(前後編の後編)。



【写真】アイドルの振付師として活躍する元NMB48の日下このみの撮り下ろしカット【10点】



【前編はこちら】アイドルから振り付け師に、元NMB48・日下このみが叶えた夢「ついに、秋元先生の楽曲を振り付けた」



──振り付け師として、STU48の曲の振り付け以外にはどんなお仕事をしていますか?


日下 上京してすぐ、ゼロイチファミリアさんとお仕事をさせていただくことになりました。あるチームの振り付けとダンスレッスンをさせていただいたら、指導力を買っていただきまして。「全体のパフォーマンスが向上するように指導してもらえませんか?」と言われたので、今では3チームのレッスンを見ています。

──振り入れだけではなく、指導をしてみていかがですか?



日下 めっちゃ難しいです。そもそも言葉で伝えるのは苦手で、擬音とジェスチャーで伝えるタイプなので(笑)。自分で動いてみて、「これとこれの違いは分かる?」みたいな。

指導して分かったのは、NMB48時代に自分が学んだことをベースにしてはいるんですけど、事務所さんによってコンセプトが違うので、自分の経験だけを正解にしてはいけないということです。自分はこう教わったけど、こう伝えないといけないなと、頭で一度変換してから伝えるようにしています。

──いろいろなメンバーがいると思います。反抗期の子は、教えてもなかなか素直に受け入れてくれないこともありますよね。



日下 反抗というより自分の意思をしっかり持っている子が多い印象です。私自身も、アイドルをしていたので、みんなの苦労や苦悩が凄く解ります。「そうだよね。私もそうやったから分かるよ」って思いながら指導しています。でも、寄り添いすぎるのもよくないなと思います。言わないといけないときはちゃんと言います。

──怒ることもあるんですか?



日下 あります。レッスンを見ていて、ちゃんとやってないなと思ったら、音を一回止めて、「これ、本番だと思ってやってる? なんでやらないの?」って。デビューして間もない子はいきなりステージに立ってもできないですから。「本番って思ったよりビビるよ? その練習だと足すくむよ? 私もやってたから分かるよ」と教えてから、もう一度曲をかけると、出てくるエネルギーが変わります。その感覚を体で覚えるのがレッスンなんです。そのエネルギーを出すためには緊張感が必要です。その緊張感を引き出すために怒るんです。「気づけなかったことに気づけました。ありがとうございました」と言ってもらうこともあるので、そういうときは嬉しいですね。

──アイドルのダンスはチェックしますか?



日下 いろいろと映像を見るようになりました。すごいと思うのは、CRE8BOYさん。日向坂46さんや=LOVEさんを担当していますよね。CRE8BOYさんの振り付けって、流れが気持ちいいですし、「ここでこうくるか!」みたいな驚きもあります。櫻坂46さんの振り付けをしているTAKAHIROさんのクオリティもすごいですね。どう指導されているのかなって気になります。

──これからの目標は?



日下 生き残ることです。私、絶対に生き残ると決めているので。絶対に、絶対にです。48グループの卒業生っていっぱいいますけど、“今でも活躍している人”であり続けたいです。それは2年間、引きこもっている間にもひそかに考えていました。生き残るためのプランを想像して、このプランを成功させようって。

私の描いているプランは、20代のうちにフリーランスで頑張って、いろんな方面とつながりを作って、30代でそれがバーって広がって、一気に飛び出していける……そんなイメージです。時間がかかるのは承知だけど、やり遂げたいです。裏方だけじゃなく、自分もダンサーとして出てみたいとも考えています。

先日、ババババンンビちゃんのコンサートのパフォーマンス指導をさせていただいたんですけど、自分もステージに出たい欲があふれちゃうかななんて思いながらリハーサルを見ていたら、裏方がこんなに楽しいと思わなくて。舞台監督さんと「ここはこうしましょう」と話し合いをしながら進めていく作業がとても新鮮で、楽しかったです。

あっ、目標でいえば、ヨーロッパにも行ってみたいです。日本と海外を往復する生活がいいですね。落ち着きがないので(笑)。

──海外といえば、NMB48の3期生は卒業後に海外へ渡るメンバーが目立ちますね。



日下 そうですね。薮下柊ちゃんも上枝(恵美加)もそういうの好きそうでしたから。この前、大阪で3期会をしたら、その2人も来てくれました。3期のみんな、個性はそのままだけど、きれいに大人になっていて。「みんな……かわいいなぁ! 華やかやなぁ!」って言い合ってました(笑)。

──今年、3期生はデビュー10周年ですよね。



日下 そうです。今でもみんな仲良しで、私はよく連絡を取るほうですね。ゆーり(太田夢莉)とは去年のクリスマス、一緒に過ごしました。あんちゅ(石塚朱莉)とは高尾山に登りました(笑)。

──NMB48には今後、どうあってほしいですか?



日下 詳しいことは知らないからあまり言えないですけど、過去にとらわれず、塗り替えちゃっていいと思います。それと、一生懸命やっている子が報われるグループであってほしいですね。私は、卒業してからもちゃんと地に足をつけて頑張っているんだぞという姿を後輩たちに見せたいです。