3児の母・近藤麻理恵さん。「こだわっていたものを手放したら、今の幸せに気づいた」
今年3月に、川村元気さんとの共著『おしゃべりな部屋』(中央公論新社刊)を発売した、こんまりこと近藤麻理恵さん。本書はこんまりさんが今までに片づけてきた 1000 以上の部屋にまつわる実話を基に、川村元気さんが物語にしたものです。
3人の母・こんまりさんが「今」大切にしたいこと、必要なもの
前回のインタビューでは、第三子が生まれてから、コロナ禍とあいまって仕事の仕方が変わり、仕事とプライベートは「切替」というより「ミックス」しながら忙しく暮らす様子を話してくれました。今回はこんまりさんに、こんまり流の子育てや忙しい日々での片づけについてお話を伺いました。
●こだわっていたものを手放したら、今の幸せに気づいた
こんまりさんは、最近になってお気に入りだったワンピースを思いきって手放したと話します。
「独身時代にテレビに出ていた頃に着ていた、花柄のワンピースです。もうずいぶん長いこと着ていなかったのですが、思い出に1着ぐらい残しておいてもいいんじゃないかしらと、ズルズルと持ったままでいました。でも、もう一度鏡の前で着てみたら、まったく似合っていなくて、現実を知りましたね(笑)。これは手放そうと決断できたとき、今、私は3人の子どものお母さんなんだと、つくづく実感しました」
その実感は、ちょっぴり切なくはあったものの、心地よさを感じるものだったそう。
「今の私に必要なのは、動きやすくて、子どもが鼻水をつけたり、食べ物をこぼしたりしても、イライラしないですむ洗濯しやすい服。それは今しかないかけがえのない時間を輝かせてくれる服なのだと気がついたのです」
●子どもには片づけの楽しいエネルギーを伝えたい
現在、上の子たちは6歳と5歳。片づけは少しずつ身についてきていると言います。
「特別に片づけの時間をつくったりはしませんが、“1つのことが終わったら、次を始める前に片づけてから”というのは決めています。“片づけなさい”と怒りすぎてしまうと、片づけが楽しくないものというメッセージに。最初は親が一緒に片づけながら歌を歌ったり、『おうちがキレイになるとうれしいね』と声に出したりして、片づけをポジティブなこととして教えてあげるのがオススメです。
今、下の子はなんでも出したいお年頃で、箱という箱の中身をすべて出そうとします。塩の袋をひっくり返したときはこちらが倒れそうになりましたが、なんでも出すのは好奇心の表れ。“楽しく片づけるチャンス”と気持ちを切り変え、楽しそうに片づけることを繰り返していたら、ある日急に、箱から出したものを元に戻すようになりました」
片づけられないときがあるのは当然。落ち込まずにすむ方法は?
とはいえ、子どもが3人いる家の中は、片づけのプロのこんまりさんですら、いつもキレイとはいかないのだそう。
「これまで、子育て世代の方からたくさんの悩みをうかがったり、アドバイスをしたりしてきましたが、自分が実際に体験してみて、思い通りにならないことだらけなのを実感しています。ときには、散らかった部屋を前に泣きたい気分になることもあるほど。子育てって本当に大変です。
そんなときは、自分の体調と心をいい状態にしておくことが最優先と、開き直ることにしています。本気を出せば片づけられるはずだし、どうやったら効率よく片づけられるかも知っている。今は子どもと過ごす時間を大切にしたいから、家が多少散らかっていても大丈夫、と自分に言い聞かせて…」
●こんまりさんからのメッセージ
今はできなくても、自信を持って! こんまりさんから、ESSEonlineの読者の方たちにメッセージをいただきました。
「片づかないときがあるのは当然。それだけ、ほかのことをがんばっているということだから。まずは日々『できていること』に目を向けて、がんばっている自分をほめてあげましょう。いざ、片づける時間ができたときに、効率よく片づけられる順番や方法を知っているだけでも、心が落ち着きますよ」